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eアクスルとは?EVシフトを進める駆動ユニットの重要性を解説

EV | 2025.04.09

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eアクスルとは?EVシフトを進める駆動ユニットの重要性を解説

電気自動車(以下、EV)の普及が加速する中で、注目されているのがeアクスルです。eアクスルは、EVの駆動用モーター、インバーター、ギヤを一体化したユニットで、EVの性能向上と効率化を実現する要となっています。

当記事では、今後のEVの普及に欠かせない存在であるeアクスルの仕組みや役割、そして重要性についてまとめました。これからEVシフトを検討している方や、最新技術のトレンドを知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

eアクスルとは?

EVの駆動に重要な役割を果たすユニットがeアクスルです。大きく分けて、駆動用モーター、減速機、インバーターの3つをユニット化したものを指します。

eアクスルは、ガソリン車のエンジンとトランスミッションの役割を担います。eアクスルを搭載できるEVは、バッテリーEV(以下、BEV)に限りません。プラグインハイブリッド車(PHEV)や燃料電池車(FCEV)にも採用できます。

従来は、モーターやインバーターなどを個別に調達し、メーカーで一体化することが一般的でした。これらをユニット化し、小型・軽量化したものがeアクスルです。また、ユニット化したことによりeアクスルは、生産時間の短縮やコスト削減も実現しました。

eアクスルは、電力の供給があればドライブシャフトに駆動力を発生させるところまで完結でき、シンプルかつ効率的な駆動が可能です。世界的にEV需要が拡大するなか、国内電機メーカーや部品メーカーもeアクスルの開発を進めています。

eアクスルの役割

eアクスルは電動車両の駆動システムを支える重要な技術です。ここではeアクスルの各部品を解説します。

駆動用モーター

駆動用モーターは、EVの電気エネルギーを駆動力に変換し、車輪を回転させます。駆動用モーターは主に以下の2種類です。

  • 永久磁石を使用するタイプ:高効率かつコンパクトな設計
  • 電磁石を用いるタイプ:電流を流して磁力を発生させ、高温環境でも安定した性能を発揮

駆動用モーターは、EVのメインの役割を担っているともいえるでしょう。

インバーター

エネルギー効率や航続距離の向上に貢献しているのがインバーターです。インバーターは、バッテリーから供給される直流電気をモーター駆動に適した三相交流に変換する役割を担います。
あわせて、モーターの駆動を制御する機能も持ち、アクセルの操作に応じて出力を調整することで、スムーズな加速や減速を実現します。

減速機(ギヤ)

減速機はインバーターとともに、ガソリン車のトランスミッションに相当する部品です。モーターからの回転力を変換し、適切なトルクへと増幅させる役割を担います。
EVのモーターは高回転で動作するため、そのままでは駆動力が過剰になる場合があり、減速機による制御が必要です。減速機を通じて回転数を抑えながらトルクを増強することで、スムーズな走行が可能になります。

eアクスルのメリット

EVの駆動システムを支えるeアクスルのメリットをここでまとめました。

コスト削減でEVをもっと身近に

eアクスルは、駆動用モーター、減速機、インバーターを一体化したユニットです。これにより開発や製造の効率が大幅に向上します。
従来はそれぞれの部品を設計・製造する必要があり、多くの人手と時間を要しました。eアクスルを採用すれば、開発・製造の複雑さが軽減され、開発コストや人件費の削減につながります。
削減されたコストは、将来的にEVの価格へと反映される可能性があります。EVの価格が抑えられれば、多くの人へのEV普及につながるでしょう。

小型・軽量化でスペースを有効活用

EVはガソリン車に比べて部品の数が少なく、構造がシンプルです。eアクスルは駆動用モーター、減速機、インバーターが一体化されたコンパクトな設計のため、従来の駆動システムよりも省スペース化が可能です。
最新のeアクスルは、さらに小型化が進んでおり、車両デザインの自由度に貢献しています。広い車内空間の確保や、荷室スペースの拡大など、eアクスルを採用することで、車内で有効活用できるスペースはさらに広がるでしょう。

eアクスルを生産する主要メーカー

国内では、自動車部品メーカーや電機メーカーを中心にeアクスルの開発・生産が進んでいます。ここでは、主要メーカーを紹介します。

アイシン

アイシンは、自動車部品を幅広く手掛けるメーカーで、EV向けのeアクスルの開発・生産にも積極的に取り組んでいます。
アイシンのeアクスルは、前輪駆動、後輪駆動の両方に対応し、EVの多様なニーズに応えられることが特徴です。さらに、モーターやバッテリーの発熱を冷却するモジュールの開発にも力を入れ、高効率なシステム開発を実現しました。また、超小型eアクスルの開発も進めており、実現すれば少ない電力で長距離走行が可能になるでしょう。
アイシンは、SUBARUとの共同開発が注目されており、2020年代後半に販売されるEVにアイシンのeアクスルが搭載予定です。

ジヤトコ

ジヤトコは、ATや無段変速機(CVT)を提供し、CVTでは世界トップのシェアを誇るメーカーです。日産が75%を出資する系列会社であり、現在はEV向けのeアクスル開発にも注力しています。
現在は、日産のハイブリッド車「e-POWER」向けにeアクスルを供給する計画を進めています。そのシステムには、モーターやインバーターに日立Astemoの製品を採用し、高効率な駆動システムを搭載する予定です。
さらに、EV市場の拡大に対応するため、2030年までにeアクスルの生産体制を年間500万台規模へと拡大する方針を打ち出しています。

ニデック

ニデックは、モーターを中心とした総合電機メーカーで、eアクスルの開発にも積極的に取り組んでいます。現在、6タイプのeアクスルが製造されており、開発から生産までをグループ内で一貫体制のもと進めることが特徴です。
2024年には、永久磁石を使用しない誘導モーターを採用した次世代のeアクスルのモックアップを公開しました。2028年ごろには量産化できる見込みです。これにより、eアクスルはさらに小型化と高出力化が進むでしょう。

日立Astemo

日立Astemoは、ホンダが出資するサプライヤーで、eアクスルの開発に取り組んでいます。
ホンダが2026年からグローバル展開するEVのeアクスルでは、モーターとインバーター部分を日立Astemoが担当します。減速機部分は、ジヤトコの製品が組み合わされる予定です。
ジヤトコが日産に供給するeアクスルと一本化される見通しです。これによりより高性能なeアクスルの供給が可能になるでしょう。

eアクスルの進化で実現するカーボンニュートラル

カーボンニュートラル社会の実現に向けて、世界各国で環境規制が強化されています。CO2排出削減に貢献する電動車両の普及が進むなか、eアクスルの需要はますます高まるでしょう。ここでは、その進化がどのようにカーボンニュートラル実現に寄与するかを解説します。

さらに進む小型・軽量化

eアクスルの進化において、小型・軽量化は重要なポイントです。今後、eアクスルの小型化が進むことで、EVに搭載される自動ブレーキや自動運転技術などの先進安全機能に必要なセンサーや部品の搭載が可能になります。
また、eアクスルの軽量化は車両の軽量化にもつながるため、EVの電費や航続距離の向上も期待できるでしょう。

素材の改良で耐久性アップ

eアクスルの小型・軽量化が進むと、モーターの回転に伴い、軸受け部分にかかる負担が大きくなります。特に、高速回転時に表層が剥離(ピーリング)することが課題として挙げられます。
この課題にいち早く取り組んだのが、日本のベアリングメーカーNTNです。ベアリングで世界シェア4位を誇るNTNは、軸の材質や熱処理を見直すことで軸受けの耐久性を大幅に向上させることに成功しました。この改良により、eアクスルはさらに高速回転性能や耐荷重性能が向上し、長期間の使用でも安定した性能が発揮できるでしょう。

まとめ

eアクスルは、EVの性能向上と効率化を実現する重要な技術であり、持続可能な未来に向けたカギとなる存在です。
今後はさらに小型化や軽量化が進み、EVシフトはますます進むでしょう。進化を続けるeアクスルが、より多くのモビリティを支える中核技術として発展を遂げることが期待されます。

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