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夏になれば暑さに負け、家の中で過ごす日が増える。そして、ついついアイスクリームに手が伸び、エアコンをつけたままにしてしまう。たとえこれらが身体に良くない、エアコンは環境に悪い、と分かっていたとしても、やめることはできないだろう。
エアコンは二酸化炭素を大量に排出し、地球温暖化を進めている要因の一つだが、使用しなければ熱中症になるリスクもある。
そう、「全ては夏の暑さのせい」と思い、近年エアコンの使用頻度は高まる一方であったが、なんとカナダのトロントではその逆の取り組みが進んでいるという。
180もの建物でエアコンの使用をやめているのだ。そして、代わりに「ある物」を活用して、部屋を快適な温度にしようと試みている。
その「ある物」とはなんと、湖の深層水。
トロントにあるオンタリオ湖の深部から極寒の水を組み上げ、壁や床のパイプを通すことで、建物を冷却しているのだ。
Toronto is Replacing Air Conditioners With Deep Lake Water to Cool Hundreds of Buildings#GoodNews #GNN https://t.co/N4ayd0IINX
— Good News Network (@goodnewsnetwork) December 5, 2021
トロントの南約6km、湖の地下約90mに設置された3本のパイプから、4℃の水を吸い上げて中央ステーションに送り、そこから建物に水を送る。そして、冷却に使われた後の温水は、ポンプで湖に戻される。
このように、湖の深層水を利用して冷却する仕組みを「DLWC(Deep Lake Water Cooling)」という。Enwave社によって建設、管理されているトロントのDLWCシステムは、この種のシステムとしては世界最大級だそうだ。
市庁舎、トロント総合病院、ホテル、データセンター、スコシアバンク・アリーナ(バスケットボールチーム「ラプターズ」の本拠地)など、総面積約16,500㎡にも及ぶ建物で、年間9万MWもの電力を節約しているのだという。
これはなんと25,000世帯分の電力にも相当する量だ。
約150億円を投じて建設されたDLWCは、当初は顧客を見つけるのに苦労したが、省エネ効果が実証されると、それ以来顧客が増え続けているそうだ。
また、トロントではもう一つ大きなプロジェクト「The Well」も進行中。
Enwave社が、湖からの冷水タンクを使い蓄熱システムを作ったのだ。夜間のオフピーク時にエネルギーを蓄えることで電力網の負担を減らし、コスト削減を目指しているという。
夏の暑さのせいにしないサステナブルな方法で、財布にも、身体にも、環境にも優しい夏が過ごせるようになるかもしれない。
Source :Toronto is Replacing Air Conditioners With Deep Lake Water to Cool Hundreds of Buildings