トルコのイスタンブールに走る高速道路に、ちょっと変わった風車が設置された。
この風車は、イスタンブール工科大学とテック企業のDevecitechによって共同開発された「ENILI」。
車が動くことで生じる気流を利用してエネルギーを生産するだけでなく、同時に太陽光発電も可能なのだという。
Turning traffic into clean energy?
The breeze produced from passing cars might not seem like much, but vertical devices known as ENLIL are able to harness air currents and produce one kilowatt of energy an hour.
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— Euronews Green (@euronewsgreen) August 25, 2021
とはいえ、気流によって生産されるエネルギーはどれくらいのものなのだろうか。車の通過によって生じる気流なんて大したことがないように思える。
しかし実際には、1時間に1キロワットほどのエネルギーを生み出すことができ、さらにタービンの上部にソーラーパネルを設置することで、トルコの一般家庭2軒の1日分の電力を発電できるそうだ。
また、風車にはシンプルなデザインが採用されており、簡単に組み立てや修理が可能。タービンには周辺地域の温度、湿度、二酸化炭素排出量、地震活動などを追跡する多くのスマートテクノロジーが採用されている。二酸化炭素排出量を追跡できる点は、今後世界全体でサステナブル社会の実現に向かって進んでいく上で大きな役割を担うだろう。
ENLILはまだ始まったばかりだが、研究開発の段階でClimateLaunchpad Urban Transitions Awardを受賞し、Mercedes-Benz Turkish StartUP Competitionでも優勝している。トルコの主要都市でENILIが普及すれば、ヨーロッパの他の都市でも同じような取り組みが行われるかもしれない。
日本では未だに風力発電によるエネルギー配給量が全体の1%にも至っていない(2020年度)という現状がある。そのため日本にとってENILIは①エネルギー生産(風力発電の普及)、②地震活動の収集という2点が大きな導入検討理由になるだろう。
また、近年注目を浴びているEVと共にENILIが主流になれば、エンジン車による温室効果ガス排出量を削減し、車が移動する度にエネルギーを生産でき、サステナブル社会への大きな一歩となるはずだ。
Source :Turning traffic into clean energy: How this startup plans to power the streets of Istanbul