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「電気自動車(以下、EV)を購入するときに補助金が出るって本当?」「東京都に住んでいる場合はいくら補助金を受け取れるのだろう」と疑問に思う方も多いでしょう。東京都に住んでいる方は、EVを購入するときに国からのCEV補助金だけでなく、都からのZEV補助金も受け取れます。住んでいる区によってはさらに補助金が受け取れるため、さらにEV購入時の費用を抑えられるでしょう。
この記事では、東京都でEVを買う際の補助金をまとめました。ガソリン車より比較的車両価格が高いEVですが、補助金をもらえる場合は、どの程度の差額で購入できるのか見ていきましょう。
EV導入に伴う補助金とは?
EVはガソリン車と比較して車両価格が高く、購入を躊躇する方もいるでしょう。そこで、国や地方自治体ではEVやプラグインハイブリッド車(以下、PHEV)などの環境に配慮された車を普及させるため補助金制度を導入しています。ここでは、EV導入に利用できる補助金の概要やその目的について見ていきましょう。
新車購入時に申請後交付される
EVやPHEVといったクリーンエネルギー車の普及を後押しするため、国や自治体では購入費用の一部を補助する制度が設けられています。新車を購入した際、所定の条件を満たして申請することで、補助金が交付されます。
補助金の金額や対象となる車種、申請の条件は年度や自治体によって異なります。購入者は車両登録後に申請を行い、審査を経て補助金が支給される仕組みです。
電動車を普及させるための制度
EVは、走行時に排出ガスを出さない環境にやさしい車両として注目されており、国もその普及を積極的に推進しています。より多くの方にガソリン車両からEVへの乗り換えを促したいところですが、現状では車両価格が高めに設定されているため、購入に踏み切れないドライバーも少なくありません。
そこで、国はEVの購入時に補助金を支給することで初期費用の負担を軽減し、EVの普及率向上を目指しています。これにより、EVがより身近な選択肢となり、環境負荷の少ない移動手段としての利用が広がることが期待されています。
国だけでなく地方自治体からも受け取れる
EVの補助金は、国と自治体の両方があり、併用して受け取れます。特に、東京都では国・都・区の3つの補助を活用できるため、最大で100万円以上の支援を受けられるケースもあります。
申請にはそれぞれの要件や時期に注意が必要ですが、複数の補助金を組み合わせることで、EV購入の初期費用を大きく抑えることが可能です。
東京都には独自のZEV補助金がある
東京都からは、ZEV車両購入補助金(ゼロ・エミッション車補助金)が受け取れます。というのも、東京都は2030年までに都内で新車販売される乗用車を100%非ガソリン車にすることを目指しており、国内でどこよりも普及を推し進めているためです。国の補助金の対象となる車両に、追加で補助金を出しています。
ZEV補助金対象となる6つのEV・充電器
東京都の補助金対象は以下の6つです。
補助金対象商品 | 概要 | 補助金額(最大) |
BEV | バッテリーに蓄えた電気のみで走行する車両 | 60万円(外部給電機能付きなら100万円) |
PHEV | 外部電源から充電できるバッテリーとエンジンの両方で走行できる車両 | 30万円(外部給電機能付きなら50万円) |
FCEV | 水素をエネルギー源として発電し、その電力でモーターを駆動する車両 | 200万円 |
外部給電器 | 車両やバイクなどに外部から電力を供給するための機器 | 20万円 |
EVバイク | 電気の力だけで走行する電動バイク | 10万円 |
EVバイク充電器等 | EVバイクのバッテリーを充電するための専用機器 | 5万円 |
ここでは、補助金の対象や金額を紹介します。
BEV
バッテリーEV(以下、BEV)は、東京都のZEV補助金の代表的な対象です。新車購入時に最大60万円、外部給電機能付きの場合は最大100万円の補助が受けられます。また、個人・法人ともに申請可能で、東京都内で新規登録・使用することが条件です。
BEVについてより知りたい方は以下の記事を確認してください。
内部リンク:BEVとは?仕組みとガソリン車やHEV・PHEVとの違いも解説
用語集:BEV
PHEV
PHEVもZEV補助金の対象です。東京都のZEV補助金では、PHEVの新車購入かつ都内で新規登録・使用することを条件に、最大30万円の補助が受けられます。
また、外部給電機能付きのPHEVの場合は、補助額が最大50万円に増額されます。申請手続きはEVと同様で、購入後に必要書類を提出し、審査を経て補助金が交付される流れです。
PHEVは、EVの環境性能とガソリン車の走行距離の長さを両立できるため、郊外へのドライブや出張が多い人にも適しています。PHEVについて詳しく知りたい方は以下の記事をチェックしてみてください。
内部リンク:PHEVとは?EVやハイブリッド車との違いやメリット・デメリットを解説
用語集:PHEV
FCEV
水素自動車(以下、FCEV)は、水素を燃料とし、走行時にCO2を一切排出しない究極のゼロエミッション車のため、ZEV補助金の対象です。東京都のZEV補助金では、FCEVの新車購入・都内新規登録を条件に、最大200万円の高額な補助が受けられます。
FCEVは、短時間での水素充填が可能で、長距離走行にも適している車両です。東京都は水素社会の実現を目指し、水素ステーションの整備も進めています。なお、補助金の申請には、車両の登録書類や領収書、本人確認書類などが必要です。
用語集:FCEV
外部給電器
EVやPHEV、FCEVといった車両から家庭や事業所などへ電力を供給できる装置が外部給電器です。東京都のZEV補助金を活用すれば、外部給電器の導入に対して1台あたり最大20万円の補助を受けることが可能です。
補助金の申請には、購入証明や設置証明などが必要で、導入後に申請する流れです。外部給電器は、災害時の停電対策やイベント時の電源確保など、非常用電源としての活用が期待されています。
EVバイク
電動バイク(以下、EVバイク)は、東京都のZEV補助金で新車購入時に最大10万円の補助が受けられます。EVバイクは排ガスを出さず、騒音も少ないため、都市部の移動手段として注目されています。
なお、その他の補助金対象と同様に、東京都内で新規登録・使用することが補助金の条件です。EVバイクの普及は、都内の交通渋滞緩和や環境負荷低減にも貢献し、今後さらに需要が高まりが期待されています。
EVバイク充電器等
EVバイク用の充電器や交換式バッテリーステーションもZEV補助金の対象です。東京都では、これらの設備導入に対し、1台あたり最大5万円の補助が受けられます。
補助金の申請には、購入証明や設置証明などの書類が必要です。集合住宅や事業所、店舗などでEVバイクの充電器を設置することで、利用者の利便性が向上し、EVバイクの普及促進につながるでしょう。
国からの補助金:CEV補助金
国からは、車両価格に対して補助金が支払われるCEV補助金が受けられます。環境負荷の少ない次世代自動車の普及を目的として、国が車両購入者に対して交付する補助金です。
車両区分 | 補助金上限額 |
BEV(普通自動車) | 85万円 |
BEV(軽自動車) | 55万円 |
PHEV | 55万円 |
FCEV | 255万円 |
2025年度は、車載電池の安全性や重要鉱物の調達状況など新たな評価項目が加わりました。環境負荷の低い鋼材(グリーンスチール)を採用した車両には最大5万円の加算措置があります。
※2025年6月時点での費用になります。最新情報は公式サイトをご確認ください。
区からの補助金
区から受けられる補助金は、区によって異なるため「千代田区」「港区」「江東区」の3区について紹介します。上記の3区以外でも補助金を受けられる区もあるため、購入を検討している場合は事前に確認しましょう。
千代田区
千代田区では、EV1台あたり20万円助成金を受け取れます。国と都と区からの車両に対する補助金を合わせると、150万円になります。上限をあわせた金額であり、250万円の車両が100万円になるわけではありませんが、非常に高額な補助金です。
また、FCEVは50万円、PHEVには10万円の助成金が出ます。条件は、「区内に住民登録があるもの」です。中古EVには助成金が出ませんが、リース車の場合は同様に助成金が出ます。
港区
港区では、EVの充電設備の設置に対し、普通充電設備は1基あたり上限10万円(最大5基まで)、急速充電設備は1基あたり上限50万円(最大1基)を、設置費用の4分の1を上限に助成します。新築物件への設置も対象です。申請は工事着工前に必要書類を提出する必要があり、審査後の決定通知を受けてから工事を開始してください。
都内のディーラーで購入すれば事前に対応してくれますが、提出状況についてきちんと把握し、補助金を受けられるように注意しましょう。
江東区
江東区に住んでいる方は、1台につき一律10万円が助成金として給付されます。ただし、区の助成金とそのほかの補助金が、実際の支出額を上回った場合は減額されます。
また、車両への補助金だけでなく、充電器も対象です。充電用コンセントや充電用コンセントスタンド、V2H機器を設置するための費用の10%の補助金を受け取れます。港区同様、1基あたり10万円が上限で、最大5基までです。
ただし、太陽光発電システムや蓄電池などで「江東区地球温暖化防止設備導入助成事業」の助成金を過去5年以内に受け取っていないことが条件になります。
※2025年6月時点での費用になります。最新情報は公式サイトをご確認ください。
東京都民がEV導入をした際の費用シミュレーション
実際に東京都民がEVを導入した際、どのくらい費用がかかるのかシミュレーションをしてみましょう。条件は以下の通りです。
- 千代田区在住
- 給電機能あり
補助金を受けられた場合、どのくらいの価格でEVを手に入れられるのか見当を付けましょう。
日産:サクラ
日産サクラの中間グレードであるGの場合は、以下のように補助金が受けられます。
車両本体価格 | 308万2,200円(税込) |
国からの補助金:CEV補助金 | 57万4,000円 |
都からの補助金:ZEV車両購入補助金 | 75万円 |
区からの補助金:千代田区 | 20万円 |
車両本体価格-補助金 | 155万8,200円 |
補助金を受けられると、スズキのアルト ラパン(157万3,000円~)やダイハツのタント(174万9,000円~)などと比較的近い価格で購入ができます。さらに、エコカー減税(約1万5,600円)も適用され、税負担も軽減されます。
日産:リーフ
日産リーフの中間グレードであるe+G(2WD)の場合は、以下のように補助金が受けられます。
車両本体価格 | 448万4,400円(税込) |
国からの補助金:CEV補助金 | 89万円 |
都からの補助金:ZEV車両購入補助金 | 75万円 |
区からの補助金:千代田区 | 20万円 |
車両本体価格-補助金 | 264万4,400円 |
補助金があるため、ホンダのヴェゼル(264万8,800円~)やマツダのCX-3(227万9,200円~)などに近い価格で購入が可能です。
レクサス:RZ
レクサスRZ450e(versionL)の場合は、以下のように補助金が受けられます。
車両本体価格 | 880万円(税込) |
国からの補助金:CEV補助金 | 55万円 |
都からの補助金:ZEV車両購入補助金 | 45万円 |
区からの補助金:千代田区 | 20万円 |
車両本体価格-補助金 | 760万円 |
補助金を合わせると100万円以上お得になります。補助金だけでなく、購入時にかかる税金も減額になるため、さらに購入しやすくなるでしょう。
東京都のEV補助金申請方法
東京都のZEV補助金を申請するには、まず対象となるEVやPHEVの新車を購入し、都内で登録・納車を済ませます。手続きは、公益財団法人東京都環境公社(クール・ネット東京)の専用サイトからオンライン申請、または指定の書類を郵送で提出が可能です。
申請には車両の登録書類や領収書、本人確認書類などが必要です。申請内容は審査され、問題なければ補助金が交付されます。申請期限は年度末(令和8年3月31日17時必着)になるため、早めの準備と申請が重要です。※2025年6月時点での費用になります。最新情報は公式サイトをご確認ください。
補助金活用の注意点
EVの補助金を賢く活用するには、申請書類の不備や申請期間のミス、予算枠消化による早期終了リスクなど、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。事前の情報収集や相談先の活用、ディーラーや自治体窓口との連携が、スムーズな申請と確実な補助金獲得の鍵になるでしょう。
申請書類の不備・申請期間のミス
補助金申請では、書類の記入漏れや添付書類の不備が多く見受けられます。領収証の写しが原本でない、住民票・印鑑登録証明書が発行から3カ月以上過ぎている、車検証の所有者と使用者が異なるなどのミスがあると、申請が受理されません。
加えて、申請期限が過ぎると、受付不可になるため、車両購入後は速やかに書類をそろえて提出するようにしましょう。不備や遅れがあると、受け取れるはずの補助金が受けられなくなるので注意が必要です。
予算枠消化による早期終了リスク
EV補助金は国や自治体ごとに予算が設定されており、申請者が多い場合は年度途中でも早期に受付が終了します。実際、過去には申請開始から数か月で予算が埋まり、受付が締め切られた例もあります。
補助金は先着順で申請受付され、予算消化時点で終了するためです。車両購入や登録手続きが済み次第、速やかに必要書類を準備し、申請手続きを進めることが重要です。また、年度ごとに申請期間や対象車両、補助金額が変更される場合もあるため、公式サイトなどで最新情報を常に確認しましょう。早めの行動が、補助金をスムーズに受給するためのカギとなります。
東京都民はディーラーや自治体窓口を活用しよう
複数の補助金を受けられる東京都民こそ、補助申請にはディーラーや自治体窓口を活用しましょう。まず、ディーラーは補助金申請のサポート実績が豊富です。そのため、必要書類の案内や申請手続きのサポートを受けられます。
東京都や区市町村の窓口でも、補助金の詳細や申請方法について相談可能です。また、電話でも相談ができ、自宅にいながら不明点を明らかにできます。両者を積極的に活用するとよいでしょう。
東京都民だからこそ!EVを活用するメリット
東京都は日本の中心都市であり、東京都だからこそEVを利用することで得られるメリットがあります。以下では、他県にはないさまざまな利点を紹介していきます。
充実したEV充電インフラ
東京都は、2035年までに公共用急速充電器を2,000基設置する計画を掲げており、続々と充電ステーションが増加しています。例えば、路上の急速充電ステーションやパーキングチケット併設型の充電器などです。さらには、ファミリー層が利用する代々木公園駐車場や井の頭恩賜公園第二駐車場といった公園にも設置場所を拡大しています。
経路充電と基礎充電の両面からEVユーザーの使いやすさを追求していることから、東京都はEVを使いやすい地域といえるでしょう。
マンションには続々と充電設備が拡充予定
2025年4月から、東京都は新築マンションに駐車台数の2割以上のEV充電設備設置が義務化されました。既存マンション向けの補助金も拡充され、2030年までに都内集合住宅に6万基の充電器設置を目指しています。
そのため、今後マンション住まいでもEVを利用しやすい環境が急速に整うでしょう。EVを検討しているけれど、マンションに充電器がない場合は、以下の記事を確認してみてください。
内部リンク:マンションにEV充電器がなくても大丈夫!充電問題を解決する方法を解説
他県よりも受けられる補助金
東京都のEV補助金は全国でも突出して高額で、2025年度は条件次第で最大100万円の補助が受けられます。これは国のCEV補助金に加え、都独自の補助が上乗せされる仕組みです。
さらに区市町村の補助金も併用できるため、自己負担を大幅に軽減できます。他県と比べても東京都の補助制度は手厚く、EV導入の大きな後押しとなっています。
車両の給電機能や再生可能エネルギー設備の導入状況などにより補助額が変動するため、最新の申請条件や対象車種を必ず確認しましょう。
東京都のEV補助金に関してよくある質問
東京都のEV補助金に関してよくある質問をまとめました。
①EVは減税されるって聞いたけれど本当?
②補助金の締切はありますか?
③EVの種類によって補助金の金額は変わりますか?
それぞれ見ていきましょう。
EVは減税されるって聞いたけれど本当?
EVはガソリン車に比べて減税されます。減税されるのは、自動車税・自動車重量税です。加えて、環境性能割は非課税になります。EVの税金について詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてください。
内部リンク:EV購入のお金のメリット:最新の税制優遇・補助金情報と賢い活用術
補助金の締切はありますか?
補助金は原則として新車登録から1カ月以内に申請が必要です。しかし申請受付時期であっても、国や都が用意している予算が消費され次第、受付が終了する可能性があります。国のCEV補助金は定期的に予算の消費状況が公表されるため、気になる人は経済産業省や一般社団法人次世代自動車振興センターなどの公式ホームページをチェックしておきましょう。
EVの種類によって補助金の金額は変わりますか?
車両によって補助金の額は異なります。同じ車種でもグレードが異なれば、補助金が異なる場合があります。車種別の補助金の価格が知りたい場合は、一般社団法人次世代自動車振興センターが出している銘柄ごとの補助金交付額を確認しましょう。
まとめ
この記事では、東京都のEV補助金についてまとめました。国からの補助金だけでなく、都や区からも補助金を受け取れます。車両に対する補助金だけでなく、充電器にも補助金が出る場合があるため、事前に確認しておきましょう。
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