NEWS
おいしさの裏側で増え続けるコーヒーかすの廃棄量
朝のリフレッシュに、おやつタイムに、仕事の合間の息抜きに、コーヒーを飲むのが好きな人は多い。特にコーヒー豆から挽いて淹れるコーヒーの香りや味は格別だ。
しかしおいしいコーヒーを楽しんだあとには、必ずかすが残る。このコーヒーかすの廃棄量は世界的な問題になっている。
例えば、コーヒー好きの人が多いことで知られるイギリスでは、国内で1日あたりに飲まれている量がコーヒーカップにしてなんと9,800万杯。そこから出されるかすの量は年間約50万トンにも及ぶという。
この膨大なコーヒーかすを廃棄処分すると、多くの温室効果ガスが排出され多くの埋立地も必要となる。
この問題に着目したのが、同国のスタートアップ企業bio-bean社だ。
コーヒーかすからバイオ燃料を生み出す
bio-bean社では、なんと廃棄されるコーヒーかすからバイオ燃料を作っている。
きっかけは、同社の創設者であるArthur Kay氏が、冷めたコーヒーの表面に油が浮いているのを見て燃料としての可能性に気づいたこと。今ではイギリス全土のカフェやコーヒー製造工場、オフィス街などからコーヒーかすを集める「コーヒー回収システム」を確立し、世界最大規模のリサイクル工場で、バイオ燃料を生み出しているという。
その仕組みは意外にシンプル。
回収したコーヒーかすを乾燥させ、油分を抽出、それを圧縮してペレットという固形燃料に加工しているのだ。
このコーヒーペレットはストーブやボイラーの燃料などに使われるのだが、一般的な木材ペレットよりも15%以上高い発熱量があり、燃焼効率が良いため少ない量で済むという。
コーヒーかすを再利用することで、コーヒーの廃棄に伴って排出されていた二酸化炭素量は8割ほども削減できたそうだ。
さらにバイオ燃料の原料にコーヒーかすを使うことで、従来原料にされていたトウモロコシや大豆などの作物を食料に回せるというメリットもある。
ただゴミとして廃棄処分されていたコーヒーかすから新たなエネルギーが生まれ、二酸化炭素排出量を減らし、そして食糧難にも貢献しているのだ。
これからも毎日コーヒーを楽しむために
コーヒーを淹れるとコーヒーかすが残ってしまうのは必然だ。大切なのは、かすをそのまま燃えるゴミとして廃棄するか、それとも何か捨てずに再利用できないかを考えること。
消臭剤や家庭菜園の肥料として使用するのもひとつの手だ。
また日本でも、大学が自治体や大手コーヒーショップと手を結び、コーヒーかすからバイオ燃料を作る研究を行っている。いつか職場や家庭からもコーヒーかすが回収されるシステムができるかもしれない。
当たり前のようにゴミだと思っていたものが、貴重なエネルギー源になり環境負荷を減らす可能性を秘めている。その可能性は常に意識できるようにしていたい。
SOURCE: Coffee, what else? – The Next Biofuel | Green Journal