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自然エネルギー切り替えへの取組み
世界中で、有限な天然ガスを用いたエネルギー開発から自然エネルギーへの切り替えが進んでいる。温室効果ガス排出量の削減を目指し、例えば「インドが目指す「世界初の完全グリーンな地下鉄」の記事で紹介したように、様々な変革が世界各地で行われている。
地下鉄の電力を100%自然エネルギーで賄うのもとても素晴らしい取組みだが、オーストラリアではさらにスケールの大きい取組みが進んでいるという。
なんと南オーストラリア州において、「州全体の電力需要の100%」を自然エネルギーで賄うことに成功したのだ。
Awesome!
South Australia Smashes Renewable Record Using 100% Solar And Wind For Full Week https://t.co/kEbwokW2Nz #CleanEnergy #ClimateAction
— Debbie Levin (@DebbieatEMA) January 28, 2022
1週間、自然エネルギーだけで稼働する南オーストラリア州
約165万人が住み、日本の関東地方の30倍にも及ぶ面積を持つ南オーストラリア州。
そんな同州で、昨年12月末に風力発電64.4%、屋上太陽光発電29.5%、発電所規模の太陽光発電6.2%で、州内需要電力の100%を超える発電に成功したというニュースが発表されたのだ。
さらに驚くのは、それが1日や2日ではなく、1週間にわたって持続したということである。前年の同時期には需要の142%を自然エネルギーで賄うなど今までも100%を超える日はあったが、1週間連続して賄うことができたのは初めてのことだったという。
地域に適した方法を使うことで拡がる、自然エネルギーの利用
日本でいうところの冬の期間、南半球に位置する南オーストラリア州は1年で最も暑く、風が強く、そして乾燥している時期となる。
そのため、12月後半に気温約43℃にも達する太陽エネルギーと、平均風速10mphの風力エネルギーを惜しげもなく利用できるのだ。
しかし、単に自然の恩恵に浴しているだけではない。
同州は自然環境から得られるエネルギーをより効率良く利用するため、2017年には129MWhのエネルギーを蓄えることができる世界最大のリチウムイオン電池Hornsdale Power Reserveを建設し、さらに、家庭用の蓄電池の整備も積極的に進めているという。
また、そうした自然エネルギー活用の動きは民間でも盛んだ。
国際再生可能エネルギー機関の資料によると、オーストラリアの住宅用太陽光発電の設置費用はタイやマレーシアなど人件費が低い国と同程度であり、米国やヨーロッパよりもはるかに安価であることが示されている。
海に囲まれた島国、日本でも海洋発電の機運が年々高まっているように、それぞれの地域特性に合わせた方法で南オーストラリア州のように自然エネルギーの活用を進められるはずだ。そのためには、官民一体となった取り組みが重要であることを、この南オーストラリア州の事例は教えてくれている。
Source :South Australia Smashes Renewable Record Using 100% Solar And Wind For Full Week