「電気自動車の航続距離は短いって聞いたけれど本当?」「遠出するのにEVは向いていないの?」と疑問を感じている方は多いでしょう。実際、電気自動車(以下、EV)はガソリン車に比べて航続距離が短い傾向です。ただし、ガソリン車と同様に500km以上走れる車種もあるため、一概に航続距離が短いとは言えません。
この記事では、電気自動車の航続距離や電欠を防ぐ対策について解説します。気になる航続距離を延ばす方法についても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
電気自動車の航続距離は?
EVの航続距離が短いといわれるのはなぜでしょうか。ここでは以下の点に注目して解説します。
- 航続距離の定義と目安
- ガソリン車との違い
- 実際はカタログ値の7割
それぞれ見ていきましょう。
航続距離の定義と目安
航続距離は燃料である電気に対しての走行可能距離です。EVの航続距離は大きく分けて満充電で「約200㎞」走行可能な軽自動車と「400㎞以上」走行できる普通車に分けられます。
「約200㎞」走れる軽自動車の例 | 日産「サクラ」 | 三菱「eKクロス EV」 | ホンダ「Honda e Advance」 |
「400㎞以上」走れる普通自動車の例 | 日産「リーフ e+」 | スバル「ソルテラ」 | メルセデス・ベンツ「EQC」 |
車を使用する目的に合わせて、車種を選ぶと快適に利用できるでしょう。
ガソリン車との違い
EVとガソリン車は航続距離に大きな違いがあります。一般的にガソリン車はガソリン満タンから給油が必要になるまでに、400km以上走れるように設計されているためです。
EVとガソリン車の航続距離を比較してみましょう。
燃料 | 航続距離 | |
日産リーフ | 電気 | 400km |
日産オーラ | ガソリン | 964.8km (燃費27.2 km/L、燃料タンク36L) |
EVであるリーフは、同じサイズのオーラと比較すると航続距離が短いとわかります。ガソリン車のほうが燃料を満タンにした場合長い距離が走れる場合がほとんどです。
しかし、リーフの航続距離である400kmとは東京から大阪の直線距離です。遠出をする場合も、休憩時に1度急速充電を行えば問題なく使用できるでしょう。
航続距離の実際はカタログ値より少ない
カタログに記載している航続距離や電費は、ガソリンの燃費と同様に数値通りにはいきません。
実際にEVを運転する時には、雨の日や上り坂下り坂など、走行条件が異なり、それによってバッテリー残量の減少スピードが左右されます。気温環境や道の状態も様々なため、航続距離が変化するでしょう。
そのため、あくまでカタログの数値は目安程度に考えておくのが無難です。
電気自動車の航続距離別使用方法
EVは航続距離が軽自動車と普通自動車で異なるからこそ、使用方法別に選びましょう。
- 日常的に利用したいなら軽自動車で十分
- 遠出をするなら普通車に注目
普段どのように使っているのかを確認すれば、自分に必要なスペックが理解できます。
日常的に街乗りするなら軽自動車で十分
日常的に使用する方なら、航続距離が200km程度の軽自動車を選ぶと使い勝手が良いでしょう。一般社団法人日本自動車工業会の2023年の統計によれば、一日あたりの走行距離の平均は19km、月間走行距離の平均は362kmです。(参照:JAMA2023年度 乗用車市場動向調査)
そのため、通勤や通学または日々の買い物に利用する方は、軽自動車で十分使い勝手が良いでしょう。EVに乗っていない時間帯に自宅で充電できれば手間が少なく便利です。
遠出をするなら普通車に注目
遠方までEVを走らせたい方は、航続距離が400㎞以上あると安心です。例えば東京都と大阪府は片道500kmほどかかります。
航続距離が200kmのEVに乗っていた場合、何度も充電が必要になるため、時間をとられてしまいます。単身赴任中で毎週自宅に帰っていたり、仕事で長い距離を行き来する必要があったりする場合は航続距離が長い車種を検討しましょう。
電気自動車の航続距離に影響する要因
EVの航続距離は以下の影響を受けて変動します。
- バッテリーの容量と性能
- 運転スタイルと気候条件
どのEVを購入するか悩んでいる方は、どこに注目するか確認しておきましょう。
バッテリーの容量と性能
EVはバッテリーの容量が大きいほうが航続距離が長くなります。たくさんの電気をバッテリーに入れられるためです。
また、バッテリーの容量が大きくても劣化してしまうと充電した電気がすぐになくなってしまいます。EVに使われるリチウムイオンはスマホに使用されるバッテリーと同じもので、繰り返し充電していると、だんだん充電の持ちが悪くなります。
運転スタイルと気候条件
運転のスタイルや気候条件によっても、電気の減り方が変わり、航続距離が変動します。例えば、エアコンを使う場合です。エアコンを使うと電気を消費するため、走行するための電気エネルギーが減ってしまい航続距離は短くなります。
特に暖房はガソリン車と構造がちがうため消費電力が多いです。ガソリン車はエンジンが発する熱を暖房に利用しています。EVのモーターはあまり発熱しないため、電気で熱を作り出す必要があるためです。
電気自動車の電欠が不安な場合の対策2選
EVの利用で不安になる電欠対策は以下の通りです。
- 計画を十分に立ててドライブする
- 電欠時に頼れるロードサービスをチェックしておく
対策をしていれば、電欠になる可能性を下げられるでしょう。
計画を十分に立ててドライブする
電欠にならないためには、計画を立ててドライブしましょう。例えば、ロングドライブをする場合は、充電ステーションをあらかじめチェックしてルートの計画を立てておくと電欠を防げます。
事前に複数個所の充電ステーションを把握しておき、走行中は近場の充電ステーションをチェックしておくとより安心してドライブを楽しめるでしょう。
EV充電アプリMyプラゴでは、充電ステーションの検索から予約、目的地までの最適な充電経路のプランニングなど、さまざまな機能を有しており、EVのドライブをより快適にしてくれます。Myプラゴはこちら
電欠時に頼れるロードサービスをチェックしておく
万が一電欠になった時のために、頼れるロードサービスを確認しておくのもひとつの方法です。例えばJAFや加入している自動車保険についているサービスを把握しておきましょう。
実際に事故や電欠した場合の連絡先をスマホにメモしておいたり、ダッシュボードにメモを入れておいたりするといざというときに焦らず対応できます。
電気自動車の航続距離を向上させる技術
自動車メーカー各社が航続距離を延ばすための技術開発を進めています。
- エネルギー回生システムの進化
- 車体設計と空力特性の改善
それぞれどのようなものなのか見ていきましょう。
エネルギー回生システムの進化
エネルギーを電気として蓄える回生システムも進化しています。EVではモーターを発電機として電気に変えることが可能です。モーターを制御するインバーターがついていると、下り坂を走った際に電池残量が増えます。
Audiから販売されているe-tronでも活用され、日常のあらゆるシーンでエネルギーを回収し、走行中にバッテリーを充電しています。よりエネルギーをうまく回収するシステムが進化すれば、走行距離の向上につながるでしょう。
車体設計と空力特性の改善
車体の設計や空力特性の改善にも各メーカーが力を入れています。使用する電力を減らすため、車両を軽くする方法です。例えば、鉄鋼のように重たい部品からアルミ合金のように軽い部品へ変更が進んでいます。
また、空力特性を改善するために、空力抵抗を抑える技術の開発も進んでいます。韓国の現代自動車と起亜自動車ではフロントバンパーと前輪の間に空気が流れる「アクティブ・エア・スカート(AAS)」技術を採用した装置を設置し、バンパー下部から入る空気の流れと、タイヤ周辺で発生する乱流を効率的に制御することに成功しました。
電気自動車の航続距離に関するよくある質問
EVの航続距離に関してよくある質問をまとめました。
- バッテリーを劣化させる要因を教えてください
- 航続距離を延ばす方法はありますか
それぞれに回答していきます。
バッテリーを劣化させる要因を教えてください
バッテリーを何度も完全放電してしまったり急速充電を繰り返し行ったりすると、バッテリーの痛みが進み劣化が早まります。適切な使用方法と定期的なメンテナンスを行うと、バッテリーの寿命を延ばせるでしょう。
航続距離を延ばす方法はありますか
バッテリーに負荷をかけない運転方法をすると航続距離を短くせずに済みます。急ブレーキや急発進を避け、荷物を積みすぎないようにしましょう。また、タイヤの空気圧を適切に保つのも有効な手段です。
まとめ
この記事では、EVの航続距離について紹介しました。EVの航続距離はガソリン車に劣らない車種もあります。使い方に応じて、航続距離が200km程度の車種か400km以上の車種かを選びましょう。