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早速だが「バッテリー」を想像してみてほしい。
100人にバッテリーとは何かと尋ねると、ほとんどの人が材料までは気にしたことがないにせよ、一般的なリチウムから製造されるバッテリーをイメージするだろう。しかし、フィンランドに拠点を持つStora Enso社がその概念を変えるかもしれない。
なんと、木からバッテリーを作り出そうと試みているのだ。
1000万ユーロ(約13億1,000万円)を費やして建設された生産施設で、リグニンと呼ばれる木材などの植物中に存在する高分子化合物を使用することで再生可能なバイベースの炭素を作っているという。
Batteries made from trees could help transform the future of electric travel. https://t.co/mIGb6cxpoi
— Steven W. Koehn (@StevenWKoehn) August 13, 2021
この生産技術は「Lignode®」というタイトルで特許も取得しているというが、木を原料とするバッテリーのメリットにはどのようなものがあるのだろうか。同社は、Lignodeに移行することで下記5つのメリットを得ることができると説明している。
・スケーラビリティ
このバッテリー製造に必要である木が豊富にあり、商業的生産が可能
・サステナビリティ(持続可能性)
サステナビリティが認証されたヨーロッパの森林から材料を調達することを約束
・リニューアビリティ(再生可能性)
リチウムバッテリーの製造は、環境基準が甘く、製造コストが安い中国で行われているが、天然資源を使用することで、このような動機を排除可能
・より速い充電
化石燃料で駆動するものよりも速く充電可能
・低温下での性能向上
Lignodeは低温下でも動作するため、より多くのEVへの搭載が可能
環境に優しい木材やバイオマテリアルをベースにしたソリューション開発の役割を担うStora Enso社は、よりスマートなバッテリー旅行の未来に向けた意思を固めているようだ。
リグニンを原料とするカーボンは家電製品から自動車のシステムまで幅広く利用される可能性を持っている。世界のバッテリー市場は今後5年で10倍に拡大すると予想されており、PwC社の調査によると、パンデミックの影響で一般的なエンジン車の販売台数が14%減少したのに対し、EVは46%も伸びた。
これは二酸化炭素排出量減少に繋がる素晴らしいニュースであると共に、それらが製造されるプロセスにおいても環境への負担が少なければの話である。
このように世界がEV化に進む中で、製造プロセスでの二酸化炭素排出量増加が懸念されているが、LignodeはEV化の追い風となるのだろうか。
「Lignodeは、従来使用されてきた黒鉛に代わる、バイオベースでコスト競争力のある高性能な材料を提供することができる」と、Stora Enso社バイオマテリアル事業部のMarkus Mannström氏は述べている。
Source :Batteries made from trees could help transform the future of electric travel