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電気自動車(EV)の電欠とは?予防策と対処法を徹底解説

EV充電 | 2025.09.26

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電気自動車(EV)の電欠とは?予防策と対処法を徹底解説

電気自動車(以下、EV)の普及が進む中、電欠(バッテリー切れ)について不安を感じる方も多いのではないでしょうか?「充電が切れてしまったらどうしよう……」という不安があると、EVでの遠出や長距離ドライブを躊躇してしまいます。
電欠を防ぐには、事前の計画と適切な充電管理がポイントです。具体的には充電ステーションを把握しておくことや、EVのバッテリーの特性をしっかりと知っておくことなどが挙げられます。

当記事では、電欠の原因や予防策、万が一の電欠時に備えるべきポイントをまとめました。EVでの生活をさらに快適にするために、電欠を回避して安心して運転できる方法をお伝えします。

EVの「電欠」とは?

EVの充電がなくなり走行できなくなることを指す「電欠」。ここでは、具体的に電欠とはどのようなことなのか解説します。

バッテリー残量が0の状態

電気をエネルギーとするEVは、バッテリー残量がゼロになると走行できません。残量がゼロになると、モーターを駆動する電力が完全に失われ自走が不可能になるためです。
バッテリー残量がわずかになると、EVのディスプレイに警告灯が表示されます。車種によっては音声でのアナウンスやスマートフォンのアプリを通じて通知が送られることもあります。それらの警告やアナウンスに従って充電すれば、電欠する心配はまずありません。

ガス欠との違い

「電欠」はガソリン車でいう「ガス欠」と似ていますが、いくつか大きな違いがあります。特徴的な違いは、燃料が無くなった時の救済方法です。ガソリン車の場合、携行缶で燃料を補給すればすぐに再始動できます。
一方、EVは充電ステーションまでけん引してもらってから充電をするため時間がかかります。そのため、充電インフラが十分でない場所や長距離移動時には、ガス欠よりも復旧に時間や手間がかかることがほとんどです。

2種類のバッテリーどちらも充電必須

EVには「駆動用バッテリー」と「補機用バッテリー」の2種類が搭載されています。駆動用バッテリーは、車を走らせるための主電源であり、これがゼロになるとモーターが動かなくなります。
また、補機用バッテリーは、エアコンやオーディオ、ライト、スマートキーなどの電装品を動かすためのものです。ガソリン車同様、ヘッドライトやルームランプなどの消し忘れで補機用バッテリーが上がります。どちらか一方のバッテリー残量がなくなると、車両は正常に作動しなくなり走行できません。

EVを電欠させないために大切なこと

充電に不安を感じることなく快適なEVライフを送るためには、ガソリン車とは異なる工夫も必要です。ここでは、EVを電欠させないためのポイントを解説します。

長距離ドライブの前には充電計画を立てる

EVを快適に乗りこなすためには、事前の「充電計画」が不可欠です。充電を休憩や食事の時間にあてたり、充電するステーションを検討したり、あらかじめ充電計画を立てることで電欠のリスクを軽減できます。
充電アプリ「Myプラゴ」には、目的地に向かうまでに経由しやすい充電ステーションを教えてくれる「充電ルートナビ」があります。充電計画にかける時間を短縮したい方は、ぜひ利用してみてください。充電計画を立てるポイントや注意点については以下の記事がおすすめです。

内部リンク:EVライフの充電計画|EVで長距離ドライブを安全に楽しむ方法

早めの充電を心がける

バッテリー残量にまだ余裕があると思っていても、思いがけず渋滞に巻き込まれてバッテリーを消費してしまう可能性があります。走行以外にオーディオやエアコンの使用にもバッテリーは消費するため注意が必要です。
ガソリン車でも、夏場のクーラーの使用でバッテリーが上がることがあります。しかし、ガソリン車はエンジンの排熱を利用できるため、暖房が燃費に影響することはさほどありません。
ガソリン車と違って排熱のないEVは、暖房を使うために多くの電力が必要です。そのため、冬場は他の季節に比べてバッテリーの消費が早くなることが考えられます。よりこまめな充電を心がけましょう。

駐車時間を活用して効率的に充電する

駐車時間を効率的に利用して充電すると、充電のためにわざわざ出かけたり時間をつぶしたりする必要がありません。
買い物や食事、ドライブの休憩時間などもEVの充電に充てることができます。充電時間を他の用事と組み合わせられることが、EVとガソリン車との大きく異なる点です。充電時間を楽しむことは、EVライフの醍醐味ともいえるでしょう。

EVを長期間放置せず適度な稼働を

ガソリン車同様、EVも駐車中に電力を消費しています。これはECU(エレクトロニック コントロールユニット)が駐車中にも稼働しているためです。ECUは車内に搭載されたさまざまな電子機器を制御しています。
そのため、EVを長期間稼働せずにいるとバッテリー上がりを起こすことがあります。バッテリー上がりを防ぐためにも、EVは適度に稼働させましょう。

充電利用シーンを把握して電欠を防ごう

電欠を防ぐために、EVの充電はおおよそ3つのシーンで行います。自宅のように長時間滞在する場所で行う「基礎充電」、移動中に経由する「経路充電」、滞在中の場所で行う「目的地充電」の3つです。ここでは、それぞれについて解説します。

基礎充電

基礎充電は、EVユーザーが自宅や職場など、普段から長時間駐車する場所で行う充電方法を指します。夜間に自宅の駐車場で普通充電器を使い、朝までに満充電にするケースが一般的です。
日常的に決まった場所で充電できるため、バッテリー残量を気にせず安心して日々の移動ができます。電力の安い時間帯を利用すれば、電気料金を抑えて経済的に充電が可能です。複数の企業では、従業員用の駐車場に充電設備を設置する動きも進んでおり、業務車両のEV化にも役立っています。

用語集:基礎充電

経路充電

経路充電とは、目的地までの道中で立ち寄る充電ステーションを利用し、バッテリーを補充する方法です。高速道路のSA・PA(サービスエリア・パーキングエリア)や主要道路沿いの急速充電器が主な利用場所です。
長距離ドライブで、基礎充電だけでは航続距離が足りない場合に経路充電をします。経路充電では短時間で多くの電力を補給できる急速充電器が重宝され、30分程度の休憩中に充電が可能です。
事前にアプリやカーナビで充電ステーションの位置や混雑状況を確認しておくと、よりスムーズな移動が可能です。

用語集:経路充電

目的地充電

目的地充電は、ショッピングセンターやホテル、観光地など、目的地に到着した際に駐車しながら充電するスタイルです。買い物や宿泊、レジャーなどで施設を利用している間に充電ができるため、時間を有効に使えます。
普通充電を行う場合が多く、外出先でもバッテリーに優しい充電ができるのもポイントです。最近では、EVユーザーの利便性向上や集客を目的に、充電設備を導入する施設が増加しています。
目的地充電が可能な場所を行く先に選ぶことで、移動先でもバッテリー残量を気にせず過ごせます。経路充電や目的地充電について詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

内部リンク:経路充電と目的地充電の違いとは?EVの最適な充電方法を徹底解説

用語集:目的地充電

【実録】データで見る電欠発生率

EVを検討している方のなかには「電欠するのでは?」と不安に感じる方もいるでしょう。しかし、実際の電欠発生率はさほど高くないのが実情です。ここでは、実際に電欠が発生した事例をデータをもとに確認していきましょう。

EVのロードサービスのうち電欠は約1割

JAFの統計によると、EVのロードサービス出動件数のうち「電欠」による救援要請は約10%にとどまっています。EVユーザーや購入を検討している人が抱きがちな「電欠は頻繁に起こる」というイメージとは裏腹に、実際には意外と少ない割合です。
2020年度のデータでは、5,804件のEV救援のうち電欠は573件で約9.8%、2023年度も約11%と大きくは変わっていません。

高速道路より一般道で電欠が発生しやすい

EVの電欠トラブルは、高速道路よりも一般道の方が多く発生しています。JAFのデータ分析によれば、救援要請の約8割が一般道で発生しており、高速道路での発生は2割程度にとどまっています。
これは、一般道では充電ステーションの間隔が広く、十分に整備されていない地域も多いためです。「このバッテリー残量なら目的地までギリギリ行けるだろう」と判断して無理をした結果、目的地直前で電欠になるケースが目立っています。

充電ステーションの少ない地域の電欠率が高い

急速充電器の設置が少ない地域ほど、電欠による救援要請が多い傾向です。CHAdeMO協議会は、充電インフラが充実している都市部では電欠リスクが低く抑えられている一方、地方や山間部など充電器が少ないエリアで電欠率が高まっていると分析しています。
充電ステーションの配置が不十分な地域では、EVユーザーが計画的に充電していても予期せぬトラブルがあると対応が難しいため、今後は充電インフラのさらなる拡充が求められています。

電欠してしまったらどうする?対処方法3つ

電欠した際に適切な対処法を知っていると落ち着いて対応できます。万が一の事態に備えて、ぜひ覚えておきましょう。

まず安全な場所に停車

駆動用バッテリーの残量が少なくなると、EVのディスプレイにバッテリーの残量警告灯が点灯します。さらに残量が少なくなると出力制限表示灯が点灯し、出力制限モードに入ります。これは、モーターに供給される電力が制限されて減速することもある危険な状態です。
もし電欠のサインが出たからといって、路上で停車すると二次災害の危険性が高まります。路肩のような安全な場所まで移動しましょう。

JAFやその他ロードサービスに救援を依頼する

電欠して動けなくなった場合、ロードサービスに充電を依頼できます。ロードサービスは独自で加入していなくても、自動車保険に付帯している場合があるため確認しておきましょう。
ロードサービスのJAFでは電欠の依頼を受けた際、多くの場合はレッカー車で最寄りの充電ステーションまでけん引で対応します。しかし2023年8月からは、EV充電器を搭載した車による救援もスタートしました。このサービスは、けん引せずにその場で充電が受けられます。現在は主要都市のみで実施されていますが、対応範囲は徐々に拡大する予定とされています。

V2V機器があれば他のEVからの充電が可能

V2V(Vehicle to Vehicle)機器とは、可搬型EV充放電器です。この機器を通せば、他のEVから充電を受けることもできます。
EVの普及に伴い、電欠に対応できるサービスも拡充する必要があります。近年はロードサービス業者以外にもタクシー会社が業界で初めてV2Vを導入し、給電サービスを開始しました。今後もさまざまな分野で給電サービスの展開が期待されます。

電欠したときのために加入しておきたいサービス

万が一の電欠に備えるために、保険やロードサービスなどへ加入するのも良い方法です。ここでは、おすすめのサービスを5つ厳選してご紹介します。

JAF

JAFはEVの電欠時、従来のレッカー搬送に加え、東京都・神奈川県・愛知県・大阪府で「現場駆け付け急速充電サービス」を試験運用中です。約20分の応急充電で20km程度走行可能となり、最寄りの充電スポットまで自走できます。
現在は対応範囲が限られているものの、今後全国展開が予定されています。利用料金は、JAF会員は基本無料(30分まで)、非会員は有料(基本料 1万5,700円、けん引の場合1kmごと830円(税込))です。
EVの普及を見据え、今後もサービス拡充が期待されています。

ポータブルEV急速充電器

ポータブルEV充電器は、持ち運び可能な電気自動車用充電器で、設置工事が不要です。コンセントがあればどこでもEVを充電でき、外出先や緊急時にも活躍します。
ベルエナジーの「Roadie V2」は、日本初のモジュール式ポータブルEV急速充電器です。最大出力20kWの急速充電が可能で、3.35kWhの蓄電ユニットを最大4個まで接続でき、家庭用100V電源で充電できます。ポータブルEV急速充電器は、ロードサービス会社への導入が進み、EV普及を支える「電気の携行缶」として注目されています。

損害保険会社

EVの「電欠」トラブルには、保険で備えることも可能です。複数の保険会社が、電欠時に現場で急速充電を行うサービスを提供しており、従来のレッカー搬送だけでなく、その場での充電対応も選べるようになっています。

SBI損保

SBI損保の自動車保険は、EVの電欠時にロードサービスで充電ステーションまで無料搬送してくれます。2025年6月現在、現場での急速充電サービスには未対応ですが、標準でレッカーサービスが付帯し、EVユーザーも安心して利用できます。
SBI損保はダイレクト型保険のため、保険料の安さも特徴です。24時間365日対応のサポート体制が整っており、事故やトラブル時の対応もスムーズです。EV専用プランはありませんが、EV割引が存在しEVまたはPHEVの場合通常よりも割安で補償を受けられます。

アクサダイレクト

アクサダイレクトの自動車保険も、EVの電欠時にロードサービスで最寄りの充電スポットまで無料搬送サービスが受けられます。2025年6月現在、現場充電サービスには非対応ですが、24時間365日対応のロードサービスや、充実した補償内容が強みです。
なお、保険料の見積もりや契約手続きがネットで完結するのも便利なポイントです。EV専用の特約はありませんが、基本サービスで多くのトラブルに対応してくれます。

損保ジャパン

損保ジャパンは、EVユーザーのためにJAFと連携し、「現場駆け付け急速充電サービス」を全国で展開しています。電欠時は現場で急速充電を受けられ、充電後すぐに走行再開が可能です。
さらに、従来のレッカー搬送も選択でき、EVユーザー向けの安心感が高い保険といえます。なお、24時間365日対応のサポート体制や、事故対応の迅速さも高く評価されています。エコカー割引もあり、EVの普及を見据えた先進的なサービスが特徴です。

ソニー損保

ソニー損保は、EVユーザー向けに「電気自動車割引」を用意しており、所定の条件を満たせば保険料が1,000円割引されます。EVの電欠時には、ロードサービスの「レッカーサポート」で最寄りの充電ステーションまで搬送が可能です。
また、走行距離に応じて保険料が変動し、走行距離が余った分で翌年の保険料が割引になる「くりこし割引」も特徴です。他にもインターネット割引やゴールド免許割引など多彩な割引制度もあり、リーズナブルな保険料で充実したサポートを受けられる保険といえます。

電欠を防ぐための技術進化

ロードサービスのJAFによれば、EVの電欠での救援依頼は全体の約10%とのことです(参考:一般社団法人 日本自動車連盟)。EVが増えている中で意外と少なく感じますが、ここではその理由を解説します。

EVバッテリーの大容量化

2010年に発売されたEV「日産リーフ」のバッテリー容量は、当初、24kWhでした。航続距離も200km程度だったため、現在よりもEVの電欠リスクは高かったといえるでしょう。
現在、普通車EVの多くがバッテリー容量40kWhを超えています。日産リーフを例に挙げると、バッテリー容量は40kWhで航続距離も400km(JC08モード)と、2010年当時に比べて大幅に延びました。バッテリー容量が増えて頻繁に充電する必要がなくなったことが、EVの電欠が減少した理由の一つです。

細やかなアナウンス

EVはバッテリー残量が少なくなった際の警告はもちろん、充電ステーションへのナビゲーションも充実しています。細やかなアナウンスにより「うっかり電欠した」という状況を招くことが、もはや難しい状況です。
検索から車室の取り置き、決済まで行える充電アプリ「Myプラゴ」の充電ルートナビを利用すれば、バッテリー残量はもちろん、道路の勾配を考慮した充電ステーションまでの最適な経路をナビゲーションしてくれます。

内部リンク:EVライフの充電計画|EVで長距離ドライブを安全に楽しむ方法

充電ステーションの拡充

「日産リーフ」が発売された2010年は、普通充電・急速充電合わせても約2700口の充電器しか設置されていませんでした。EV利用者増加と合わせた充電ステーションの拡充も、電欠件数が少ない理由として挙げられるでしょう。
EV充電器は普通充電・急速充電合わせて全国に約4.7万口器設置されています(2025年6月末時点:GoGoEV調べ)。2014年ごろから整備され始めたEV充電器の設置は、順調に増加していましたが、採算化の課題から2020年に初めて減少傾向に転じました。
しかし、カーボンニュートラルの実現にはEVの普及が不可欠です。そしてEV普及のためには、充電インフラを拡充する必要があります。
経済産業省は、2030年までにEV充電器を30万口まで増やすことを目標に掲げました。今後、EVが普及するにつれて充電ステーションはますます拡充するでしょう。

まとめ

EVの電欠は、適切な予防策をとることでほとんど避けられます。充電計画をしっかり立て、充電管理を意識しましょう。また、万が一の事態に備えてロードサービスに加入することもおすすめです。電欠のリスクを理解し対策を講じて、より快適で安全なEVライフを楽しみましょう。

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