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世界初、地元の土と3Dプリントで建てるサステナブル住宅
ARCHITECTURE | 2022.01.05
あらゆる業界で脱炭素が叫ばれている今、建設業界も様々な課題を抱えている。
国連環境計画(UNEP)によると、2019年の世界全体の二酸化炭素排出量のうち、建設・不動産の占める割合は38%。その主な原因はコンクリートの製造や、重い建築材の国際輸送によるものだという。
そんな中、イタリアの建設スタジオMario Cucinella Architectsと、3DプリントのパイオニアであるWASPが共同で、世界初の3Dプリント住宅を建設した。
Cool–World's First 3D-Printed House Made Of Local Raw Earth – And it Closes the Roof With a Dome https://t.co/NuXnsRGZAJ #sustainability pic.twitter.com/0wNRIu8UcM
— Terri Nakamura (@terrinakamura) December 22, 2021
長らく建築への活用が期待されてきた3Dプリンターは、その高機能かつ高価な材料が普及への高いハードルとなっていた。
このプロジェクトは、進化した技術(Technology)を、昔から地球上のどこにでもある粘土(Clay)と組み合わせたことから、「TECLA」と名付けられている。
特筆すべき点は、なんと言ってもその建築材料。
この住宅は地元の土、米の藁、もみ殻などが使用された、地産地消のサステナブルハウスなのだ。生分解性の低いコンクリートと異なり、TECLAは解体時土に還ることができる。
また、地元の土を使うことで輸送費が抑えられるため低コストであり、建設中の廃棄物やスクラップの削減も可能にするのだ。このアイデアは、泥をこねて積み重ねていくドロバチの巣作りから着想を得たのだという。
TECLAの家の構造もハチの巣のようなドーム型となっている。
広さは約60平方メートルで、キッチンを備えた「生活ゾーン」と「ナイトゾーン」からなる。家に備え付けられている家具の一部も、地元の土を材料に3Dプリントされたものだ。
各ドームの天井にはガラスの天窓があり、自然光が差し込んでくるため、最小限の照明で過ごすことができる。
この家を気候の異なる地域に建てる場合、デザインは変更されるという。場所に応じて、よりエネルギー効率の良いデザインに調整されるため、冷暖房不要で快適な住環境にすることができるのだ。
「気候変動を遅らせることが、このプロジェクトの大きな原動力でした。TECLAは、ますます深刻化する気候変動への対応、持続可能な住宅の必要性、という大きな世界的課題に応えるもので、低炭素住宅の先駆的な例です」とMario Cucinella Architectsは述べている。
Source :Mario Cucinella Architects And WASP Built World’s First 3D Printed House Made Of Local Raw Earth