
エコカー減税は、環境性能に優れた車の普及を促進するための制度です。しかし、その内容については、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、エコカー減税の対象車や減税内容、適用期間などをわかりやすくまとめました。あわせて自動車税の減税についても紹介します。電気自動車(以下、EV)の購入には国や自治体から補助金が受けられますが、エコカー減税も合わせるとさらに購入時の負担が軽くなるでしょう。減税制度を活用して、賢くエコカーを購入しましょう。
エコカー減税とは?
車の購入時や車検時の減税は、経済的な負担軽減につながります。以下では、エコカー減税の詳細をさらに掘り下げました。
環境負荷が少ない車の税金が下がる制度
エコカー減税は、環境性能に優れた車の普及を後押しするために設けられた減税措置です。この制度では、新車購入時や初回の車検時にかかる自動車重量税の負担が軽減されます。「環境に優しい車」には、EVはもちろん、天然ガス車やクリーンディーゼル車、LPG車も含まれます。
エコカー減税は、2009年に導入されて以来、上記の車を対象に減税が行われてきました。本来は期限が設けられていましたが、2023年度に実施された制度の見直しにより期間が2026年4月30日まで延長されています。それ以降の制度延長については明らかにされていません。車の購入を検討している方は、減税期間を上手に活用しましょう。
自動車重量税が対象
エコカー減税の対象となる自動車重量税は、車の種類や重さ、そして初度登録からの年数によって決まる税金です。車の重量を0.5トンごとに区分し、重量が増すほど税額も高くなります。車が重いほど排気量が大きく、環境への負荷も大きくなることが一般的だからです。
こうした事情から、エコカー減税は排出ガス性能や燃費性能に優れた車の税金を軽減し、環境に優しい車の普及の促進を目的として導入されました。
また、軽自動車については重量に関わらず定額の税金が課されます。普通車と同じように、新車購入時や車検時に次回の車検までの分を一括で納付します。
環境性能割も対象
エコカー減税の対象車は、同時に環境性能割も受けられます。環境性能割とは、新車・中古車の取得時に課される都道府県税で、その車の燃費効率や排出ガスのクリーン度に基づき、課税率が設定される仕組みです。
税率は、車の購入価格に対して0~3%の範囲で決まり、環境性能が高い「低燃費かつ低排出ガスの車」ほど減税率が高く、非課税になることもあります。
環境性能割もエコカー減税と同じく、環境に優しい車選びを促進する制度です。この制度を活用することで、購入者は環境に配慮した選択肢をより手軽に実現できるでしょう。
自動車税は対象外
毎年4月1日時点の所有者に対して課される自動車税は、エコカー減税の対象外となります。
自動車税は、グリーン化特例で減税されます。グリーン化特例は、車の環境性能に応じて翌年度分の自動車税が最大75%軽減される制度です。もちろん、エコカー減税も併用できます。そのため、エコカーの購入で受けられるサポートは手厚いといえるでしょう。
グリーン化特例は、環境性能の高い車や初度登録からの年数が浅い車を対象に減税される傾向です。一方で、ガソリン車やLPG車で初度登録から13年以上経過した車両、ディーゼル車で11年以上経過した車両は、環境負荷が高いとみなされ、原則として自動車税が増税されます。ただし、一部の一般乗合バスや被けん引車などは適用外です。
エコカー減税でどれぐらいお得になる?
エコカー減税の優遇額は、新車の登録時期によって変動します。以下では、2025年5月1日から2026年4月30日までに新車登録を行った場合、どれほどの減税効果があるのかをまとめた一覧です。
エコカー減税の対象車と減税率
2025年5月1日から2026年4月30日のエコカー減税の対象車と減税率は、以下のとおりです。
対象車・要件 | 重量税と新車新規検査における特例措置 |
|
免税 |
|
令和12年度燃費基準 75%→軽減なし 80%→25%軽減 90%→50%軽減 達成→免税125%→免税 |
(参照:一般社団法人 日本自動車工業協会)
CO2排出量が少ない車は、地球環境保護にも寄与します。特に、ハイブリッド車やクリーンディーゼル車は燃費が良いため、燃料費の削減にもつながるでしょう。
エコカー減税適用後の税額
減税適用後の自動車重量税の目安を表にまとめました。自動車重量税がかかる購入時(初回車検までの3年分)と、初回車検時(2回目車検までの2年分)に支払う税額を紹介します。
【購入時に支払う自動車重量税(3年分)】
車両重量 | 減税なし | 免税 | 75%減税 | 50%減税 | 25%減税 |
軽自動車 | 9,900 | 0 | 1,800 | 3,700 | 5,600 |
自家用乗用車 0.5t以下 | 12,300 | 0 | – | 3,700 | 5,600 |
自家用乗用車 1.0t以下 | 24,600 | 0 | – | 7,500 | 11,200 |
自家用乗用車 1.5t以下 | 36,900 | 0 | – | 11,200 | 16,800 |
自家用乗用車 2.0t以下 | 49,200 | 0 | – | 15,000 | 22,500 |
自家用乗用車 2.5t以下 | 61,500 | 0 | – | 18,700 | 28,100 |
自家用乗用車 3.0t以下 | 73,800 | 0 | – | 22,500 | 33,700 |
(単位:円 参照:一般社団法人 日本自動車工業協会)
【初回車検時に支払う自動車重量税(2年分)】
車両重量 | エコカー減税なし 13年未満の車両 |
エコカー減税なし 13年経過の車両 |
エコカー減税なし 18年経過の車両 |
エコカー減税 免税の車両 |
エコカー減税 75%減税の車両 |
エコカー減税 50%減税の車両 |
エコカー減税 25%減税の車両 |
軽自動車 | 6,600 | 8,200 | 8,800 | 0 | 1,200 | 2,500 | 3,700 |
自家用乗用車0.5t以下 | 8,200 | 11,400 | 12,600 | 0 | – | 2,500 | 3,700 |
自家用乗用車1.0t以下 | 16,400 | 22,800 | 25,200 | 0 | – | 5,000 | 7,500 |
自家用乗用車1.5t以下 | 24,600 | 34,200 | 37,800 | 0 | – | 7,500 | 11,200 |
自家用乗用車2.0t以下 | 32,800 | 45,600 | 50,400 | 0 | – | 10,000 | 15,000 |
自家用乗用車2.5t以下 | 41,000 | 57,000 | 63,000 | 0 | – | 12,500 | 18,700 |
自家用乗用車3.0t以下 | 49,200 | 68,400 | 75,600 | 0 | – | 15,000 | 22,500 |
(単位:円 参照:一般社団法人 日本自動車工業協会)
知っておきたいエコカー減税の注意点
環境に優れた車に適用されるエコカー減税ですが、すべての車が対象となるわけではありません。以下では、エコカー減税を賢く利用するための注意点をまとめました。
改正後のエコカー減税は新しい基準
2023年度のエコカー減税制度改正では、新たに厳格な基準が導入され、より高い環境性能を持つ車のみが減税の対象です。
以前は「JC08モード」という燃費測定方法が用いられていました。しかし、実際の走行条件とのギャップが指摘され、現在は「WLTCモード」が新たな基準として採用されています。WLTCモードは実際の走行に近い燃費性能を反映させることが目的で、より現実的な環境性能評価が可能になりました。
また、年々減税の適用条件も厳しくなっているため、最新の基準を把握しておくことが重要です。エコカー減税のメリットを最大化するためには、常に最新の情報をチェックし、最も有利なタイミングで購入することがカギとなります。
中古車は登録からの経過年数や燃費基準により対象外となる場合も
エコカー減税は新車購入だけでなく、中古車にも適用される可能性があります。ただし、すべての中古車が自動的に対象となるわけではない点に注意が必要です。
減税を受けられるのは、2020年度または2015年度の燃費基準を達成した車が対象となります。年式が古く、基準に達していない車は対象外となるため、購入前にその車が減税対象であるかを確認することが大切です。
中古車を選ぶ際は、事前に必要な情報を集めておきましょう。減税の有無が購入後の費用にも影響するため、賢い選択が求められます。
まとめ
エコカー減税を最大限に活用するためには、対象となる車種や適用期間、さらには自動車税との違いをしっかりと理解することが不可欠です。
環境負荷の少ない車の選択は、地球に優しいだけでなく、家計にも嬉しい効果をもたらします。エコカー減税を賢く活用すれば、費用面でも安心でき、より良いカーライフを楽しむことができます。制度を理解し、充実した選択をして、次世代のモビリティを手に入れましょう。
