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インドの水不足を解決する古代建物「ステップウェル」

ARCHITECTURE | 2021.12.03

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インドの水不足を解決する古代建物「ステップウェル」

インドのShivpura村で発見された1000年前の建造物が、復活した。

この建造物は「ステップウェル(階段井戸)」と呼ばれるもので、インド全土においては数千年にもわたって真水をもたらし文化遺産として尊ばれてきたそうだ。しかし、現在はそのまま放置され、廃墟と化し、木の葉に埋もれてしまい使用できる状態ではなかった。

近代的な下水や灌漑システムによって廃れてしまったステップウェルだが、現代の極度の干ばつの中、喉の渇きを癒すため、古代の工夫・知恵を活かしたデザインによって復元されたのだ。

 

一般的にステップウェルは、雨水を貯めて地下水を補給するための石を敷き詰めた小さな溝のようになっている。

「1500年近くもの間、ステップウェルがどれほど素晴らしく効率的に水を供給していたかを考えると、
無視されてきたのは皮肉なことです」と、Victoria Lautman氏(『The Vanishing Stepwells of India』の著者)は述べている。

ステップウェルは「バオリス(baolis)」または「ブワリ(bwaris)」と呼ばれ、常に大切なモニュメントとして保存されてきたわけではない。むしろ、インドにある3,000以上のバオリスの多くは、廃墟と化したり、木の葉に埋もれてしまっている。

「ゴミ捨て場だと思っていたところ、ゴミの下から階段状の井戸の構造が見つかった」と、Vikramjit Singh Rooprai氏(インドのバオリスの修復を主導する非営利団体「Aga Khan Trust for Culture」に所属する遺産擁護者で作家)は述べている。

Shivpura村では、公立小学校の教頭Rajkumar Sharma氏がバオリスの復活をお祝いした。

「私たちの村では、踏み込み井戸が唯一の水源でした。時が経つにつれ、枯れてゴミの山になっていました。今では、飲み水や生活用水、宗教的な儀式に必要なきれいな水が手に入るようになりました。このバオリスは、私たちの村の誇りです」と、喜びを表明している。

ステップウェルの復活は、インドの水不足を克服するための真の一歩になるかもしれない。


Source :Architecture Built 1,000 Years Ago to Catch Rain is Being Revived to Save India’s Parched Villages

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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