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月額9ユーロで、ドイツの公共交通機関が乗り放題に
ENERGY | 2022.05.26
ドイツでは、月額9ユーロ(1,226円)のチケットで同国全土の公共交通機関を利用できるというプロジェクトの関連法案が承認された。
ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格高騰による、国民の負担軽減措置の一環である。
通称「9-Euro-Ticket」は、早くも5月23日に発売開始となっている。
🇩🇪 The move aims to help Germans cope with high energy prices amid Russia's war in Ukraine. 🚆 https://t.co/N99kaUckgp
— euronews (@euronews) May 20, 2022
月額9ユーロで、ドイツ全土の公共交通機関乗り放題に
チケット代は月額9ユーロで、有効期限は毎月月末まで。適用期間は6~8月なので、毎月このチケットを購入すれば、27ユーロで3か月間公共交通機関が乗り放題となる。
大都市間を結ぶ高速列車ICEなどは対象外だが、期間中、曜日や時間、使用回数制限等はなく、さらに通常の定期券を購入した人には差額が返金されるなど、このプロジェクトの実効性の高さがうかがわれる。
「9-Euro-Ticket」は気候変動対策の一環としても
このプロジェクトの目的は、公共交通機関を頻繁に利用する人のコスト削減や、エネルギー節約のためだけではない。
気候変動対策の一環として、自動車ユーザを公共交通機関利用へ誘導し、このキャンペーン期間終了後の利用に繋げるという狙いもある。政府は、これまで公共交通機関や環境への配慮に興味がなかった人も含め、より多くの人が環境に配慮した選択をするようになることを期待しているそうだ。
一方で、鉄道労働組合などからは、列車の混雑を招き、遅延や不満が生じるのではないかという懸念の声もある。運輸相のVolker Wissing氏は「忍耐と、場合によっては強い神経」が必要になる可能性も認めている。
さらにドイツ政府は、ガソリン・ディーゼルについても、3ヶ月間の燃料税減税を実施。
経済学者はこの減税措置によって、人々が公共交通機関に乗り換える可能性が低くなるのではないかと警告している。
迅速で実効性のある政策を
公共交通機関と自動車、どちらを利用しても消費者にメリットがある場合、政府が望む通り多くの人がクリーンな手段(公共交通機関)を選ぶかは明確ではないが、それでもエネルギー価格高騰が国民生活を圧迫している中、迅速に何か対応しようとする姿は見習うべきだろう。
ここ日本においてもエネルギー価格高騰の影響が既に出ているが、迅速で実効性のある政策に期待したい。
Source :Germany backs plans for €9-a-month local transport pass