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EV充電規格入門:CHAdeMOから最新規格まで、初心者にもわかりやすく解説

EV充電 | 2025.11.07

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EV充電規格入門:CHAdeMOから最新規格まで、初心者にもわかりやすく解説

電気自動車(以下、EV)の普及が進むなかで、充電規格の違いが注目されています。EVの充電には、CHAdeMO、CCS、GB/T、NACSなど、さまざまな規格が存在し、車種や地域によって対応が異なるため、初めてEVに触れる方にとっては少し分かりづらいのが現状です。

この記事では、EVを充電するうえで欠かせない「充電規格」について解説します。各規格の特徴や違いを知ることは、安心・快適・効率的なEVライフの第一歩です。今後のEVシフトに備えましょう。

EVの充電は普通充電と急速充電がある

EVの充電には、普通充電と急速充電の2種類の方法があり、それぞれ専用の充電口があります。ここでは、2つの充電口の違いと使い分けについてまとめました。

普通充電

普通充電は、数時間かけてゆっくり充電する方法です。充電施設の他に家庭用コンセントも使用できます。主に夜間や長時間の駐車時に利用され、バッテリーに優しいのが特徴です。

用語集:普通充電

普通充電の特徴

普通充電は、交流(AC)による充電です。厳密に言えば、交流の電源を入れて車内に送り込み、車の中にある充電器で直流(DC)に変換してバッテリーに充電します。

一般家庭に供給されている電力を、100Vや200Vコンセントを使用して充電することが可能です。満充電にするには数時間から半日程度の時間がかかるため、車を使用しない時間帯に充電すると、時間を有効活用できます。

普通充電にかかる時間

普通充電にかかる時間は、EVのバッテリー容量や車両側の受入能力によって異なります。例えば、6kWの出力で充電した場合、バッテリー容量が約20kWhの日産サクラでは約3時間、66kWhの大容量バッテリーを搭載する日産アリアでは約11時間です(いずれもバッテリー残量10%から満充電までの目安)。また、10km程度の距離なら、200Vで30分程度充電すれば走行できます。

普通充電は、急速充電に比べて時間がかかるため、長時間駐車する自宅や職場で計画的に充電する「基礎充電」が効率的です。

内部リンク:EV(電気自動車)の充電時間は?効率よく充電するポイントをご紹介

普通充電器の主な設置場所

普通充電器は、車を駐車する場所を中心に設置されています。代表的な設置場所は、自宅の駐車スペースや、社員用の駐車場を備えた職場などで、駐車中に効率よく充電が可能です。

また、商業施設やコンビニエンスストアの駐車場にも普通充電器の設置が進んでおり、買い物や食事の合間に手軽に充電できます。これらの場所では、普通充電器が急速充電器と並んで設置されているケースもあり、目的や時間に応じて使い分けられます。

内部リンク:EVの充電は充電口にコネクターを差し込むだけ!手順や注意点を解説

普通充電のメリット

普通充電のメリットは、家庭や職場など長時間滞在する場所で手軽に充電できる点です。通勤や買い物といった日常的な街乗りなら、普通充電だけでも十分に対応できます。

また、普通充電は充電料金が急速充電より経済的です。また、急速充電に比べてバッテリーへの負荷が少なく、劣化を抑えやすいのも大きなメリットといえるでしょう。

普通充電の注意点

普通充電にはいくつか注意点があります。まず、200Vコンセントを使った場合でも出力は3kW~6kWと幅があり、希望する出力で充電するには電気契約のアンペア変更や専用の充電器の導入が必要になる場合がある点です。

また、普通充電は時間がかかるため、急な外出や長距離の移動には対応しにくい点にも注意が必要です。自宅で充電する際は、ケーブルの取り扱いや保管に注意するほか、分電盤や契約容量など住宅側の電気設備の確認が必要です。

急速充電

短時間で充電したい場合は、急速充電を使用します。急速充電器は、主に充電ステーションに設置されており、急ぎの際や長距離移動時の充電に便利です。

用語集:急速充電

急速充電の特徴

急速充電は、直流電流を用いた高出力の充電方式で、短時間でバッテリー容量の多くを回復できます。外出先や長距離ドライブ中の充電に適しており、限られた時間で効率的に充電したい場合に便利です。

日本国内で普及している急速充電器の多くは、国産EVで広く採用されている     CHAdeMOに対応しています。2025年7月時点で全国に設置されている急速充電器は1万2,829口と、普通充電器と比べると少なめです

急速充電にかかる時間

急速充電は、高出力で充電します。たとえば出力50kWの急速充電器を使用した場合、日産サクラ(20kWh)では約45分、日産アリア(66kWh)では約1.5時間でバッテリー残量10%から満充電に近いレベルまで充電可能です。残量警告灯が点灯してから80%程度までの充電であれば、効率よく充電できるでしょう。

ただし、車種によっては受け入れ可能な急速充電出力に上限があります。例えば、日産サクラは最大30kWまでしか急速充電を受けられません。そのため、50kWの充電器を使用しても実際には30kWまでしか出力が上がらない点に注意が必要です。

普通充電に比べて圧倒的に時間が短い急速充電は、移動中の「経路充電」や、目的地での「目的地充電」としての利用に適しています。

内部リンク:EVライフの充電計画|EVで長距離ドライブを安全に楽しむ方法 

急速充電器の主な設置場所

急速充電器は、短時間での充電を目的としているため、人が一時的に立ち寄る場所に多く設置されています。代表的な設置場所は、高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)で、長距離移動中の「経路充電」に便利です。

また、ショッピングモールや大型スーパーなどの商業施設、観光地近くの道の駅などにも設置が進んでいます。これらの場所では、買い物や休憩の合間に効率よく充電できるため、実用性の高い充電手段として活用できるでしょう。

内部リンク:EVの充電器はどこにある?|充電ステーションの検索方法やアプリを紹介 

急速充電のメリット

急速充電の最大のメリットは、短時間で充電が完了する点です。直流電流をバッテリーに直接供給するため効率よく充電できます。特に業務用や配達用のEVでは、充電の待ち時間を短縮することで稼働率の向上にもつながるでしょう。

今後も急速充電の整備が進んで利便性が高まり、多くの人にとってEVが使いやすい移動手段になることが期待されます。

急速充電の注意点

急速充電は短時間で充電できる利便性が高い反面、バッテリーへの負荷が大きいデメリットがあります。頻繁に使用すると、バッテリーの劣化を早めるため注意が必要です。

使用は外出時や緊急時にとどめ、バッテリーに負荷をかけないよう、満充電までではなく80%程度で充電を止めることが推奨されます。高電圧・高電流を扱うため、充電設備やケーブルの安全状態は常に確認しましょう。

また、急速充電の料金は、普通充電に比べて高めに設定されています。コスト面も考慮して、普通充電と使い分けましょう。

普通充電器の規格

普通充電器は、単相交流100Vまたは200Vコンセントを使用するため、戸建て住宅やマンションなどに設置しやすい充電器です。普通充電の規格を以下で解説します。

J1772(Type-1)

J1772(Type-1)は、日本とアメリカで採用されている普通充電の標準規格で「Jプラグ」とも呼ばれます。日本で販売されるすべてのEVとPHEVに採用されており、北米のEVの約90%もこの規格を使用しています。

J1772の出力は、1kW~3kWが一般的ですが、6kWの倍速充電にも対応したタイプもあります。5ピン構造で、充電時の通信や安全制御にも優れ、接地やアーク防止など充電の安全性を確保していることが特徴です。

Mennekes(Type-2)

Mennekes(Type-2)は、欧州やオーストラリアで標準の普通充電規格です。Type-1とはプラグのピン数が異なり、7ピン構造となっています。通信や安全機能が搭載されており、公共の充電インフラにも広く採用されている規格です。

欧州では6~7割程度の普通充電器に使用され、最大63Aの三相交流に対応し44kWまで充電できます。単相充電にも対応しており、Type-1と併用できることが特徴です。日本市場でも、今後欧州やアメリカのEVが増えるとType-2の普及が進むでしょう。

急速充電器の規格

急速充電器は、電源に三相200Vを使用します。緊急時や業務用など頻繁に充電を行うことを想定して作られたものです。急速充電器の規格は、以下の通りです。

CHAdeMO

CHAdeMOは日本が主導して開発した世界基準の急速充電規格で、国産EVのほとんどに対応しています。最大で400kWの直流電力供給が可能な設計となっていますが、現在使われている充電器では、50〜90kW程度の出力が主流です。

CHAdeMOはCAN(Controller Area Network)通信を活用し、車両と充電器間でリアルタイムに充電状況や制御情報をやり取りします。この仕組みにより、より安全で効率的な充電を実現しました。

内部リンク:CHAdeMOとは?電気自動車(EV)の急速充電規格を徹底解説
用語辞典:CHAdeMO

CCS1

CCS1(Combined Charging System Type 1)は、主に北米を中心に自動車メーカーや電力会社が共同で標準化を進めてきた規格です。「コンボ」とも呼ばれ、1つの充電ポートで普通充電(交流)と急速充電(直流)の両方に対応できるという特徴があります。この一体型の設計により、利便性が向上するとともに、充電設備の統一や効率化が図られています。

北米市場においては、GM(ゼネラルモーターズ)やフォード、フィアットなどの主要な自動車メーカーがCCS1を採用しており、今後も普及する見込みです。CCS1は、北米地域でのEV充電の主流規格としての地位を維持し続けると見られています。

CCS2

CCS2(Combined Charging System Type 2)は、主に欧州の自動車メーカーが自国向けに標準化している急速充電規格です。CCS1と同様に、1つの充電口で普通充電と急速充電の両方に対応していますが、充電口の形状はCCS1と異なります。

ボルボやメルセデス・ベンツなどは、欧州市場向け車両にはCCS2を採用していますが、日本向けの車両に搭載しているのはCHAdeMOです。CCS2は、欧州の充電インフラに広く対応しているため、欧州モデルEVの普及を支えています。

GB/T

GB/Tは、中国の国家標準(Guobiao)で、Tは「推奨」を意味する急速充電規格です。普通充電と急速充電の両方に対応しています。開発時にCHAdeMOから技術支援を受けたため、充電口の形状や通信にCAN(Controller Area Network)を使う点などがCHAdeMOと類似していることが特徴です。

ただし、GB/Tのプラグ形状や通信方式はCHAdeMOとは異なり、中国独自の仕様となっています。GB/Tは、中国市場のEV充電インフラで広く採用されており、国内のEVユーザーにとって重要な充電方式になっているといえるでしょう。

Chaoji

Chaojiは、日本と中国が共同で開発した超急速充電規格で、CHAdeMOをベースにして作られました。Chaojiの最大出力は、規定上限の900kWと高く、極めて短時間で充電が可能です。

中国では、すでにChaojiが新たな充電規格として正式に承認され、実用化に向けた動きが活発化しています。一方、日本でもCHAdeMOとの互換性を保ちながら、Chaojiの導入が期待されており、今後のEV充電の高速化と利便性向上に寄与すると見込まれています。

内部リンク:超急速充電で実現するEVライフの進化とメリットとは?

NACS

NACSは、テスラが独自に開発した充電規格です。普通充電と急速充電の両方に対応する充電口が一体化されています。プラグを差すだけで充電が完結する「プラグアンドチャージ(PnC)」機能を備え、認証や支払いの手間が不要なのが特徴です。

この利便性の高さから注目されているNACSは、GMやフォードのEVでも2025年に発売する新型モデルで導入される予定です。

内部リンク:テスラ EVの魅力を徹底解剖!ラインナップを一挙公開
 用語集:NACS規格

EVの充電規格は今後どう変化する?

EVの普及に伴い、充電規格も多様化と進化を続けています。今後は高出力化や双方向充電の拡充に加え、異なる規格間の互換性向上が重要な課題です。より便利で使いやすい充電環境の調整が期待されます。以下では、今後EVの充電規格がどのように変化するかをまとめました。

双方向充電と高出力化で広がるCHAdeMOの可能性

CHAdeMOは、日本をはじめアジアや欧州でも使われている信頼性の高い急速充電規格です。特にV2H(家庭への電力供給)やV2G(電力網への供給)といった双方向充電機能に強みがあり、再生可能エネルギーの普及が進む時代に適した技術といえるでしょう。

2025年時点で、CHAdeMOの最大出力は180kWですが、2024年10月の電気設備技術基準の改正により高出力化が進み、将来的には欧州と同等の400kW程度まで対応可能になる見込みです。これにより、CHAdeMOは単なるEV充電規格から、電力の供給と蓄電を担う新たな役割へと進化していくでしょう。

互換性の確保がカギに

現在、EVによって使える充電器が限られているため、ユーザーの利便性に差が生じています。しかし今後は、異なる充電規格でも使える変換アダプタの普及や、CHAdeMO・CCS・NACSなど複数の規格に対応したマルチ規格型充電器の導入により、互換性の課題も徐々に解消されるでしょう。

さらに長期的には、世界的な充電規格の統一や共通の通信プロトコルの策定が進み、より一層使いやすい充電環境の整備が望まれています。

EVの充電規格についてよくある質問

EVの充電規格は多様で、地域や車種によって異なるため、初めての方は戸惑うこともあるでしょう。ここでは、充電規格の違いや特徴、対応車種など、よくある質問に回答します。充電に関する疑問を解消し、EVライフをより快適にしましょう。

なぜ充電規格が複数あるの?

充電規格が複数存在するのは、地域ごとに主流となる規格が異なるためです。日本ではCHAdeMO、欧州ではCCS、中国ではGB/Tが主流となっています。

これは、各国や自動車メーカーが、自国の技術基準や市場戦略に基づき独自の規格を開発してきた結果といえるでしょう。しかしユーザーにとっては、EVがどの規格に対応しているかが分かりづらく、充電の際に混乱を招くことが課題といえます。今後は複数の規格に対応できる充電器や互換アダプターなど、便利な環境が整っていくことが期待されています。

EV充電器はどこでも共通で使えるの?

EV充電器は、車両と充電器の規格が一致していれば使用できます。そのため、すべての車で共通に使えるわけではありません。たとえば、CHAdeMO対応の充電器はCCS対応車では使えず、その逆も同様です。充電の際は、必ず車と充電器の規格が合っているかを確認しましょう。

しかし最近では、CHAdeMO・CCS・NACSなど複数の充電規格に対応したマルチ規格型充電器が増え、1台で複数の規格に対応する設備も登場しています。

自分のEVがどの充電規格に対応しているかはどう確認するの?

自分のEVがどの充電規格に対応しているかは、まず車の取扱説明書や公式サイトで確認できます。また、充電ポートの形状を見ることでも判断可能です。ほかに車両スペック表や販売ディーラーにも、対応規格が記載されていることがあります。

日本国内で販売されている多くのEVは、普通充電がJ1772、急速充電はCHAdeMOに対応しています。テスラ車は独自規格のNACSが基本ですが、互換アダプターを使うことでCHAdeMOやJ1772にも対応可能です。

どの充電規格でも互換アダプターがあれば対応できるの?

一部の充電規格間では、テスラ車がCHAdeMO対応のアダプターを使って充電できるように変換アダプターが利用可能です。しかし、すべてのEVや充電規格で互換アダプターが使えるわけではありません。

将来的にChaojiのような超急速充電規格のアダプターが必要となるケースに備え、国際電気標準会議(IEC)では、アダプターの標準化に向けた議論が進んでいます。国際標準が発行されれば、正式にアダプターの開発と利用が可能となり、充電の利便性向上につながる見込みです。

まとめ

EVの普及が進むなかで、これまであまり意識されることがなかった充電規格の違いにも関心が集まるようになりました。

国やメーカーの技術的背景により、現在はさまざまな充電規格が併存しています。今後、マルチ規格対応の充電器や変換アダプタの普及により、ユーザーが規格を気にせず充電器を使える環境が整っていくでしょう。EVの充電規格はまだ進化の途上ではありますが、この記事がその理解を深める一助となれば幸いです。

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