電気自動車の技術向上にともなって現実味を増しているのが、自動運転だ。
その理由は、動力がエンジンではなくモーターであるため、燃料の気化(爆発)による動作よりもきめ細かく繊細な操作が可能だからだ。
また、エンジンほど高い熱を持つこともないのでコンピュータとそれをサポートする精密機器を安定して動作させることもできる。
アメリカ主要都市で初の「商用自動運転タクシー」
しかし自動車をいくら精密に動かすことができても、公道上では予期せぬトラブルに対処しなくてはならないため、完全な自動運転は難しいとされている。
飛び出してくる歩行者、路上駐車の影に隠れた動物、街路樹で見えない標識、乱暴な運転をするドライバー… 公道には数え上げればきりがないほどの「予測不可能」が溢れているのだ。
そのため、これまでアメリカで実用化されてきた自動運転タクシーは「ドライバーの同乗」が義務付けられていたり、無人運転の場合は料金を請求することができなかったりと、さまざまな制限をかけられていた。
しかし今回、GM傘下の自動運転ベンチャー「Cruise」が開発した自動運転タクシーでは、アメリカで初となる「商用自動運転タクシー」が実現、6月9日にカリフォルニア州公共事業委員会(CPUC)から正式な許可が下りることとなった。
自動運転タクシーに残る課題は
当面Cruiseに許可される営業範囲はサンフランシスコの一部、ゴールデン・ゲート・パーク周辺からアラモ・スクエア、シビックセンターを含めた範囲となる。地図を見るとわかるが、この範囲は日本の京都のように「碁盤の目」になった直線的な道路で構成されているので、非常に見通しの効く道路環境だ。これも許可を受けた1つの理由かもしれない。
(© 2022, Google)
また、走行速度の制限は時速30マイル(約46キロメートル)まで、稼働台数は30台まで、時間帯は22時〜6時の深夜から早朝に限られる。
Cruiseの担当者は営業範囲と時間、台数の拡大のために努力を続けるとプレスリリースを発信しているが、まだ課題は残るという。
それが、サンフランシスコの交通当局、警察機関などが連携したグループの指摘する「駐車位置」の問題だ。Cruiseは現在のところ、路肩の駐車帯ではなく車線内にしか停車できないため、利用者の乗り降りに危険があるばかりか緊急車両の通行を妨害する恐れがあるという。
ある意味で、人間が「運転する」時にどれだけ複雑な処理プロセスを実行しているのかが分かる、今回のニュース。Cruiseは世界的な「自動運転タクシー」の流れを作り出すことはできるだろうか。
SOURCE : Cruise can finally charge for driverless robotaxi rides in San Francisco