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「未来のモビリティ」というと、ドラえもんに出てくるような空飛ぶ車をイメージする人も少なくないだろう。現時点ではまだ多くの課題が残るが、実現すれば道路に依存せずに移動できるため、橋がない川も渡れるし、航行距離や所要時間を大幅に短縮することが可能になる。
一方で、「道路に依存しない」という点では共通しているものの「もしかすると未来には自動車がなくなるのではないか」と思うような開発が行われていることはご存知だろうか。
世界最大級の産油国サウジアラビアで、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が驚くべき発表をしたのだ。なんと、「自動車ゼロ・道路ゼロ・二酸化炭素排出量ゼロ」の「ゼロカーボン都市」を開発しているという。
文明の新時代を作る、ゼロカーボン都市「The Line」
これは全長105マイル(約170km)にわたるベルト状の未来型都市で、一本の長い線路に沿って100万人が居住するという壮大な計画である。
その細長い形と海岸線に沿ったルートから「The Line」と名付けられ、建設地とその周辺の自然環境の95%を保全した上で、革新的な技術を取り入れたゼロカーボン、ゼロトラフィック都市を目指すという。
普段の生活に必要な場所が全て徒歩圏内にあることが特徴で、計画では、学校や交通機関、医療施設、マーケット、緑地などがコミュニティ内のどの地点からでも徒歩5分〜15分以内にあるようデザインされているそうだ。
また、この都市ではAI(人工知能)が活用され、電力は太陽光や風力などの再生可能エネルギーでほぼすべて賄われるため、より健康的で持続可能な環境を住民に提供するという。
Saudi Arabia is Building a Zero-Carbon City With No Cars or Pollution: ‘A new era of civilization’ https://t.co/BRyVXQqMGq pic.twitter.com/DaJfCmpKy8
— CitizenWonk #DCStatehood 💉 (@CitizenWonk) January 14, 2021
「このままでは 2050年までに 90%の人々が汚染された空気を吸っていることになるでしょう。10億もの人々が二酸化炭素の排出や海面上昇のために 移転を余儀なくされるでしょう。そして通勤時間は2倍になるでしょう。 我々は、従来の都市の概念を、未来的なものに変えていく必要があります」と、ムハンマド皇太子は声明で述べている。
ちなみに、これほど大規模なプロジェクトでは費用も莫大。どのくらいか予想できるだろうか?
その額はなんと、1,000〜2,000億ドル(約13〜27兆円)。費用の多くは国内資金から出され、残りは未来都市に出資したい企業や技術革新を紹介したい企業からの海外投資で賄われる予定だという。
「これは文明の新時代であり、クリーンで適切なカーボンゼロ都市の新しいモデルです」と、サウジアラビアの経済学者アル・スダイリ氏は述べている。
Source :Saudi Arabia is Building a Zero-Carbon City With No Cars or Pollution: ‘A new era of civilization’