テスラの派手なサイバートラックから日常使いに便利な小型のPHEV車まで多様なバリエーションのある車種、そしてだんだんと整備されるインフラを見ている限り、世界はEV化に向けて順調に進んでいるように思う。
しかし実際にはEVが自動車市場に占める割合はまだ5%にも満たず、引き続きガソリン車が主流なのが現実。しかし、世界でも突出したEV所有率を誇る国がある。ノルウェーだ。
ACEA(欧州自動車工業会)によると、ヨーロッパでは比較的高いEV所有率を示しているフランス、英国、オランダでさえ、ノルウェーの突出した数字には遠く及ばないのだという。
トータルのEV数・1000人当たりのEVの所有率を見ると、ノルウェーがいかに突出しているかが分かるだろう。
トータルEV数 | 1000人当たりの所有率 | |
ノルウェー | 296,215 | 55 |
フランス | 204,617 | 8.4 |
英国 | 187,00 | 3.2 |
ドイツ | 196,750 | 3.1 |
フランス | 145,882 | 2.4 |
人口1000人に対して、現在使用されているEVは55台。2019年3月には、販売された新車の60%がEVという記録的な数字さえある。何がそこまでノルウェーをEV天国にしているのだろうか?
まず第一に挙げられるのが、ノルウェーのインフラだ。すでに再生可能エネルギーが広く普及しており、国内で発電される電力のほとんどは31の公営水力発電所から供給されている。そのため環境保護への投資が少ない国と比較するとサステナブルなエネルギーへのさらなる切り替えはそれほど困難なことではないと考えられる。
次に、ノルウェーではEVを所有する人への減税措置を導入するなど、経済的なインセンティブもガソリン車を買い替える魅力的な理由になっている。フェリーや有料道路の料金を完全に廃止したり、一部の自治体の駐車場を無料にしたりするなど、2000年代初頭には政府による充電ポイントへの投資に加えて、画期的な施策を取り入れている。
そして、北欧の国に住む人々がガソリン車からEVに乗り換えようとするのは、個人的な経験によるものも含まれているかもしれない。ノルウェーの都市は過去に深刻な大気汚染問題に悩まされていた時期があり、南西部沿岸の都市ベルゲンでは、スモッグのあまりのひどさに車のナンバーに基づいて日替わりで自動車の乗り入れを禁止する計画が導入されたこともあった。
そして最後に、EVの充電ポイントが多く設置されてい点も、ノルウェーがEV先進国である後押しになっている。
EV購入を人々がためらうもっとも大きな理由の1つが「目的地に到着する前に充電が切れてしまう」という不安だ。その点、ヨーロッパにはなんと20万カ所以上の充電ポイントがあり、そのうち11%以上が1時間以内に80%まで充電できる超高速プラグを採用しているため、「電池切れ問題」によるEV乗り換えの心配も少なくなっているのだろう。
サステナブルな社会実現のため、日本においてはPLUGOが推奨する「目的地充電」によって、日本EV市場が世界水準になることを期待したい。
Source :This is the best country in Europe for driving an electric car