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シンガポールに世界最大級の水上太陽光発電所がオープン

シンガポールは世界で最も小さい国の一つだが、1人当たりの二酸化炭素排出量が最も多い国の一つでもある。

また、シンガポールの人口密度は世界で2番目に高く、1k㎡あたり約8,300人が暮らしている。1k㎡あたり約350人程度の日本と比較すると、それがどれだけ多いのか容易に想像できるだろう。

このような状況から、グリーン・イニシアティブに必要なスペースを確保するのが難しい上、水力発電に適した川や風力発電に適した充分な風もないため、再生可能エネルギーの創出は困難であると考えられてきたが、二酸化炭素排出量削減は喫緊の課題である。

そこでシンガポールが注目したのは、”太陽”と“水”。
赤道直下に位置するシンガポールでは充分な太陽光を得ることができる。また、狭い陸地は使用せず貯水池や海の沖合を活用するというプランである。

そして今回、Tengeh貯水池に水上太陽光発電所を立ち上げたのだ。

この発電所は60MWpの発電能力があり、内陸部で稼働する水上太陽光発電システムとしては世界最大級だという。45haの貯水池に、122,000枚ものソーラパネルが設置されており、その大きさはなんとサッカー用フィールド45面分にも相当するのだそうだ。
国の送電網に直接接続されていて、将来的には蓄電設備の導入も検討されている。

住居約16,000戸の1年分のエネルギーを供給することができ、自動車7,000台分に相当する二酸化炭素量削減効果が見込まれているという。

この発電所は、Sembcorp Floating Solar Singaporeが、シンガポールの水供給システムを規制・監督する公益事業庁(PUB)と共同で建設・運営している。

PUBによると、太陽光パネルを設置するフロートには食品用素材である高密度ポリエチレンを使用し、エアレーターよって水中の酸素濃度を維持することで、水質への影響を低減しているという。また、パネルの間に隙間を設けることで空気の流れを良くし、水生生物にも充分な太陽光が届くようにしているそうだ。

他にも、二重ガラスのPVモジュールを使用することで強度を高めたり、雨水の排水をスムーズに行うためにパネル自体を傾斜させる等の工夫もしているという。さらに、定期点検にはドローンが使用され、手作業に比べると約30%コスト削減されているそうだ。

既に2021年初めにはマレーシアとの国境にあるJohor海峡にも太陽光発電所が設置されており、その他にも複数の貯水池で同様の発電所が設置されている。

その限られた土地の中で、より多くの再生可能エネルギーを生成するために”太陽”と”水”に注目したシンガポール。政府は2025年までに太陽光発電の能力を4倍にするという目標を掲げており、その計画が成功すれば、年間約35万世帯の電力を賄えることになる。

「建物の屋上や希少な土地は、使い果たしてしまっています。大きな可能性があるのは、水域なのです」とSembcorp IndustriesのJen Tan氏は述べている。


Source :One of the world’s largest floating solar farms opens in Singapore

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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