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北欧の環境先進国デンマークは、世界でも類を見ない程「再生可能エネルギーの割合が高い国」として知られている。
北海での石油・ガス採掘を2050年までに完全に停止するなど、これまでも独自のエネルギー政策を推し進めてきているが、2021年2月には人工の「エネルギー島(Energy island)」建設に政府が合意したという。
世界初の「エネルギー島」とは、一体どのようなプロジェクトなのだろうか。
Denmark to build an “energy island” to generate enough power to cover its ENTIRE population’s energy needs…
…for less than the cost of Boris Johnson underground Isle of Man roundabout to Stranraer…https://t.co/mUbxSjnkk3
— Nick🇬🇧🇪🇺🇺🇦 (@nicktolhurst) March 5, 2021
デンマークは「新気候変動適応法」において、2030年までに二酸化炭素排出量を1990年比70%削減し、2050年にはカーボン・ニュートラルを達成することを目指しており、エネルギー島は、その計画実現において重要な役割を担うものである。
これまでは洋上に点在する風力タービンからエネルギーを集約する仕組みがなかったが、これからは洋上風力タービンをエネルギー島につなぎ、再生可能エネルギーを生成するのだという。そして、エネルギーの貯蔵も可能になる。
つまり、エネルギー島は、洋上風力発電の拠点となるのだ。
1つは北海に、もう1つはバルト海にあるBornholm島に建設される。
今回北海に建設されるエネルギー島は、デンマーク沖約80kmの地点に、サッカー場18面分に相当する12万㎡の広さを予定している。そこに、数百基もの洋上風力タービンをつなぐのだという。
島には、港、ヘリポート、エネルギー貯蔵システム、Power-to-Xシステム、高圧直流送電、宿泊施設などが装備される予定だそうだ。
280億ユーロ(約3兆6,000億円)のこの超巨大建設プロジェクトは、デンマーク史上最大。政府が支配株式を保有する予定で、2033年までに稼働できるよう進められている。
まずは300万世帯分の再生可能エネルギーを生成できる見込みだが、将来的には、さらに多くのエネルギーを生成し、脱炭素化が困難だといわれている船舶、航空、重工業の分野にも供給することを目指すという。
そして、期待されているのは、再生可能エネルギー量の増加だけではない。
これまでもデンマークは国を挙げて再生可能エネルギーの開発を進めてきたが、今回のプロジェクトは自国だけに留まらないという。
この島は他のヨーロッパ近隣諸国にもつながれ、島で生成されたエネルギーが供給されるのだ。つまり、エネルギー島は国境を超えた再生可能エネルギーの拠点となり、近隣諸国への効率的なエネルギー輸出も可能とするものなのである。
デンマーク経済のさらなる発展に貢献するものとしても期待されているといえるだろう。
「これは、グリーン・トランスフォーメーションと二酸化炭素排出量削減の礎となるプロジェクトです。デンマークが最初の一歩を踏み出しましたが、いずれ世界的なプロジェクトになるはずです。」と、デンマーク工科大学の教授Jacob Ostergaard氏は述べている。
Source :Denmark to build world’s first energy island in the North Sea