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電気自動車(以下、EV)には充電が欠かせません。充電ステーションの利用には、ユーザー認証や料金の決済がスムーズにできる充電カードやアプリがあると便利です。
カードやアプリに登録することで会員割引が適用されたり、車室を予約できたりと、さまざまなメリットがあります。外出先で定期的に充電する人には特におすすめです。
本記事では、充電カードとアプリの主な特徴や料金体系、ビジター利用との違いを比較・解説します。ご自分にとって最適なサービスを見つけ、快適で効率的なEVライフを楽しむためのヒントとしてお役立てください。
EVの充電カードとは?機能を解説
充電カードは、充電ステーションを利用する際に必要となる認証ツールです。ここでは、充電カードの主な機能やメリットについて解説します。
■ ユーザー認証機能
充電ステーションの利用には、ユーザーの本人確認(認証)が必要です。充電カードを読み取り部にかざすだけで認証が完了し、誰が・いつ・どこで利用したかが記録されます。これにより不正利用の防止や、万が一のトラブル発生時にもスムーズな対応が可能です。
■ 料金決済と会員特典
充電カードに登録したクレジットカードを通じて、自動的に利用料金が決済されます。ビジター利用では毎回情報入力が必要になる一方、会員登録をすれば割引特典や後払いにも対応。利用頻度が高いユーザーには特に便利です。
■ 利用履歴と請求管理のしやすさ
充電カードを使うと、充電した日時・場所・使用量・料金などの履歴が自動で記録されます。これにより家計管理や経費精算がしやすくなり、Web明細やアプリからの確認、領収書の発行なども簡単に行えます。
主な充電カードと特徴
充電カードは、EVのメーカーを問わず加入できるものと、メーカーがユーザー向けに提供しているものに分かれます。ここでは、その一例をまとめました。
EVのメーカーを問わず加入できるカード
まず、所有しているEVのメーカーにかかわらず、どなたでも加入できるカードをご紹介します。
e-Mobility Power(eMP)
日本最大の充電インフラネットワーク、eーMobility Powerが提供しているカードです。
会員 | ビジター | |
月額料金 | 急速・普通併用プラン:4,180円 普通充電プラン:1,540円 |
ー |
都度料金 | 急速充電:27.5円/分 普通充電:3.85円/分 |
急速充電(50kW超):1〜5分まで385円、以降77円/分 急速充電(50kW以下):1〜5分まで275円、以降55円/分 普通充電:1〜5分まで132円、以降8.8円/分 |
その他 | 登録手数料:1,980円(初回) カード再発行時も同額発生 プラン変更手数料:1,980円(6か月以内) 解約手数料:1,980円(6か月以内) |
ー |
(消費税込み、料金は2025年6月公式サイトによるもの)
週に1回以上急速充電するなら、併用プランがおすすめです。
おでかけカード
「おでかけカード」は、 e-Mobility Power(eMP)が運営する充電器を利用できる充電カードです。利用プランは「レギュラー」と「プレミアム」の2種類が用意されており、それぞれ利用頻度やニーズに合わせて選べるのが特徴です。
レギュラー | プレミアム | |
月額料金 | 1,650円 | 4,950円 |
急速充電 | 利用不可 | 38.5円/分 |
普通充電 | 4.95円/分 | 4.95円/分 |
その他 | 登録手数料無料 | 登録手数料無料 |
(消費税込み、料金は2025年6月公式サイトによるもの)
自分の充電ニーズに合わせてプランを選択しましょう。
ENEOS Charge Plus充電会員カード
ENEOSが提供しているカードです。会員になると、月220分までの急速充電を会員価格で利用できます。
会員 | ビジター | |
月額料金 | 0円 | ー |
都度料金 | 急速充電 :46.2円~/分 普通充電 : 3.3円~/分 |
急速充電 :49.5円/分 普通充電 :3.85円/分 |
その他 | 入会費・年会費 :0円 | ー |
(消費税込み、料金は2025年6月公式サイトによるもの)
入会費・年会費が不要なので、充電ステーションの利用が少ない方にもおすすめです。
メーカーがユーザー向けに提供しているカード
ここでは、自動車メーカーが提供しているカードを紹介します。
ZESP3(ゼスプスリー)
日産が自社のEVユーザーに向けた充電カードです。日産のディーラーだけでなく、全国の e-Mobility Power(eMP)の充電ステーションが利用できます。
プレミアム100 | プレミアム200 | プレミアム400 | シンプル | |
月額料金 | 4,400円 | 6,600円 | 11,000円 | 1,100円 |
充電無料枠 | 急速:100分 普通:600分 |
急速:200分 普通:600分 |
急速:400分 普通:600分 |
なし |
急速充電 | 44円/分 | 38.5円/分 | 33円/分 | 99円/分 |
普通充電 | 3.3円/分 | 3.3円/分 | 3.3円/分 | 3.3円/分 |
事務手数料 | 1,650円 | 1,650円 | 1,650円 | 1,650円 |
(消費税込み、料金は2025年6月公式サイトによるもの)
シンプルプランは、自宅に充電設備がある方におすすめです。
三菱自動車電動車両サポート
三菱が自社のEV・プラグインハイブリッド車ユーザーに向けた充電カードです。三菱のディーラーのほか、全国のe-Mobility Power(eMP)の充電ステーションを利用できます。
ベーシック | プレミアム | |
入会金 | 1,650円 | 1,650円 |
月額料金 | 1,100円 | 2,750円 |
急速充電 |
27.5円/分 | 19.8円/分 |
急速充電 |
44.0円/分 | 33.0円/分 |
急速充電 |
55.0円/分 | 55.0円/分 |
普通充電 | 6.6円/分 | 3.3円 |
(消費税込み、料金は2025年6月公式サイトによるもの)
外出の機会が少ない方はベーシックプランがおすすめです。
Mercedes me Chargeカード
Mercedes me Chargeカードは、メルセデス・ベンツのオーナー向けに提供されている充電カードです。メルセデスのディーラーのほか、全国のe-Mobility Power(eMP)の充電ステーションを利用できます。
急速・普通充電併用 | 普通充電 | |
月額料金 | 5,720円 | 3,000円 |
急速充電 | 16.5円/分 | 利用不可 |
普通充電 | 0円 | 0円 |
その他 | 入会金無料 (最低契約期間1か月) |
入会金無料 (最低契約期間1か月) |
(消費税込み、料金は2025年6月公式サイトによるもの)
自宅に充電器がある場合や遠出をしない場合は、普通充電プランがおすすめです。
MINI Chargingカード
MINI Chargingカードは、MINI(ミニ)ブランドのEVおよびPHEVユーザー向けに設計された充電カード&アプリサービスです。
急速・普通充電併用 | 普通充電 | |
月額料金 | 5,500円 | 2,750円 |
急速充電 | 16.5円/分 | 利用不可 |
普通充電 | 0円 | 0円 |
その他 | 入会金無料 (最低契約期間1か月) |
入会金無料 (最低契約期間1か月) |
(消費税込み、料金は2025年6月公式サイトによるもの)
BMW Chargingとも連携しているため、BMWの充電ネットワークも利用できます。
EVの充電アプリとは?カードにはない機能紹介
充電アプリは認証・決済の機能に加え、充電ステーションの位置や種類の検索など、スマートフォンの機能を最大限に活用したツールです。ここでは、充電アプリの機能を解説します。
充電ステーションの位置検索
スマートフォンに搭載されたGPS機能を使って、現在地から最も近い充電ステーションを簡単に検索できます。カーナビのように、目的地までのルートを案内が受けられることもメリットです。
なかにはEVのバッテリー残量や道路の勾配を考慮してルート案内できるアプリもあり、遠出の際も安心して走行できます。
充電ステーションの情報・利用状況確認
充電アプリでは、充電ステーションの充電器の数や出力、ケーブルの有無を事前に確認できます。充電ステーションをスムーズに利用するための工夫が満載です。
車室が空いたタイミングで通知を受け取れる「空車通知」や、車室の「取り置き」など、時間を効率的に使える機能は、アプリならではといえるでしょう。
主な充電アプリと特徴
充電カードの中には、アプリも並行して展開しているものもありますが、ここではアプリのみ展開しているサービスを紹介します。
充電アプリについては、以下の記事でも解説しています。
EVの充電にはアプリが便利!スマートフォンで決済可能なタイプも!
Myプラゴ
プラゴが提供しているアプリです。「充電ルートナビ」は、EVのバッテリー残量や道路の勾配等によるバッテリー消費量を考慮して充電経路をプランニングします。
料金は、その都度利用時間に応じて決済する方法のほか、「プラゴ定額」という定額プランもあります。定期的に訪れる場所で充電したい方に最適なプランです。
プラン名 | 月額料金 | 利用条件 |
普通充電バリュー | 1,980円 | 選択した1施設でのみ利用可能 月600分まで、1回最大300分 |
急速充電バリュー | 3,980円 | 選択した1施設でのみ利用可能 急速充電:月150分、1回最大60分 普通充電:月600分、1回最大300分 |
(消費税込み、料金は2025年6月公式サイトによるもの)
Terra Charge(テラチャージ)
Terra Chargeが提供しているアプリです。料金は定額制ではなく、時間計算で請求されます。料金は充電器の設置場所によって異なります。車室の取り置きは、一部の充電器のみ対応しています。
エコQ電アプリ
エコQ電アプリは、エネゲートが提供するEV充電用のスマートフォンアプリです。アプリを使って充電器本体にあるQRコードを読み取ることで、その場で認証・利用が可能になります。月額料金は無料です。充電料金は設置場所によって異なります。
また、ENEOS Charge Plusの急速充電器にも対応しており、幅広いネットワークで活用できます。希望すればアプリから認証用のカードも発行可能で、発行手数料は2,200円です。
プラン名 | 月額料金 | 利用条件 |
なし(ビジター利用) | 0円 | アプリでQRコードを読み取って都度課金 充電料金は設置場所により異なる |
(消費税込み、料金は2025年6月公式サイトによるもの)。
Premium Charging Allianceアプリ
アウディ、ポルシェ、フォルクスワーゲンの3ブランドの350店以上あるディーラーネットワークを中心に展開するプレミアムな充電サービスです。90~150kW級出力のCHAdeMO急速充電器の数は360基以上と充実しています。急速充電器は、3ブランドのオーナー間で相互に利用できます。
月額会員プラン | 都度会員プラン | |
月額料金 | 1,800円 | ー |
都度料金 | 急速充電 75円/分(150kW) 45円/分(90kW) |
急速充電 200円/分(150kW) 120円/分(90kW) |
その他 | 入会費2,000円 | ー |
(消費税込み、料金は2025年6月公式サイトによるもの)
外出時に継ぎ足し充電をしたい方は、月額料金が0円の「都度会員プラン」がおすすめです。
充電カードやアプリを選ぶときのポイント
充電カードやアプリは、選び方によって使いやすさやコストが大きく変わるため、ライフスタイルや車種に合ったサービスを選ぶことが大切です。ここでは、カードやアプリを選ぶ際のポイントを解説します。
EVのメーカー・車種に合わせて選ぶ
自分のEVのメーカーや車種に対応したカードやアプリは加入しやすいでしょう。メーカーによっては、専用カードを使うと充電料金の優遇や、提携ステーションでの割引といった特典が受けられる場合があります。
こうしたサービスを活用すれば、日常の充電コストを抑えながら、スムーズな充電が可能になります。自分の車のメーカーがどの充電サービスと提携しているかを事前に確認しておくと、料金も使いやすさもお得になるでしょう。
EVの走行距離に応じて考える
充電カードの料金プランには、月額定額制と使った分だけ支払う従量制があります。月額料金が高めの定額プランは、1回あたりの充電料金が割安になることが多く、外出先で頻繁に充電する方や、日常的にEVを利用する方におすすめです。
一方、従量制は充電頻度が少ない方や、たまにしか外出先で充電しないビジター利用者に適しています。走行距離や充電の利用頻度、使うタイミングに合わせて最適な料金プランの選択が、無駄のない充電ライフにつながるでしょう。
使いやすさで判断する
充電カードやアプリを選ぶ際は、使いやすさや操作のしやすさも重要なポイントです。サービスによって機能や操作性に差があります。支払い履歴の確認がしやすいか、情報が見やすいかといった点を事前に確認しておくと安心です。
また、カードの場合はアプリと連携して使えるかどうかもチェックしましょう。直感的に操作できるか、画面が見やすいかなどは、レビューや評価を参考にするのも一案です。
EV充電カードに関するよくある質問
EV充電カードに関する疑問や不安を解消するためによくある質問をまとめました。充電カードの仕組みや使い方、トラブル時の対応など、知っておきたいポイントを解説します。
充電カードとアプリの登録は必要?
充電カードやアプリの登録は、充電ステーションの利用頻度に応じて判断しましょう。自宅に充電設備があり、外出先での充電が少ない場合は、無理に登録する必要はありません。その場合は、年会費や月会費が無料または安価なサービスを選ぶのがおすすめです。
また、レンタカーや知人のEVを一時的に使う場合も、カード登録は必要ありません。ビジター利用でも領収証の発行に対応している充電器があるためです。自分の使い方に合った形で無理なく利用しましょう。
充電カードを複数持つ必要はありますか?
原則として、e-Mobility Power(eMP)に対応した充電カード1枚があれば、全国の多くの充電器が利用可能です。ただし、すべての充電スポットがeMPに加盟しているわけではなく、一部の充電器では使えない場合もあります。
頻繁に遠出をする方や急速充電をよく使う方は、利用可能なネットワークを広げるために複数のカードやアプリを持っておくと安心です。一方、近場での利用が中心で充電頻度が少ない方は、1枚で十分でしょう。
充電カードがなくても充電できますか?
充電カードがなくても、多くの充電器ではスマートフォンアプリやビジター認証を利用して充電が可能です。ワンタイムパスワードやSMS認証、QRコードの読み取りなどで一時的に使える充電器もあります。
ただし、すべての充電器が非カード対応というわけではなく、カードのみでの利用に限られる機器も一部に残っています。外出先で安定して充電したい場合や急なトラブルに備えるためにも、1枚カードを持っておくと安心です。
カードの紛失・盗難時はどうすればよいですか?
充電カードを紛失したり盗難にあったりした場合は、すぐに発行元のカスタマーサポートに連絡しましょう。連絡後、カードの利用停止(無効化)手続きを行ってもらえます。
その後、必要に応じてカードの再発行も可能ですが、手数料がかかる場合があります。一部のサービスでは、会員専用ページやアプリから自分で停止手続きが可能です。
不正利用が発生した場合の補償内容や条件は、サービスごとに異なるため、あらかじめ利用規約を確認しておくと安心です。
自分に合ったカードやアプリでEVライフをもっと効率的に
EV充電認証カードやアプリは、自分のライフスタイルや充電頻度に合わせて選びましょう。使い勝手や料金体系をよく比較し、自分に合ったサービスを見つけることで、充電の手間やコストを大幅に削減できます。
カードとアプリを上手に活用すれば、外出先での充電もスムーズになり、EVライフをより快適で効率的に楽しめるでしょう。紹介したポイントを参考に、自分に最適な充電サービスを選び、最大限に活用してください。快適な充電環境が、EVライフをさらに充実させます。
