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食品を新鮮に保つ!あるものから作られた土に還る食品用フィルム

FOOD | 2022.02.21

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食品を新鮮に保つ!あるものから作られた土に還る食品用フィルム

食品用フィルムと廃プラ問題

さまざま食品の個包装に使用されており、スーパーやパン屋などでお馴染みの「食品用フィルム」。

一定の鮮度を保持できるなどの高い利便性に加え、コロナ禍においては食品の個包装販売が推奨される中、食品フィルムの需要はますます高まっている。

では、私たちにとって身近な存在である「食品用フィルム」の環境への影響についてはご存知だろうか。

1990年代には、一般的な食品フィルムに使用されている塩素系プラスチック(ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなど)から発生するダイオキシンが社会問題になったが、製品改良や適切な分別・焼却処理をすることによりその懸念は低減され、今では問題視されることは少なくなっている。

しかし一方で、近年は新たな問題として廃プラによる環境汚染が世界的に注目されはじめ、特に食品用フィルムは「地球上で最もリサイクルされていない素材のひとつ」とも言われている。

そんな中で開発されたのが、環境にも人間にも優しい「あるもの」を使った食品用フィルムである。

 

「海藻」と「シナモン化合物」から作られた生分解性の食品用フィルム

インドとロシアの複数の大学や研究所により共同開発されたというこのフィルムは、自然成分である「海藻」と「シナモン化合物」から作られているため生分解性かつ水溶性も持ち、24時間で90%近く溶解する。

海藻類の中でもワカメやコンブ、ヒジキなどに代表される褐藻類だが、その細胞壁に含まれるアルギン酸ナトリウムの分子には、フィルムを形成する性質があるのだという。
そのアルギン酸ナトリウムの分子を、抗酸化物質フェルラ酸(天然のシナモン化合物)と結合することで、より均質で耐久性のあるフィルムになるそうだ。
また、シナモン化合物には抗酸化作用成分も含まれるため鮮度を長く保つ効果もある。

さらに、ニンニク、ターメリック、生姜などには「天然の抗ウイルス剤」とも言われる化合物が含まれており、これらをフィルムに添加することで、より賞味期限を延ばすことが可能であることも分かっているそうだ。

「海藻フィルム」はただ環境に優しいだけでなく、耐久性や鮮度の保持にも非常に優れているのだ。

また、このフィルムの製造に特別な設備は必要ない。
一定程度の規模の食品メーカーやフィルムメーカーの設備であれば簡単に作成することができ、唯一の条件は、食品製造に適用される基準を満たすことだという。

12週間でミミズの餌にまで分解される「藻」から作られた服」や、「海藻が世界を救う?スーパーフードからスーパーヒーローに」でも紹介してきたが、今後も海藻の持つポテンシャルは、サステナブル社会の実現に向けて重要なカギとなるだろう。

 


Source :Biodegradable Food Wrap Created From Algae and Cinnamon Compound is the Packaging Solution We Needed

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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