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サステナブルを楽しむ。スキー場がある発電所 in デンマーク
ENERGY | 2021.11.17
「サステナブル」と聞けば、なんだか堅苦しく、どこか少し「義務的」なものを感じてしまう。
しかし、新たなサステナブルの概念「Hedonistic Sustainability(ヘドニスティックサステナビリティ)」をもとに建設された発電所が、それらを取っ払い、サステナブルをもっと楽しいものにしてくれるかもしれない。
なんと、デンマーク、コペンハーゲンにあるこの発電所には、スキー場やクライミングウォールが設置されているのだ。
Hedonistic Sustainabilityは、この発電所を手掛けたBjarke Ingels Groupの代表であり、建築家のBjarke Ingels氏が作り出しだ造語で、日本語では「快楽主義的持続可能性」と訳される。なんらかの「諦め」や「我慢」を要していた従来のものではなく、サステナブルを追求しながらも人々がワクワクするデザインを提供したいという意思が込められているそうだ。
コペンハーゲンがある島「Amager」とデンマーク語で丘を意味する「Bakke」から「Amager Bakke」と名付けられ2017年にオープンしたこの発電所は、世界で最も環境に優しい廃棄物焼却発電所だと言われている。
6億6,000万ドル(約750億円)を投じて建設されたAmager Bakkeは、年間最大44万トンの廃棄物を、炉やタービン、蒸気を使って処理する。得られる電力は、16万世帯の家庭を暖め、さらに6万世帯に電力を供給することができるという。しかし、この施設を24時間体制で運営するのは、たった2人の技術者だけで済むというのだから驚きだ。
今回新たに建設されたコペンヒル(Copenhill)と呼ばれる建物にはスキーリフトが併設されているほか、ガラス張りのエレベーターから街のゴミが20万戸以上の家庭の電気と暖房に変換される様子を見ることもできる。
Bjarke Ingels Groupは8年前にこのアイデアを思いついたのだという。
「この発電所は世界で最もクリーンな廃棄物焼却発電所であり、サステナブルな都市は環境に優しいだけでなく、市民の生活をより楽しくしてくれる”Hedonistic Sustainability”の明確な例である」と、Ingels氏は述べている。
また彼は「if Copenhagen can do it, why can’t we?(コペンハーゲンにできることなら、なぜ私たちにもできないのか)」と他の人が参考にできる道標になりつつあると考えている。
この施設が完成したと同時に、コペンハーゲンでは、8年越しの夢が実現。
プロスキーヤーのNikolaj Vang氏がこの世界で最も優しい発電所を囲むように作られたコースを初めて滑り降りたのだ。
「私は35年間スキーをしてきたが、このコーティングの摩擦が完璧だったことにとても驚いたたし、なにより非常に嬉しかった。滑りが少なすぎたり多すぎたりするのではないかと心配だったが、このコーティングはどんなレベルにも対応できると思う」と語っている。
この発電所が先駆けとなり、Hedonistic Sustainabilityがもっと普及していくこと楽しみにしたい。
Source :New Power Plant Turns Waste into Energy—and Doubles as a Ski Slope and Climbing Wall