TRIP
特集
奇跡の町が
生まれた理由に
巡り合う
長野県 小布施町
2本の川に抱かれたこの小さな町は、
「町と人」との関係を
あらためて考えたくなる町でした。
01
交流と創造の町、小布施。
長野県の北部に位置する小布施町に行くには、いくつかのルートがある。
ひとつは、新幹線で長野駅へ出て、在来線の長野電鉄長野線に乗る方法。
もうひとつは、長野駅か軽井沢駅から車で移動する方法だ。
いずれの場合も、小布施駅が旅の出発点、そして中心地となる。
各所に設置された
レンタル電動
キックボード
小布施町は、小さな町だ。平成の大合併で独立の道を選び、自分たちが納得して暮らしていきたいと思える町を長年かけて作り、独自の文化を確立した。
この電動キックボードもその1つ。
「まずは、やってみよう」
そういう空気が、町の中に溢れている。小さいがエネルギーに満ちているのだ。
中心地へは、
キックボードで5分
駅前で借りた電動キックボードに乗り、まずは町の中心地へ行ってみよう。
この電動キックボードは、東京の企業との提携で導入されている。推進しているのは、この町の魅力に惹かれて集まった若者たちだそうだ。
ここには、そういう不思議な引力があるようだ。
小布施町の「交流と創造」を
体現する場
小布施町の引力に惹きつけられて訪れた人に会うため、小布施駅近くにある町立図書館「まちとしょテラソ」を訪れる。
館長の志賀アリカさんが小布施にやってきたのは、今年の4月。前職はコンサルタントだったが、その仕事を通じて自分がやりたいのは「物語を紡ぐこと」ではないか、と気付いたのが図書館長公募に応募したきっかけだったという。
町の図書館長になった理由
「ここの図書館長公募を見たときに『図書館というのは物語の宝庫で、人生の交差点だな』と、急にぴんと来たんです。老若男女、日本の方、海外の方、勉強の好きな子、そうでない子…さまざまな方が訪れて、場作りを通じて町と人に寄り添う仕事ができればいいなと。
また、『まちとしょテラソ』は設立のコンセプトが『交流と創造』で、そんなところにも惹かれました」
交流と共創の町
交流と共創。この言葉には、この町の持つ歴史、風景、人々の営みに通底する魅力が凝縮されている。高度経済成長やバブル経済に後押しされて日本中の町並みがどこも似た景色になっていくなか、小布施町はその流れに逆らった。町民が望む町のかたちとは何か、住み続けたい町とはなにか。その問いを繰り返し、皆で考えてきた結果が、今のこの町だ。