PLUGO JOURNAL

NEWS

Goodyear、100%サステナブルなタイヤ開発へ大きな一歩

SDGS | 2022.02.07

SHARE

Goodyear、100%サステナブルなタイヤ開発へ大きな一歩

自動車業界においてはメーカー各社がEVシフトの戦略を急いでいるが、「2年ぶりに開催されたLA Auto Showで見られた3つの共通点」で紹介したように、単に「EVである」というだけでなく「EVプラスα」の付加価値も必要なフェーズになりつつある。
またそれにより、部品などのサプライヤー各社にも新しい価値や技術革新が求められている。

サプライヤーから提供される様々な自動車部品の中でも、車にとって最も重要なものの1つが「タイヤ」だ。しかし、その原料調達や生産過程で生じる環境負荷は大きく、EVシフトに見られるサステナブルな価値観とは相反する部分も多い。

そんな中、米タイヤメーカー大手のGoodyear社がサステナブルなタイヤの開発に成功したという。

 

同社の未来へのビジョン、Sustainability sourcing、Responsible operations(責任ある事業運営)、Advanced mobility(先進のモビリティ)、Inspiring culture(感動を呼ぶ文化)に基づき開発されたというこのタイヤ、なんとサステナブルな原材料含有率70%なのだという。

9種類のタイヤ成分と、それに関わる13種類の特徴ある成分が含まれているそうだが、主要なものを紹介しよう。

1. カーボンブラック

コンパウンド(タイヤの接地面に使われる素材の総称)の補強やタイヤ寿命を伸ばすために使用される炭素の微粒子で、従来は石油を燃焼し作られていた。新開発のタイヤには、メタン、二酸化炭素、植物由来のオイルから生成される3種類のカーボンブラックを使用。従来のカーボンブラック製造方法と比較して二酸化炭素排出量が減少したのはもちろんのこと、さらにバイオベースあるいは廃棄物原料の使用も進めているという。

2. 大豆油

極端な温度変化の中でもコンパウンドの柔軟性を保つために、多くのタイヤでは原油由来のオイルを配合しているが、今回開発されたタイヤでは植物由来の大豆油を使うことで石油系製品の使用量を削減することに成功。大豆油のタイヤへの使用は同社の重要な技術革新だという。

3. シリカ

シリカはカーボンブラックよりもタイヤに柔軟性を与えることができ、よりグリップ力が強く低燃費なタイヤを作ることができるため、近年になって添加されるようになった。原料はケイ素で、地球上のどこにでもある岩石から豊富に採取できる。これまでは掘削によって調達することが普通だったが、新開発のタイヤでは米の加工時に出る籾殻灰から生成された高品質のシリカを使用。籾殻灰は通常、廃棄されたり埋め立てに使われるものである。

4. ポリエステル

ペットボトルやその他プラスチック製品の廃棄物をリサイクルし、タイヤコード(タイヤの骨組みに使われる素材)に使用可能な工業用級のポリエステルに改質して使用している。

同社の性能指標では、これらの成分特性がタイヤ全体の性能を強化していることを証明したという。つまり、ただサステナブルなだけでなく、性能も向上しているというのだ。
現在はデモ用タイヤとして生産しており、同社は、2030年までにサステナブル素材100%のタイヤを製造する目標を掲げている。

「我々は2020年に、この先10年以内にサステナブル素材100%によるタイヤを製造するという目標を掲げましたが、今回、当社はその目標に向かって大きな前進を遂げました。これは私たちのタイヤ製造においてサステナブル素材を増やすというコミットメントを実証するものであり、大変期待が持てる大きな成果です」と、グローバルオペレーション担当上級副社長兼最高技術責任者の Chris Helsel氏は述べている。

自動車業界が100年に一度と言われる転換期を迎えている中、サプライヤー各社においても持続可能な取組みがますます本格化していくだろう。
サステナブルな部品を使用することで、より環境に優しいEV開発が可能になる。
今回のGoodyear社の開発は、同社だけでなく自動車業界にとってその大きな一歩となるだろう。


Source :Goodyear tyres will be made from 70% sustainable materials

SHARE

TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

recommend

RECOMMEND