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環境への配慮と技術の進化により、電気自動車(以下、EV)に注目が集まっています。なかでも韓国の自動車メーカー、ヒョンデのEVラインナップは、洗練されたデザインと先進技術が人気です。
この記事では、ヒョンデが日本で展開する3つのEVモデル「IONIQ 5」「KONA」「INSTER」に焦点を当て、それぞれの特徴や価格について詳しく解説します。
ヒョンデは韓国を代表する自動車メーカー
ヒョンデ(Hyundai)は韓国発の世界的自動車メーカーです。かつて「ヒュンダイ」の名称でガソリン車を販売していましたが、2010年に日本市場から一時撤退。その後、2022年に電気自動車(EV)および燃料電池車(FCEV)を中心とするブランドとして「ヒョンデ」として再参入しました。なお、社名が変わったわけではなく、「HYUNDAI」の韓国語発音に近い呼称が「ヒョンデ」です。
自動車販売台数は世界3位
ヒョンデの販売台数は年間400万台を超え、2023年、トヨタとフォルクスワーゲンに次いで世界3位にランクインしました。同年にはEV販売シェアでも世界7位となり、今後もグローバルな展開が期待されるメーカーです。
日本でのEV販売はIONIQ 5、KONA、INSTERの3モデル
ヒョンデは現在、日本で3種類のEVを展開しています。それが「IONIQ 5」「KONA」「INSTER」です。大型クロスオーバーから都市型スモールSUVまで、用途やライフスタイルに応じて選べるラインナップとなっています。
車両の販売はオンライン中心
ヒョンデのEVは実店舗ではなく、オンラインを中心に販売しています。車両の販売だけでなく、メンテナンスもスマートフォンアプリを通して依頼する仕組みです。
また購入前の試乗も、希望地をオンラインで選んで予約します。試乗車は全国各地にあるヒョンデのシティストアやモビリティラウンジ、またカー用品店などに併設されたヒョンデコーナーに用意されています。
ヒョンデEV|日本でのラインナップを紹介
ヒョンデが日本で展開している「IONIQ 5」「KONA」「INSTER」、それぞれの特徴を解説します。
The new IONIQ 5|「快適な居住空間」がテーマのクロスオーバーEV
クロスオーバーEV「IONIQ 5」は、日本で販売されているヒョンデ車のなかでは一番大きなサイズです。2024年にさらに進化し、新モデルが誕生しました。
エクステリア・インテリア
IONIQ 5は、折り紙を思わせる直線的かつ幾何学的なボディデザインが印象的です。フロントライトには「パラメトリックピクセル」と呼ばれる小型正方形の集合体を採用し、未来的な印象を与えています。
他にも、インテリアのレザー部分を植物性オイルで加工したり、PETボトル繊維のシートを採用したり、地球にやさしい素材で完成されたモデルです。
日本でも使いやすい機能性
アクセルペダルの操作だけで加速・減速・停止までスムーズにできる「iーPEDAL」機能搭載。アクセルペダルを放すと、自動でエンジンブレーキがかかります。ブレーキの強さは4段階調節でき、ユーザーの好みに合った調整が可能です。パワフルでありながら滑らかな加速性は、初めてのEVとしても安心して運転できるでしょう。
急速充電は、日本の多くの急速充電ステーションで使われているCHAdeMO規格に対応しており(一部車種・仕様により異なる)、変換コネクタなしで利用できるケースもあります。
用語集:CHAdeMO
リーズナブルな価格設定
IONIQ 5は、最上級モデルのIONIQ 5 Lounge AWDでも600万円を切る価格設定が魅力です。日本のEVと比較してもリーズナブルといえるでしょう。
タイプ | 価格(税込) | 外寸 | バッテリー容量x | 航続距離 | 充電時間(普通充電6kW・0~満充電|急速充電90kW・0~80%) |
●IONIQ 5 Voyage|機能性抜群のミドルモデル | 523.6万円~ | L4655×W1890×H1645 | 84.0kWh | 703km(WLTCモード) | 約14時間|約50分 |
●IONIQ 5 Voyage AWD|ミドルモデルの走行性を高めた全輪駆動 | 554.4万円~ | L4655×W1890×H1645 | 84.0kWh | 648km(WLTCモード) | 約14時間|約50分 |
●IONIQ 5 Lounge|ラグジュアリーを追求したモデル | 574.2万円~ | L4655×W1890×H1645 | 84.0kWh | 703km(WLTCモード) | 約14時間|約50分 |
●IONIQ 5 Lounge AWD|20インチホイールでよりスタイリッシュに魅せる | 613.8万円~ | L4655×W1890×H1645 | 84.0kWh | 616km(WLTCモード) | 約14時間|約50分 |
●IONIQ 5 N|650馬力のスポーツモデル | 858万円~ | L4715×W1940×H1625 | 84.0kWh | 561km(WLTCモード) | 約14時間|約50分 |
(価格は2025年5月時点 公式サイトによる情報)
IONIQ 5は、豊富なグレードと駆動方式で多様なニーズに対応しています。性能・装備のバランスも優れ、選びやすいといえるでしょう。
※IONIQ 5 Nは専用ボディを採用しており、他グレードより全長・全幅が拡大しています
KONA|新時代のEVライフを叶えるコンパクトSUV
小型クロスオーバーSUVのKONAには、2024年に全国で30台の限定モデル「Mauna Loa」も追加でラインナップされました。
エクステリア・インテリア
KONAは、IONIQ 5に比べるとやや丸みがあり、直線と曲線が組み合わされたデザインとなっています。フロント、リア両方に一文字のように並んだ「ピクセルシームレスホライズンライト」がKONAの大きな特徴です。
IONIQ 5の最新EV機能を採用
KONAにも「iーPEDAL」機能をはじめIONIQ 5で使われている最新EV技術が採用されています。
SUVならではの安定感ある走行性で、地面をとらえる感覚が味わえるのも魅力です。
リーズナブルな価格設定
KONAのベーシックモデル「Casual」 は400万円を切っています。CEV補助金や自治体からの補助金を活用すれば、300万円台前半で購入できるでしょう。
タイプ | 価格(税込) | 外寸 | バッテリー容量x | 航続距離 | 充電時間(普通充電6kW・0~満充電|急速充電90kW・0~80%) |
●KONA Casual |シンプルが魅力のベーシックモデル | 399.3万円~ | L4355×W1825×H1590 | 48.6kWh | 456km(WLTCモード) | 約9時間|約35分 |
●KONA Voyage|機能性抜群のミドルモデル | 452.1万円~ | L4355×W1825×H1590 | 64.8kWh | 625km(WLTCモード) | 約11時間55分|約45分 |
●KONA Lounge|ラグジュアリーを追求したモデル | 489.5万円~ | L4355×W1825×H1590 | 64.8kWh | 541km(WLTCモード) | 約11時間55分|約45分 |
●KONA Lounge(20インチ仕様)|よりスタイリッシュに魅せる | 489.5万円~ | L4355×W1825×H1590 | 64.8kWh | 541km(WLTCモード) | 約11時間55分|約45分 |
●KONA N Line|スポーツモデル | 506万円~ | L4385×W1825×H1590 | 64.8kWh | 541km(WLTCモード) | 約11時間55分|約45分 |
●KONA Mauna Loa|全国限定30台のモデル | 495万円~ | L4355×W1825×H1590 | 64.8kWh | 625km(WLTCモード) | 約11時間55分|約45分 |
(価格は2025年5月時点 公式サイトによる情報)
KONAはシンプルなグレード構成ながら、十分な装備と性能です。EV初心者から実用派ユーザーまで幅広い層に対応できるでしょう。
INSTER|KONAよりさらにコンパクトな都会派スモールSUV
2025年4月に誕生したコンパクトSUV「INSTER」は、アウトドアから街中まで幅広く活躍できる1台です。
エクステリア・インテリア
全長3.83mのコンパクトなデザインで、都市部での取り回しに優れたSUVです。フロントとリアには、ピクセルモチーフのLEDライトを採用し、未来的なフロントマスクが印象的です。アウトドア志向の「Inster Cross」モデルでは、ルーフラックや17インチアルミホイールを採用しました。カラーは個性的な5色展開で、街中でも存在感を放ちます。
インテリアには、10.25インチのディスプレイを備え、操作性も直感的です。さらに、全席をフルフラットにできる構造で、車内をベッドスペースとして活用できます。街中から自然の中まで幅広く対応できる、多用途な1台といえるでしょう。
5ナンバークラスのコンパクトなボディ
INSTERのボディサイズは、全長3.83m・全幅1.61mとコンパクトで、日本の道路事情を見据えて設計されています。ヒョンデのEVは、今後さらに進化を重ね、私たちの暮らしによりフィットした存在になっていくでしょう。5ナンバークラスのコンパクトカーとして知られるホンダ「フィット」や日産「ノート」よりも一回り小さいサイズ感です。
そのため、都市部の狭い道路や駐車スペースが限られた場所でもスムーズに運転でき、ストレスも感じません。さらに、INSTERはSUVならではの高めのアイポイントを活かして、運転時の視界が広く確保されています。これにより、周囲の状況を把握しやすく、初めてEVに乗る方でも安心して運転できるでしょう。
300万円以下のモデルも登場
INSTERの販売価格は、エントリーモデルの「Casual」で284万9,000円からと、300万円を切っています。デザイン・性能・価格のバランスに優れ、初めてEVに乗る方や若年層、都市生活者にもぴったりなモデルといえるでしょう。
さらに補助金を活用すれば、INSTERをよりお得に購入できます。セカンドカーとしても扱いやすいサイズ感に加え、環境配慮型の素材や設計を採用されたサステナビリティにも配慮した1台です。
タイプ | 価格(税込) | 外寸 | バッテリー容量x | 航続距離 | 充電時間(普通充電6kW・0~満充電|急速充電90kW・0~80%) |
●INSTER Casual|シンプルな装備のエントリーグレード | 284.9万円~ | L3830×W1610×H1615 | 42kWh | 255km(WLTCモード) | 約8時間|約25分 |
●INSTER Voyage|価格と装備のバランスに優れた中間グレード | 335.5万円~ | L3830×W1610×H1615 | 49kWh | 458km(WLTCモード) | 約9時間|約45分 |
●INSTER Lounge|クラスを超えた快適装備充実の最上級グレード | 357.5万円~ | L3830×W1610×H1615 | 49kWh | 458km(WLTCモード) | 約9時間|約45分 |
(価格は2025年5月時点 公式サイトによる情報)
INSTERは、最上位モデルの「Lounge」でも357万5,000円からとリーズナブルな価格設定が魅力です。
ヒョンデEV|おすすめポイント3つ
日本ではまだなじみの薄いヒョンデですが、魅力的なポイントが多くあります。日本でも使いやすいと感じる部分について深掘りしていきましょう。
日本向けの仕様
多くの外国車は、左ハンドル仕様のままハンドルの左側にウィンカーが付いています。しかし、IONIQ 5もKONAも日本車と同じように、ウィンカーはハンドルの右側です。
ウィンカーを操作すると、死角になりがちな車体側面の映像が車載メーターに映し出されます。この機能も、狭い道が多い日本では目視のサポートになるといえるでしょう。
EVが初めてでも安心
最新のEVは、パネルで操作するスッキリとしたデザインが増えています。一方、ヒョンデのEVは、人の手で押しやすいスターターボタンやエアコンスイッチが残されているのが特徴です。これらはガソリン車に慣れてきたユーザーも使いやすい仕様といえます。
車内外にAC100Vコンセント
ヒョンデのEVは車内外にそれぞれAC100Vコンセントを搭載しています。後部座席付近のコンセントは16A(最大1600W)まで使用可能です。大容量のバッテリーを搭載しているため、災害時や停電時の非常用電源としても活躍できるでしょう。
ヒョンデEVで受けられる補助金
ヒョンデのEVは、国や自治体の補助金制度を活用することで、よりお得に購入できます。ここでは、対象となる補助金の概要をまとめました。
CEV補助金
ヒョンデのEVを自家用として新車購入する場合、国からCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)が適用されます。
2025年度のCEV補助金では、IONIQ 5およびKONAが67万円、INSTERは56万2,000円の補助を受けることができます。ただし、補助金を受け取るには納車後1ヶ月以内の申請が必要で、4年間の継続保有義務もあるため、事前に条件を確認しておきましょう。
自治体からの補助金
ヒョンデの購入では、国のCEV補助金に加えてお住まいの自治体からも補助金が受けられる可能性があります。東京都では、ヒョンデ全車種を対象に最大25万円の補助金が支給され、CEV補助金と併用すれば購入価格をさらに抑えることが可能です。補助金額は、自治体によって異なるため、事前に確認しましょう。
EV購入の補助金は東京都でいくらになる?ガソリン車よりもお得?
ヒョンデEV|購入後のアフターサポートは?
オンライン販売中心のヒョンデですが、購入後のサポート体制も充実しています。万が一の故障時に対応するRSA(ロードサイドアシスタンス)や、自宅で受けられるモバイル整備などが標準で付帯されており、EV初心者でも安心です。
RSA(ロードサイドアシスタンス)
故障や不具合で車が走行不能になった場合、RSA(ロードサイドアシスタンス)専用番号に連絡すると、最寄りの整備拠点まで搬送が無料で受けられます。修理完了後も自宅まで無料で納車搬送されるので安心です。なお、RSAは新車登録日より5年間、走行距離10万kmまでの車両がサービス対象となっています。
Mobile Service(出張整備サービス)
Mobile Serviceでは、自宅や指定した場所・日時で出張整備が受けられます。不具合が発生した場合でも、現地で修理や確認対応が受けられるため安心です。公式サイトのオンライン整備予約か電話で受付します。ただし、Mobile Serviceの無償での利用は、直営拠点から片道50km圏内です。
Hyundai Assurance Program(ヒョンデ・アシュアランス・プログラム)
Hyundai Assurance Programは、新車購入後も安心して長く乗り続けられるよう無償で標準付帯されるアフターサポートプランです。12ヶ月目および24ヶ月目の法定点検にかかる基本料金が無料となり、さらに36ヶ月目には車検の基本料金に加えて、完成検査費用や継続登録費用も無料で提供されます。
高額になりがちな車検費用を軽減できるのは、ユーザーにとって大きなメリットです。このプランは、ヒョンデならではの安心感と満足感をもたらしてくれるでしょう。
ヒョンデEVでよくある質問
ヒョンデのEVは、オンライン販売が中心です。不安や疑問を感じる方のために、購入前によくある質問とその回答をまとめました。
購入前に試乗はできますか?
ヒョンデ公式サイトからお近くの試乗スポットを検索し、予約できます。スタッフ同乗の試乗だけでなく、ご自身のペースで運転できるスタイルも選べます。また、1歳以上のお子様の同乗もOKです。
直営の試乗拠点や一部のJ-NETレンタカー店舗、協力整備工場では無料で試乗できますが、カーシェアサービス「MOCEAN」を利用する場合は、有料となります。
オンラインでの購入に不安があります。大丈夫でしょうか?
ヒョンデの公式サイトは、購入手続きがシンプルです。画面の案内に沿って入力するだけで概算見積もりが表示されます。その後、見積もり日を基準に税金や保険料などを反映した詳細な金額が提示されます。
自賠責保険の加入や車庫証明の取得なども、代行依頼が可能です。EV補助金の申請書もサイトからダウンロードでき、ほとんどの手続きがオンラインで完結できるようになっています。オンラインでわからない点、不安な点にはカスタマーセンターでの対応もあり、万全な対応といえるでしょう。
納車後、すぐにEVを操作できるでしょうか?
ヒョンデでは、車両登録後にデリバリーセンターまたは希望の場所へ、指定スタッフが車両を納車します。その際に基本的な操作方法の説明が受けられます。対面での説明のため、初めての方も安心して運転できるでしょう。
また、車両は整備センターから満充電で出庫され、納車時には充電率95~98%の状態で届きます。なお、納車は注文から約3カ月が目安で、デリバリーセンターでの納車は無料、希望の場所での納車は、全国一律5万5,000円(税込)です。
まとめ
ヒョンデのEVは、価格と性能、機能性のバランスに優れた選択肢として、日本市場でも存在感を高めています。電動化が加速する今後、ヒョンデがどのようにユーザーのニーズに応えていくか注目されます。2035年までにガソリン車の新車販売が終了する方針が進むなか、ヒョンデの今後の展開がさらに期待できる状況です。
日本の道路事情に合わせて丁寧に設計されたヒョンデのEVは、今後も進化を重ねてより魅力的な選択肢として私たちの暮らしに寄り添っていくことでしょう。環境にやさしく未来を見据えたヒョンデは、今後も注目すべきEVメーカーのひとつといえるでしょう。
