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アメリカは広大だ。1年を通じて温暖な気候が続くカリフォルニアもあれば、逆に1年を通じて冬の気候が続くアラスカまである。
アラスカほど極端な気候でなくとも、ニューヨーク州を含むカナダとの国境付近は冷帯気候地域にあたり冬はかなり寒くなるため、空調によるエネルギー消費量が深刻な課題となっている。
一般家庭における電気代の56%が空調や給湯によるものだそうだ。
課題:高効率なヒートポンプを開発せよ
そこでDOE(アメリカ合衆国エネルギー省)では、寒冷地の住宅向けに高効率なヒートポンプを開発するチャレンジを開催した。
日本からはダイキンや三菱電機も参戦し、しのぎを削ってヒートポンプを開発したという。
ところで、ヒートポンプとはなんだろうか。
身近なところではエアコンや冷蔵庫でも使われている技術で、低温部分から高温部分へと「熱を移動させる」技術のこという。この移動をポンプにたとえて、ヒートポンプと呼ばれている。
たとえば冷蔵庫やエアコンでは、オゾンなどの熱媒体(冷媒)を減圧すれば周囲よりも低温になって熱を吸収するので涼しく、逆に圧縮すれば高温になって熱を放出するので暖かくなる。
直接的に空気を温めるヒーターなどに比べ小さな電力で稼働できるため、省エネに繋がる技術でもあるのだ。
年間500ドルの電気代節約に
今回のチャレンジでDOEが課した課題は決して簡単なものではなかったが、それだけに、条件を満たした時に期待できる「電気代」への影響は、実に年間500ドル(約6万8000円)の節約に繋がるという。
条件を満たしたのは残念ながら日本企業ではなく、アメリカのレノックスインターナショナルが制作したプロトタイプで「-15℃で効率100%、-26℃で効率70〜80%」を実現したものだという。今後2年間の実地テストを経て2024年から商業展開する予定だ。
電気代の節約ができるということは、それだけ発電に関わる資源消費を抑えられることを意味する。
サステナブルな電源への置き換えを推進するための意義ある取組みと言えるだろう。
SOURCE : DOE Announces Breakthrough in Residential Cold Climate Heat Pump Technology