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CHAdeMOとは?電気自動車(EV)の急速充電規格を徹底解説

EV充電 | 2025.07.10

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CHAdeMOとは?電気自動車(EV)の急速充電規格を徹底解説

CHAdeMO(チャデモ)は、電気自動車(以下、EV)向けの急速充電規格のひとつで、日本で主流となっているほか、アジア諸国を中心に採用されています。名前は「Charge de Move(動きを充電する)」「de:電気」「充電中にお茶でも」に由来し、短時間で安全に充電できることが最大の特徴です。
当記事では、CHAdeMOの基本的な仕組みや、他の充電規格との違い、使用方法、そしてEVの充電以外の活用方法も解説します。これからEVを購入しようとしている方や、EVの充電について詳しく知りたい方に役立つ情報が満載です。CHAdeMOについて学び、より快適で効率的なEVライフを手に入れましょう。

CHAdeMOって何?

CHAdeMOは、EVやプラグインハイブリッド車(以下、PHEV)に対応した急速充電規格で、日本発の国際規格として普及しています。ここでは、CHAdeMOが誕生した経緯や特徴、仕組みをまとめました。

CHAdeMO誕生の経緯

EVの普及には、充電インフラの整備が不可欠です。特に短時間で電力を供給できる急速充電の導入は、EVの利便性を高め、航続距離や充電時間に対するユーザーの不安を解消するうえで大きな役割を果たしてきました。
こうした背景を受け、日本が中心となって開発したのが急速充電規格CHAdeMO(チャデモ)です。これは、日本の技術力を世界に示すという意図もあり、2010年には国内の自動車メーカー、充電器メーカー、電力会社などで構成されるCHAdeMO協議会によって正式に規格化されました。
CHAdeMOという名称は「Charge de Move(チャージ・デ・ムーブ)」の略で、「動くための充電」という意味を持ちます。また、「お茶でも」という日本語の響きは、充電中に一息つく様子を表し、短時間で気軽に充電できるというコンセプトが込められています。

CHAdeMOの特徴

日本が中心となって開発されたCHAdeMOは、リチウムイオン電池への負荷を軽減し、バッテリーの寿命を長く保てる設計となっています。CHAdeMOは、50~90kW出力の充電器が多く、急速充電口と普通充電器が完全に分かれていることも特徴です。
国内で流通するEVの多くがCHAdeMO規格を採用しています。独自の充電規格を採用しているテスラも、専用のアダプターをつければ、CHAdeMO規格の充電器を使用できます。

CHAdeMOの仕組み

CHAdeMOは、最大で400kWの直流電力を供給可能な設計ですが、現在一般的に流通している充電器の多くは50〜90kW程度の出力です。 CAN(Controller Area Network)を使用して通信を行い、EV内の充電情報を充電器へ提供できることが特徴です。
なお、CANとは、EVのさまざまな電子制御ユニットをつなぐためのネットワーク技術です。例えば、EVからバッテリーの残量や温度などの情報を充電器に送り、充電器は受け取った情報に基づいて、安全な電流や時間を決定します。
充電中に異常が発生した場合も、CANを通じて情報をやり取りし、適切な処置が行われるため安全です。

CHAdeMOの設置場所

CHAdeMOの設置数は、日本全国で12,806基となっています(2025年6月現在、参考: GoGoEV)。設置場所によってそれぞれの特徴や使い方があり、目的や利用スタイルに応じて活用することで、より快適なEVライフを送れます。主な設置場所は、以下のとおりです。

  • 複合商業施設
  • SA・PA(サービスエリア・パーキングエリア)
  • カーディーラー
  • コンビニエンスストア
  • 道の駅

ここでは、CHAdeMOの設置場所の詳細をまとめました。CHAdeMOの設置場所については、以下の記事でも詳しく解説しています。

​EVの充電器はどこにある?|充電ステーションの検索方法やアプリを紹介

複合商業施設

複合商業施設の充電器は、普通充電のみの場合もありますが、急速充電器(CHAdeMO)も増加傾向です。買い物や食事の合間にEVを効率よく充電できます。また、商業施設の集客力向上にも貢献します。充電器は、駐車場の一角に設置されていて、EVユーザーがアクセスしやすいことも特徴です。

SA・PA(サービスエリア・パーキングエリア)

高速道路では、SA・PAの充電器を利用します。ドライブの休憩を兼ねて効率的にEVを充電できる重要な拠点です。近年はSA・PAの充電器も増えており、急速充電器(CHAdeMO)の設置増加でさらに利便性が向上しています。混雑する時間帯には待ち時間が発生する可能性もあるため、事前に充電器の空き状況を確認しておくと、よりスムーズな移動が可能になります。

カーディーラー

カーディーラーの充電器は、特定のEVメーカーに限らず利用できます。カーディーラーは幹線道路沿いなど見やすい場所にあり、アクセスしやすいのが特徴です。店舗で常に充電器を管理しているため、機器のメンテナンスが行き届いており、万が一の故障時も迅速な対応が期待できます。車の点検や整備のついでに充電できるほか、新型車の情報収集や相談もできるため、EVユーザーにとって便利なスポットです。

コンビニエンスストア

コンビニエンスストアの充電器は、24時間いつでも利用できる点が大きな魅力です。買い物や休憩の合間に短時間で充電ができるため、日常的な利用はもちろん、緊急時にも利用できます。飲食やトイレなどのサービスも充実しているので、充電中の時間も有効に使えるでしょう。

道の駅

道の駅に設置された充電器は、長距離移動中のEVユーザーにとって心強い存在です。観光やドライブの休憩がてら立ち寄りやすく、食事や買い物の合間に効率よく充電できます。道の駅は観光地周辺にあり、地域の活性化にも一役買っています。また、比較的広い駐車スペースを備えているので、充電器へのアクセスがしやすいのもメリットといえるでしょう。

CHAdeMOの使用方法

CHAdeMOの充電器を安全かつスムーズに利用するためには、基本的な操作手順を理解しておくことが大切です。車両との接続方法や充電開始の手順、注意点などを事前に知っておくことで、安心して充電できます。ここでは、初めての方でも安心して利用できるよう、基本的な使用方法や手順をまとめました。

1.シフトをP(パーキング)に切り替える。
2.EVの電源をOFFにする(ONのままでは充電できない)。
3.CHAdeMOの充電器のコネクターをEVの充電口に差し込む。充電口とコネクターの溝を合わせ、突き当たるところまでまっすぐ差し込む。コネクターを引いて、抜けないことを確認する。
4.正常に差し込めたらロック解除レバーが上がって、コネクターがロックされる。
5.案内に従い、アプリや充電カードでユーザー認証をして充電を開始する。正常に充電が開始するとブザーが鳴り、車載パネルの充電インジケーターの表示が変わる。
6.充電を終える時は終了ボタンを押す。
7.充電が完了したら決済する。

CHAdeMOは操作がシンプルで直感的なため、初めての方でも安心して利用できます。接続や充電の手順が分かりやすく、誰にとっても扱いやすいことが特徴です。こうした使いやすさこそが、CHAdeMOの大きなメリットといえるでしょう。

CHAdeMOの今後

技術革新が加速するなか、EVを取り巻くインフラも日々変化しています。CHAdeMOも例外ではなく、新たなニーズや国際基準への対応が求められるでしょう。ここでは、CHAdeMOが今後どのように進化し、EV社会に貢献していくのか、その展望を解説します。

国産EVの急速充電規格としてさらに技術を革新

CHAdeMOの急速充電器は、さまざまなメーカーが製造しています。このような状況下で、2024年にはメーカー間の互換性を確認する「CHAdeMOマッチングセンター」が三重県に開設されました。
CHAdeMOマッチングセンターでは、車種や充電器の組み合わせによって発生する接続不具合を未然に防ぐため、互換性や安全性の検証試験が行われています。これは、国内の円滑なEV普及を推進するための重要な一歩といえるでしょう。

V2Xとの連系でエネルギーの安定供給に貢献

CHAdeMOは、V2X(Vehicle to Everything)技術との連系により、EVを「走る蓄電池」として活用し、エネルギーの安定供給に貢献する役割が期待されています。
V2Xは、EVと家庭(V2H)やEVと電力網(V2G)など、双方向に電力や情報をやり取りする技術です。 CHAdeMOは、この分野に世界で初めて本格対応した急速充電規格であり、V2Gの国際標準化に大きく貢献しました。災害時の非常用電源や、再生可能エネルギーの有効活用、スマートグリッドとの連系による電力調整など、今後も多方面での活用が進むでしょう。

​V2Xで変わるEVの未来|V2H・V2L・V2Gなど技術をご紹介

ISO 15118や他規格との互換性でさらに進化

CHAdeMOは、国際的な急速充電規格「ISO 15118」に対応し、さらなる進化を遂げつつあります。ISO 15118は、EVと電力網の間で双方向通信(V2G)を可能にするほか、認証から支払いまでを自動化する「プラグアンドチャージ」機能にも対応した国際規格です。
CHAdeMOは高出力化への対応と並行して、国際規格との互換性強化にも注力し、今後は欧州のCCS規格や中国のGB/Tとの相互接続性向上にも取り組む方針です。これにより、規格や地域を超えた利便性の高い充電インフラの実現が期待されています。

中国と共同開発のChaoji(チャオジ)でさらにパワーアップ

EVの普及には、充電時間の短縮が不可欠といえます。この課題に対し、大いに期待されるのが充電器の出力向上です。
次世代規格「Chaoji」の登場により、理論上の最大出力は900kWまで対応可能となりました。そこで、日本と中国が共同で、CHAdeMOをベースに超急速充電規格「Chaoji」を開発しました。Chaojiの最大出力は規定上限の900kWです。これはCHAdeMOの数倍のスピードで、EVの充電時間を大幅に短縮するでしょう。
Chaojiはすでに中国で新しい充電規格として承認されており、実用化に向けた動きが進んでいます。日本でも、CHAdeMOとの互換性があるChaojiの導入が期待されています。

CHAdeMO以外の5つの急速充電規格

ここでは、CHAdeMO以外の5つの急速充電規格をご紹介します。なお、充電規格については、以下の記事でも解説しています。

​​​EV充電規格入門:CHAdeMOから最新規格まで、初心者にもわかりやすく解説

CCS1

CCS1(Combined Charging System1)は、主に北米で採用されている急速充電規格です。
CCS1は、1つのコネクターに普通充電と急速充電がまとめられています。これにより、充電器のコスト削減や、利便性の向上を目指しています。

CCS2

CCS2(Combined Charging System 2)は、CCS1とよく似ていますが、サイズや形状がわずかに異なります。CCS2は主に欧州で採用される急速充電規格で、ボルボやメルセデス・ベンツなどでも採用されています。
日本に輸入されるEVでは、CHAdeMO仕様に変更されていることがほとんどです。CCS2も、CCS1と同様に普通充電と急速充電が1つにまとめられています。

GB/T

GB/Tは、中国の充電規格です。GB/Tは開発の初期段階で、日本のCHAdeMOから技術的な支援を受けました。そのため、充電口の形状やCANを通信に用いる点などがCHAdeMOの影響を受けたといわれています。GB/TはCHAdeMO規格をベースにして中国向けに改良した規格といえるでしょう。
GB/Tは、普通充電と急速充電の両方に対応しており、普通充電では最大27.7kW、急速充電では250kW以上の出力に対応するモデルも登場しています。

NACS

NACS(North American Charging Standard)は、テスラが独自に開発した急速充電規格で、最大250kWの高出力に対応します。テスラのEVでは、普通充電と急速充電の両方に対応する充電口が1つにまとめられており、車両側のコネクターもシンプルです。
また、 充電ケーブルを車両に接続するだけで、自動的に充電が開始される「プラグアンドチャージ」機能に対応しています。充電器の利用に必要なユーザー認証を手動でする必要がなく、充電がスムーズです。
北米では、テスラだけでなく、GMやフォード、日系自動車メーカーの日産なども、2025年の新型EVから導入を開始すると発表しています。

Chaoji

Chaoji(チャオジ)は、CHAdeMOをベースに開発された、次世代の超高速EV充電規格です。中国で新しい充電規格として正式に承認され、今後は中国のEV充電インフラを大きく変革すると期待されています。
Chaojiの最大の特徴は、圧倒的な高出力です。出力範囲は50kWから最大900kWと広く、欧州の高性能急速充電器の最大出力である350kWの2倍以上となっています。しかし実用化には、バッテリーや充電ケーブルの耐性強化の必要があります。

CHAdeMOはEV充電以外でも活躍

CHAdeMOはEVの充電だけでなく、さまざまな場面で活躍しています。ここでは、EV充電器が充電以外で役立つ具体的な活用例をまとめました。

V2H(Vehicle to Home)

V2Hは、EVのバッテリーにためられた電気を家庭に供給できるシステムで、家庭からEVに充電することも可能です。このV2Hが標準で使えることが、CHAdeMOの大きな特徴といえるでしょう。V2Hは、日本だけでなくASEAN諸国や中東からも関心が集まっています。

V2Hに関しては、以下の記事でも解説しています。

​V2Hとは?仕組み・メリットをわかりやすく解説|電気自動車の電気を家庭で賢く活用

EPAC(Electrically Power Assisted Cycle)

EPACは、電動アシスト自転車のことです。日本発祥のこの技術は、今や欧州や北米など世界中に広がり、私たちの生活をより便利で快適にしています。
EPACの普及に伴い充電に関する課題も浮上してきましたが、CHAdeMOの充電器で解決への道が模索され始めました。家庭用のEPAC充電器はもちろん、EV充電のように不特定多数のユーザーが使用できるEPACの充電ステーションを設置するなど、世界中に共通して使える環境を目指しています。

CHAdeMOのよくある質問

ここでは、CHAdeMOに関するよくある質問とその回答をまとめました。初めての方でも安心して利用できるよう、参考にしてください。

CHAdeMOの充電器は自宅にも設置できる?

CHAdeMO規格の急速充電器は高出力を必要とするため、設置には高圧電力の引き込みや大規模な電気工事が必要です。このため、一般家庭での導入はコストや設備面で負担が大きく、現実的には難しいケースが多いのが現状です。
多くの家庭では、AC200Vによる普通充電器の設置が一般的です。一方、商業施設や集合住宅の駐車場などではCHAdeMO急速充電器の設置が進んでいます。

​EV充電設備を自宅に設置するには?気になる費用や注意点を解説

CHAdeMOの充電料金はいくらぐらいですか?

CHAdeMOの充電料金は、利用する場所や契約している充電サービスによって異なります。一般的には1分あたり数十円程度が目安で、日産の「ZESP3」のような月額会員サービスを利用すると、1ヵ月4,400〜11,000円のプランで1分あたり33〜44円での充電が可能です。
一方、会員登録をせずに使うビジター利用や都度払いでは、1回あたり500〜1,000円程度かかる場合があります。また、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアでは、30分で約1,000円前後の料金設定が一般的です。料金体系は地域や事業者によって異なるため、事前にアプリや公式サイトで確認しておきましょう。

​電気自動車の充電料金完全ガイド:自宅充電から充電ステーションの利用まで徹底解説

CHAdeMO充電器が故障した場合はどうすればいいですか?

CHAdeMO充電器が故障した場合は、まず充電器本体や周囲に記載されている緊急連絡先に連絡しましょう。多くの充電ステーションでは、運営事業者のサポート窓口が24時間対応しており、状況に応じて復旧対応や他の利用可能な充電器の案内を行っています。
e-Mobility Powerの充電器では、専用アプリや会員カードに記載された問い合わせ番号からも連絡が可能です。充電中にトラブルが発生した場合は、無理に操作を続けず、速やかに連絡することが安全で迅速な解決につながります。

CHAdeMOとCCSの両方に対応しているEVはありますか?

EVが販売される国によって、充電規格が異なる場合があります。例えば、日産リーフは日本国内向けにはCHAdeMOを採用していますが、2025年から展開される北米仕様車の充電規格はNACSです。1台のEVがCHAdeMOとCCSの両方に対応するには、車両に2つの充電ポートが必要となるため、コストやスペースの問題から一般的ではありません。
地域ごとに充電インフラが整備されており、その地域に合った充電規格が選ばれているため、利用環境に応じて規格が異なることを理解しておきましょう。

まとめ

CHAdeMOは、現在も国内のEV急速充電インフラの中核を担っている重要な規格です。今後、EVの普及が進むにつれてCHAdeMOも進化し続け、私たちのEVライフをより快適なものに変えていくでしょう。当記事がCHAdeMOの理解を深めるための参考になれば幸いです。

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