電気自動車(以下、EV)のユーザーにとって、充電ステーションの場所や料金は非常に重要な情報です。特に初めてEVを購入した方や長距離ドライブを計画している方にとっては、スムーズな充電ができるかどうかが、安心・快適なEVライフのカギといえます。
充電がどこで、どのぐらいの料金でできるかを事前に把握しておくことで、バッテリー残量に対する不安が軽減され、安心してドライブを楽しめるでしょう。
当記事では、充電ステーションの料金や利用時のマナーについて解説します。誰もが気持ちよく充電ステーションを利用するために、ここで確認しておきましょう。
EVの充電ステーションは全国で拡大中
EV普及の加速に伴い、EVユーザーが快適に利用できる充電ステーションの整備も全国各地で進んでいます。ここでは充電ステーションの設置数や今後の展開についてまとめました。
全国の充電器設置数は約4万口
全国のEV充電器の設置数は、普通充電と急速充電を合わせて約4万口に達しました(2024年3月末時点)。1年前の2023年3月末時点から普通充電器が約5,800口、急速充電器が約1,100口増加しています。
EVに不可欠な充電インフラが拡充すれば、EVがより身近な選択肢となり、カーボンニュートラル社会の実現に向けての一歩が進むでしょう。
日本国内では2030年までに充電器30万口を目標
充電ステーションは全国で増加傾向です。経済産業省は2030年までに設置数を30万口へと大幅に拡大する目標を掲げています。
さらにバッテリーの大容量化への対応、充電時間の短縮のため、現在は平均40kWの急速充電器の出力も引き上げられる見通しです。2030年までには平均80kW、高速道では原則90kW以上が見込まれています。
これらの取り組みで、近い将来EVの充電に不便を感じない環境が実現するともいえるでしょう。
新築マンションにはEV充電器の設置義務も
充電インフラの拡充は、マンションにも及んでいます。東京都では2025年4月から、新築マンションにEV充電器の設置が義務づけられることが決定しました。
また、新築か既存かを問わず、マンションへのEV充電設備の導入を支援する補助金制度も整備されています。補助金を活用すれば、充電設備費の50%、工事費は100%が補助されます(条件あり)。
たとえばコンセントタイプの充電器なら4基の設置で自己負担は約2万円。充電ケーブル付きタイプ1基で約15万円と、少ない負担で設置できる取り組みです。充電インフラの拡充は、マンションの魅力向上にもつながるでしょう。
マンションにEV充電器がなくても大丈夫!充電問題を解決する方法を解説
EV充電器の主な設置場所
EV充電器の設置場所は、ユーザーの利便性を重視して多様化しています。ここでは、主に設置が進んでいる場所と、その特徴を紹介します。
SA・PA(サービスエリア・パーキングエリア)
SA・PAは、長距離ドライブで高速道路を利用する際に外せない充電ポイントです。ドライブの休憩や食事を兼ねて効率的に充電ができます。2023年度末で685口のEV充電器が整備されており、2025年度にはさらに約1,100口の設置が計画されています。
カーディーラー
全国のカーディーラーには3,745口のEV充電器が設置されています(2023年度末時点)。開店時間にかかわらず閉店後も利用可能な店舗も多く、乗っているEVのメーカーにかかわらず充電器を利用できます。
複合商業施設
ららぽーとやニトリなど、大型店舗に多く設置されているEV充電器は、買い物ついでの効率的な充電が可能です。全国に861口の充電器が設置されています(2023年度末時点)。
コンビニエンスストア
全国のコンビニエンスストアでEV充電器が増加傾向です。すでに1,275口の充電器が設置されています(2023年度末時点)。24時間営業の店舗では、時間を問わずEVに充電できるメリットがあります。
ガソリンスタンド
ガソリン車でなじみのあるガソリンスタンドにも、EV充電器が設置されています。2023年度末時点で440口の充電器が整備されました。
大手エネルギー企業のENEOSは、2025年度までに1,000口、2030年までに約1万口の急速充電器設置を計画しています。
EV充電器の使い方
EV充電器の種類や接続方法など、基本的な知識があれば安心して利用できます。ここでは充電の手順をまとめました。
充電器の使用方法は以下の記事でも解説しています。
EVの充電は充電口にコネクターを差し込むだけ!手順や注意点を解説
普通充電
普通充電は、交流(AC)電力をEV内の変換機で直流(DC)に変換して充電する方法です。100Vや200Vの専用コンセントや充電器を使って充電します。
EVには2つの充電口があり、普通充電では小さい方の充電口にコネクターを接続して使用します。充電ステーションにはケーブルが付属していないコンセントタイプの普通充電器が置かれている場合があるため、EVを購入する際に標準装備もしくはオプションで入手できる充電用ケーブルをクルマに積んでおくと安心です。
急速充電
急速充電は、充電器内で交流(AC)電力を直流(DC)に変換し、車両に直接電力を供給する仕組みです。
急速充電では、EVにある2つの充電口のうち大きい方を使用します。急速充電器にはケーブルが付属しているため、車両にコネクターを接続するだけで簡単に利用できます。普通充電に比べて充電時間が短く、外出先でのつぎ足し充電に便利です。
また急速充電口は、EVの電力を外部に給電でき、EVから家庭に電力を供給する「V2H(Vehicle to Home)」にも活用可能です。V2Hは、災害時や停電時などの非常用電源としても注目されています。V2Hの詳細は以下の記事でも解説しています。
V2Hの価格と設置費用は?補助金情報やおすすめ機種も解説
EV充電器の利用料金
ここでは、外出先にある EV充電器を利用するための料金やルールを解説します。
充電器の利用には充電サービスの登録がおすすめ
外出先でEVをより便利に充電するには、自動車メーカーや充電サービスが提供する充電サービス(カードやアプリ)への登録がおすすめです。サービスを利用することで、充電ステーションの検索や経済的な料金プランの選択ができるなど、EVユーザーに大きなメリットがあります。
認証サービスの月額料金は1,000円以下のものから1万円以上のものまで幅広く、月額が高いプランほど急速充電の利用枠が大きい傾向があります。一方、認証サービスを受けずにビジターとして利用できる施設もありますが、設置数が少ないうえに料金が割高となる場合が多いのが現状です。
EVの充電サービスを賢く使おう!種類や選び方のポイントを解説
普通充電の利用料金
普通充電を利用する際には、認証サービスの月会費と充電時間に応じた都度料金がかかる場合が一般的です。1分あたりの都度料金の目安は1~5円と、サービスによって異なります。また、認証サービスには月会費のみで充電し放題となるプランもあり、頻繁に利用する方におすすめです。
例えば、「Myプラゴ」では月額980円で、指定した1施設の普通充電器が、ひと月あたりの上限時間なく使い放題できるプランが提供されています。こうした定額プランを選ぶことでコストを抑えつつ、便利に充電が可能です。
急速充電の利用料金
急速充電を利用する場合、認証サービスの月会費に加えて、1分あたりの都度料金がかかるのが一般的です。1分あたりの都度料金の目安は10円以下のものから50円以上のものまでさまざまです。普通充電に比べて割高な料金設定となっていますが、充電時間の短さから、外出先での経路充電などに適しています。
また、プラゴでは月額3,980円でよく利用する1施設の急速充電器が月300分まで使い放題になるプランも提供されています(1回最大60分利用可能)。
知っておきたいEV充電器利用時のマナー
充電ステーションは公共の場です。誰もが気持ちよく充電するため、節度を守って利用しましょう。ここではEV充電器利用時のマナーを解説します。
充電が終わったEVを停めたままにしない
EV充電器を利用する際は、次の利用者がスムーズに使えるよう配慮することが大切です。充電が終了してもケーブルを挿したままだと、他の人が利用できません。そのため、充電中、その場を離れる場合は終了時間までに戻り、速やかに車両を移動させましょう。
また、バッテリーの充電効率を考えることも重要です。急速充電器は、EVのSOC(バッテリー残量)が80%を超えると充電速度が遅くなるため、フル充電することに固執せず、必要な分だけ充電すると効率的です。
使用したケーブルは片付ける
ケーブル付きの充電器を利用した際は、使用後にケーブルを元の位置にきちんと戻しましょう。長いケーブルを地面に垂らしたままや道にはみ出した状態にしておくと、他の利用者の妨げになったり、踏んでしまってケーブルが傷む原因になったりします。
2回目以降の充電は待っている人がいないか確認する
使用時間に制限がある充電器を続けて利用する「おかわり充電」を行う場合は、待っている人がいないかを必ず確認しましょう。待っている人がいれば順番を譲る配慮が必要です。充電ステーションでは譲り合いの姿勢が大切です。
EVの充電にはMyプラゴが便利!
充電ステーションを快適に利用するためには料金や使い方だけでなく、マナーや譲り合いの意識が重要です。充電の際にはMyプラゴの車室60分取り置き機能を使うと待ち時間の心配もありません。サービスを上手に使い、自分自身もほかのEVユーザーも気持ちよく充電できるよう配慮することが、安心・快適なEVライフにつながります。