「三方よし」のEbay Imperfectsが、埋立地行きの衣料品を救う

コロナ禍におけるオンライン市場拡大と、ファッション業界の課題

2020年以降のコロナ禍において、人間の行動はオフラインからオンラインへと急速に移行した。
例えば従来はオンラインショッピングを利用していなかった人も、これを機に洋服や日用品などの購入に利用するようになった、という人が多くいるだろう。

一方、ファッション業界では大量生産・大量消費を行う企業が多く、日本だけでも1年で約100万トンの洋服が廃棄されていると言われている。 余剰在庫も深刻で、年間約28億点が生産され約14億点が余っているというデータもある程だ。

そんな中、米カリフォルニア州に本社を置くEコマース大手のEbayが、廃棄され埋立地行きになる衣料品を救うためのマーケットプレイスを立ち上げた。

新品ながらも欠陥のある衣料品を扱う「Ebay Imperfects」

Ebayがアースデイ（4月22日）に新しく立ち上げたのは「Ebay Imperfects」というマーケットプレイス。
ここでは、新品でありながらも何らかの欠陥で品質検査を通過できなかった衣料品を販売し、利用者は最大60％割引で購入できるという。つまり大型アウトレットモールを、いつでも・どこでも・誰でも購入できるようにオンライン上で開店したということになるが、従来アウトレットで取り扱われることのなかった多くのハイブランドとも提携しているという点がポイントだ。

例えば、「小さな傷」により従来であれば廃棄されるはずだったSaint Laurentの本革ハンドバッグは、899ポンド（約144,722円）で売られている。これは希望小売価格より50％も安い金額であり、お得に購入できる消費者は嬉しいはずだ。
同時にブランド側にとっては、サステナブルな企業としてのイメージ向上に加え、廃棄コストを回収できるというメリットもある。

さらに、廃棄されるはずの商品が売れるということは、廃棄物が減り気候変動の悪化を防ぐことも意味している。
「Ebay Imperfects」は、消費者・ブランド・地球の三方にとって利益がある「Win -Win -Win」の関係を築いているのだ。

消費者ニーズと環境への理想が一致することで、成長を遂げる市場

世界最多規模のオークションサイトを運営しているEbayは、消費者が、多少の傷があってもハイブランドの新品を安価で購入できることに魅力を感じるだろうと考えている。また、「Ebay Imperfects」の利用者の34％が「環境のために意識的に買い物をしたい」と考えているという調査結果もあるそうだ。

消費者のニーズと環境への理想が一致することで、この市場は今後ますます成長を遂げ、より多くのブランドが参入するだろう。「Ebay Imperfects」では、現時点でThe North Face、Fila、Off -Whiteなど100ブランドとの提携が決まっており、同社は毎週1,300万点のファッションアイテムを埋立地から救うことができると予測している。

「経済的圧力と気候変動危機が消費者心理に影響を及ぼす中、衣料品を埋立地行きにしないための一つの手段として、Ebay Imperfectsを立ち上げたことを誇りに思います」と、Ebay UKのファッション部門責任者Jemma Tadd氏は述べている。

Source :Ebay Launches Marketplace To Divert Imperfect New Fashion Items From Landfill