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アフリカで、廃プラから海を守る”海賊”を育てる取組み

深刻化するアフリカの廃プラ問題

サハラ以南のアフリカでは毎年1,700万トン以上の廃棄物が発生しているが、廃プラのうちリサイクルされているのはわずか12%。さらに、海に流出する廃プラは2040年までに今の3倍の2,900万トンになると推測されている。

この問題に立ち向かうための取組みとして、小学校の子どもたちに向けたユニークな教育プログラムが始まったという。

廃プラから海を守るための教育プログラム「Captain Fanplastic」

Captain Fanplasticと呼ばれるこのプログラムは、南アフリカ・ケープタウンに拠点を置くマーケティングサポート企業SoapBoxの発案から始まったもの。
国連のSDGs目標14「海の汚染を減らす」に貢献しようとする取組みの1つで、Edtechを活用し海洋廃棄物削減に係るリテラシーの向上を目指している。

このプログラムはまず、ストーリーテリング(デジタル紙芝居)から始まる。そして、宝探しや創造的な工作などの対面式プログラムに加え、電子書籍、オーディオブック、eラーニング等も用いて、ゲーム感覚で廃プラについて学べるよう設計されている。
その中で子どもたちは、プラスチックが与える悪影響だけでなく、プラスチックが持つ価値についても意識を高めているという。

小さな”海賊たち”が、自ら声を上げ行動できるように

「Why do you think pirates are called pirates? Because they ‘Rrrrr’.(なぜ海賊が海賊と呼ばれると思う?それは彼らが海賊だからだ)”」

これは、Captain FanplasticのファシリテーターYanga Gceya氏が、この活動の根底にある重要なメッセージを子どもたちに伝える言葉だ。
本来ならば「Because They Are」となるが、「Are」と発音が似ている「Rrrrr(海賊の叫び声)」を掛けることで、ジョークを交えて伝えているという。

「私たちは、特に7歳から12歳までの小さな”海賊たち”が、プラスチックを拒否、削減、再利用、リサイクルするために’Rrrrr’できることを示したい。私たちの目標は、世界中の17万5千人の子どもたちに届けることです」と、彼は言う。

つまりこのプログラムは、子どもたちが自ら声を上げ、行動できるように教育しようとするものなのだ。
同社は子どもたちに廃プラ関連の教育を提供し、彼らの生活習慣を向上させることで、将来的にプラスチック使用量の削減や持続可能な社会を構築していくことを目指している。

「Captain Fanplastic」の更なる拡大に期待

Captain Fanplasticは、2018年に始まって以来、すでに南アフリカとオランダにおいて二十以上の学校で採用されており、プログラムの更なる拡大も期待されている。

イノベーション財団ネスタ・チャレンジズが立ち上げた「Afri-Plastics Challenge」は、プラスチックへの依存を最小限に抑える方法と廃プラの新しい活用方法を見つける取組みを表彰することで、サハラ以南のアフリカで廃プラの海洋流出を防ぐことを支援しようとするものだが、この賞のセミファイナリストにCaptain Fanplasticが見事ノミネートされたという。

受賞者が選出されるのは2023年3月。受賞者には約4,100万円(250,000ポンド)が贈呈される。

「もし私たちが受賞したらアニメーションを作りたい。得られた資金で、新しいパートナーを獲得するだけでなく、プログラムの拡大にも役立てたい」と、Gceya氏は述べている。


Source :Meet the young pirates protecting the ocean from plastic pollution

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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