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クウェートの巨大な「タイヤの墓場」がグリーンシティに
SDGS | 2022.06.16
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クウェートの「タイヤの墓場」
機械による大量生産が行われるようになった代償として、大量のゴミが街中に溢れるようになった。特にリサイクル等の処理技術を持たない地域ではそれが山積みにされ、人々の健康や環境を脅かす原因になってしまっている。
例えばペルシャ湾に面するアラブの国、クウェート。
首都のクウェート市は超高層ビルなどのモダンな建築でも有名だが、郊外には廃タイヤを山積みにした「タイヤの墓場」が2㎢も広がっており、それは衛星写真でも確認できる程だ。
この「タイヤの墓場」を生まれ変わらせようと、ついにクウェート政府が立ち上がったという。
廃タイヤを生まれ変わらせる、リサイクル工場
クウェート市郊外のサルミヤ地区には「ラバーマウンテン」とも呼ばれる、タイヤの墓場がある。
住宅地に隣接するこの地域には、20年近くに渡り国内や海外から4,200万個以上の廃タイヤが捨てられてきたという。2012年から2020年にかけては大規模な火災が度々発生。その度に周辺は有害な黒煙に覆われ、地元住民の生活や健康を脅かすとともに環境への影響も懸念されてきた。
クウェート政府はこのタイヤの墓場を撤去することを決めたが、それに協力したのがEPSCO Global General Trading社。同社は2021年1月、サウジアラビア国境近くのアル・サルミにタイヤのリサイクル施設を作った。
この工場では回収した廃タイヤを粉砕、プレスしやわらかいタイルに加工。このタイルは、屋外遊び場の床材などに使用される予定だという。また、タイヤから資材を分別し、道路や歩道の舗装材として使うこともできるそうだ。これらの廃タイヤから生まれたタイルや舗装材は、国内はもちろん近隣の国々への輸出も期待されている。
こうして、長年の課題であった「タイヤの墓場」がついに片付けられることになったのだ。
政府は、アル・サルミが持続可能な社会を実現するための拠点となることを期待し、さらなるリサイクル工場の開設も計画している。
タイヤの墓場が「グリーンシティ」に
タイヤの墓場が片付けられることで、今後、地域住民は安心して暮らしていけることだろう。
しかし、クウェート政府はそれだけにとどまらない。
ペルシャ湾の脱石油化に合わせ、この場所に持続可能性と観光に重点を置いた「グリーンシティ」を作ろうとしているのだ。
https://twitter.com/travisakers/status/1440300125490794509?s=20&t=Ib7URgf-VyXs80D7kY-Q9g
石油産業への依存度を下げ、観光や貿易の国際的な拠点となるような「環境に優しい」地域を目指すのだという。
South Saad Al-Abdullah City(サウス・サード・アルアブドゥラ・シティ)と呼ばれるこのシティは、総工費33億ユーロ(約4,650億円)、完成までに30年を要すると予想されている。
「私たちは、大きな環境リスクを伴う困難な状況から脱しました。すべてのタイヤが撤去されたこの地域はきれいになり、South Saad Al-Abdullah Cityのプロジェクトがいよいよ始まります」と、モハメド・アルファレス石油相は述べる。
タイヤの墓場がきれいになった今、国際的な環境基準に沿った中東初の「グリーンシティ」が誕生しようとしている。世界有数の石油資源を持つ同国が、持続可能で環境に配慮した取組みを進めていることは、世界中に大きな影響を与えるだろう。
Source :Kuwait is Transforming its Massive ‘Tire Graveyard’ into a New Green City