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ロープウェイに乗ったことがない、という人は少ないだろう。登山用、スキー用、そして景色を楽しむ観覧用ロープウェイは日本に多くあり、レジャーの気分を高める「非日常の」乗り物として定着している。
しかし今、そんなロープウェイが「空と道路の間」という都市のデッドスペースを活かす新たなモビリティとして注目を集めていることをご存知だろうか。レジャー用ではなく「実用的な」乗り物としてだ。
都市型ロープウェイのメリット
「都市型ロープウェイ」と聞いて、1951年に開業して2年間だけ運行された「ひばり号」を思い出す人もいるかもしれない。
現在で言うと、渋谷のスクランブル交差点にあたる場所の空中を、デパートとデパートの屋上を繋ぐ形で運行していた都市型ロープウェイだ。
また、昨年4月に横浜みなとみらい地区で開業した「YOKOHAMA AIR CABIN」も都市型ロープウェイの1つだ。ひばり号が完全なレジャー目的だったのと比較すると、こちらは「モビリティ」としての側面が強い。
桜木町駅から人気観光地の赤レンガ倉庫街までを、運河をまたぐ形で一直線に繋いだことで、陸路では遠回りせざるを得なかった2地点間の移動をスムーズにした。
「曲がれる」自走型ロープウェイの開発を進める、日本発ベンチャー
陸の地形に関わらず、最短距離で2地点以上を繋ぐことができるというロープウェイのメリットは、まさに「空と道路の間」に生まれていた都市のデッドスペースを有効活用する手段として注目されている。
しかし一方でデメリットもある。それは「曲がれない」ということだ。
ロープウェイはその仕組み上、湾曲した路線を組むことができない。直線を保たないとケーブルがたわんでしまい、動力がゴンドラに伝わらないからだ。
となると、横浜のように障害物の少ない運河上を渡ることはできても、ビル街の中を通ることはできない。その問題を解決しようという日本発ベンチャーが「Zip Infrastructure」だ。
空中に架線された路線を「自走式」のゴンドラが走る仕組みに変えたことで、空中で曲がることができる画期的なロープウェイ「Zippar」の開発を進めている。
曲がることのできるモノレールの特徴を、より建築コストの小さいロープウェイに組み合わせた新しいモビリティと言えるだろう。
新しいモビリティが都市のサステナビリティを進めるか
このほど、「Zip Infrastructure」はキャピタリストから1.9億円の資金調達をしたという。
東京は世界にもまれに見る過密都市であり、これから新たなモビリティを追加しようにも地上はおろか、地下にも余裕がない状態だ。
そこへこの「Zippar」が導入されれば、道路渋滞が解消されるかもしれないし、乗り合いができるので二酸化炭素排出量も減らせるだろう。自動運転なので、交通事故の可能性もぐっと低くなる。
成熟都市をよりサステナビリティに優れたものへと変革する可能性のあるモビリティといえるのではないだろうか。
SOURCE : 曲がれる自走型ロープウェイ「Zippar」を開発しているZip Infrastructure株式会社は資金調達を実施、革新的な交通システムを開発する各種エンジニアを募集します