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インド第ニの大都市ムンバイが進める「ネット・ゼロ」計画

ENERGY | 2022.06.03

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インド第ニの大都市ムンバイが進める「ネット・ゼロ」計画

気候変動に苦しむインド

気候変動の影響を大きく受けている、南アジア地域。
特にインドでは「インド庶民の足「リキシャ」を「動く庭」に。エアコン不要で目も心も楽しませる」の記事でも述べたとおり、ここ数年で熱波がより厳しく頻繁に起きるようになり、多くの人が亡くなっている。

また、スラム街や村落はより気候変動の影響を受けやすく、2050年には海水温の上昇に伴い洪水が発生することも予想されている。

そんな中、インド経済の中心地であるムンバイでは「ネット・ゼロ」に向けて、急ピッチで計画が進められているという。

ムンバイの「ネット・ゼロ」計画

人口1,900万人のムンバイはインド第二の大都市であり、首都デリーと共に南アジアを代表する都市の一つ。
2019年に南アフリカの調査会社NWWが発表した「世界富裕都市ランキング」では12位にランクインするなど、世界の中心都市になりつつあるが、そんなムンバイが、2050年までに二酸化炭素排出量を正味ゼロにする「ネット・ゼロ」計画を発表した。
これは南アジアの都市としては初めてのことで、インドが国として掲げている目標より20年も早い。

この計画は、エネルギー、水、大気、廃棄物、輸送の管理を抜本的に変える内容となっており、公共交通機関の改善と道路の整備、住宅の改修、洪水に強い排水路の建設、節水と衛生整備の増強、さらに屋上太陽光発電の普及などが挙げられている。

ムンバイを州都とするマハラシュトラ州の環境相Aaditya Thackeray氏は「私たちに時間の余裕はない」と、警鐘を鳴らす。
まずは、来年までに2,100台の電気バスを揃える予定だ。また、低所得者向け住宅に電気効率の良い家電や設備を導入する改修工事も始めるという。

一方で、同市の電力消費による二酸化炭素排出量は総排出量の70%を占めているが、再生可能エネルギーに切り替える計画は今のところまだ発表されていない。

ムンバイは、南アジア地域の模範に

ムンバイはネット・ゼロを目指すことで数億ドルのコスト削減を見積もっており、この取組みはインドや南アジア地域の模範となることが期待されている。
既に、ニューデリーやバンガロール、チェンナイなど、南アジアの主要都市においては、気候変動対策の計画見直しが行われているという。

現在インドは経済発展を優先しているが、気候変動についてもより迅速かつ実効性のある対策を講じなければ、気候変動の影響によって国の経済目標が頓挫する恐れも出てくるだろう。

「今日も政策の見直しが進められています。インド全土で、誰もがある種の危機感を抱いているのです」とThackeray氏は述べている。


Source :Mumbai To Go Net-Zero: ‘We Don’t Have The Luxury Of Time’

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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