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太陽光や風力のエネルギーを数ヶ月間凍結保存できる電池が開発される

ENERGY | 2022.05.11

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太陽光や風力のエネルギーを数ヶ月間凍結保存できる電池が開発される

米カリフォルニア州、クリーンエネルギーで電力需要の97%をまかなう

2022年4月3日、米カリフォルニア州は太陽光発電や風力発電といったクリーンエネルギーで、必要なエネルギーの97%以上をまかなった。

2045年までに炭素排出ゼロの電力システムの構築を目標に掲げる同州にとって明るいニュースだが、電力需要が増す夏に課題が残る。
同州は環境上の理由から天然ガス発電所を閉鎖したこともあり、過去2年間の夏は電力供給に窮しているのだ。

クリーンエネルギーの課題

国際エネルギー機関(IEA)によると、近年、風力発電と太陽光発電が天然ガスや石炭に代わって急速に普及している。環境への配慮もある一方で、ロシア軍のウクライナ侵攻や新型コロナウイルスの感染拡大によって、天然ガスや石炭の価格が高騰していることも要因だ。現時点では世界の発電量の9%程度だが、クリーンエネルギーへのシフトは今後ますます加速すると予想されている。

一方で、カリフォルニア州の例で分かるように、風力発電と太陽光発電には弱点がある。
それは発電量が天候に左右されること。
年間を通してクリーンエネルギーのみで電力を供給するには、無風の日や曇りの日も困らないように「エネルギーをどう保存するか」が鍵になる。

その方法の1つとして考えられているのが、気温が穏やかで日照時間の長い春に発電したエネルギーを夏まで蓄えておくという方法だが、Pacific Northwest国立研究所(PNNL)の研究者たちが、まさにそのような電池を作り出したという。

エネルギーを凍結保存する期待の電池

PNNLの研究チームが開発したのは、エネルギーを「凍結保存」できる「凍結融解電池」。

これは溶融塩電池の一種で、数十年前からある技術を用いたものだが、電解液が溶けた状態の180℃で充電され、イオンが流れ込んでエネルギーを生み出すという。これは一般的な溶融塩電池が動作する245~350℃より低い。

充電後、室温まで冷やすことで内部電解液が固まり、エネルギーも固定される。そして固定されたエネルギーを、数ヶ月間保存できるという仕組みだ。エネルギーを使用する際は、電池を温めることで保存されたエネルギーの90%を放出することができる。

ホッケーパック(厚さ約2.5cm、直径約7.5cm)ほどのサイズの試作電池を使ったテストでは、12週間にわたって92%のエネルギー放出を維持することができたという。

論文の筆頭著者のMinyuan Li氏は「これは春に庭で食物を育て、余った食物を容器に入れて冷凍庫に入れ、冬にそれを解凍して夕食にするのとよく似ています」と、プレスリリースに記した。

研究チームの上級戦略アドバイザーで共著者のVince Sprenkle氏は「風力発電所に停めた全長12m程度のトラックに大型電池を搭載するようなイメージです」と構想を語る。「この電池を春に充電し、夏の暑い時期に変電所までトラックを走らせるのです」。


Source:This battery could freeze solar and wind energy for months,California Ran on Nearly 100% Clean Energy This Month

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TEXT:
深森サラ ( Twitter )

地球と自分に優しくありたいです。興味領域はサステナブル、ウェルビーイング、テック。

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