ベンガル湾に面し、インドとミャンマーに国境を接するバングラデシュ。
その国土の大部分にはガンジス、メグナ、ブラマプトラの3大河川によるデルタ地帯が広がり、多くの水路が網の目のように走っている。
人々の暮らしは川と共にあり、国土の3分の2が湿地であることから、ほとんどの耕作地域は雨季になると河川の溢水により水に沈むという。
このような地理環境において安定した食糧栽培を可能にするために、バングラデシュでは何世紀も前から行われてきた「水上庭園」。
今、この手法が、気候変動により洪水に見舞われやすくなっている地域において、食糧不足問題の解決策となることが期待されているという。
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水上庭園とは、一体どのようなものなのだろうか。
まず、ホテイアオイ(ウォーターヒヤシンス)等水中に生息する水生植物を植え、その植物を層のように編み込むことで、水に浮かぶいかだのようなものを作る。そのいかだのくぼみに、ほうれん草やオクラ、ナスなどの野菜の種を植えるのだ。
いかだは常に水の動きに合わせて揺れ、浮かんでいる。
そして、いかだの水生植物が徐々に分解されることで栄養素を放出し、それが種に栄養を与え育てるのだ。
さらに、野菜の収穫後は、その乾燥したいかだの残留物から堆肥を作ることもできるという。
なんともサステナブルな畑なのだ。
さらに水上庭園は、食糧不足を解消するだけではないのだという。
水上庭園を利用している農家は、安定的な収入を得ることができることも分かった。
通常、水上庭園でさまざまな種類の野菜を栽培するためには、毎年ハイブリッド種を購入する必要があり、害虫被害を防ぐための農薬にもコストがかかる。
しかし、それらの経費を差し引いても、コストよりもメリットが大きいのだという。従来の水田に比べ4倍もの収入を得ている農家もあるそうだ。
これらの利点を考慮し、研究者は「バングラデシュの水上庭園は国の豊かな文化遺産の一部ではない」という結論を出した。
洪水が発生しやすい世界の他の地域で取り入れられたならば、水上庭園は、気候変動の影響を受けやすい地域の人々に安定的な食糧と収入を提供することができる、持続可能な手法なのだ。
「我々は、気候変動の犠牲者である人々の適応的変化に注目しています」と共著者である米オハイオ州立マーション国際安全保障研究センターの研究員Craig Jenkins氏は述べている。
Source :Farmers Now Use Floating Gardens To Keep Crops Alive When it Floods — A Climate Crisis Lesson