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環境汚染をゼロに - 廃水を出さない染色技術

ファッションの「色」が環境に与える影響

当メディアではこれまでに、ファッション業界が環境に与えている影響について度々紹介してきた。
多くの企業がその状況を改善するために様々な取組みを行なっているが、今回のテーマはファッションとは切り離せない「色」についてだ。

洋服や靴、バッグなど、私たちが普段身に着けている製品のほとんどは、見た目を美しくするために染色加工が行われている。

一方で、その染色工程が環境汚染に大きく関係していることをご存知だろうか。

繊維の染色・仕上げの工程は、地球上で最も汚染を引き起こすプロセスのひとつと言われており、世界の二酸化炭素排出量の3%以上(2035年には10%に達するとの予測も)、世界の水質汚染の20%以上の原因になっているそうだ。

この問題解決のために立ち上がったのは、英ケンブリッジの繊維染色企業Alchemie Technology。
同社は繊維の染色・仕上げの工程で必須と考えられてきた「あるもの」を使わないことで、サステナブルなファッション業界の実現を目指している。

廃水を出さない、画期的な染色・仕上げ技術

同社が開発したのは、高度なデジタルテクノロジを駆使した、画期的な繊維染色・仕上げ加工の技術。

従来の工程では大量の水が使われ、汚染された廃水はそのまま川に流されていたが、同社の開発した「Endeavour」と「Novara」という2つの方法は「水」を使わないため廃水を出すこともない、画期的な技術だという。

水なし染色技術「Endeavour」では、高速かつ精密に制御されたデジタル液体塗布技術を用い、染料を繊維の奥深くまで噴射・浸透させるため、色落ちのしにくい染色が可能。さらに、リードタイムの大幅な短縮と50%のコスト削減も実現し、世界中の繊維メーカー・衣料品メーカーからすでに高い評価を受けている。

精密デジタル仕上げ技術「Novara」でも染色と同様の方法を用い、仕上げ加工を必要な部分にのみ施すことで、エネルギーと材料の消費を大幅に削減。ゆえにコスト削減も実現している。

環境への直接的な影響を根本的に削減するとともに、低コスト、高効率という価値も提供しているのだ。

「私たちはEndeavourとNovaraの技術により、従来の製造工程を破壊(変革)していきます。当社のソリューションは、染色と仕上げにおける環境負荷の劇的な低減とコスト削減、両方を実現するものです」と、同社のSimon Kew氏は述べている。

世界で最も変革を起こすことができる、ファッション業界

ファストファッションの製造拠点であるアジアにもこの技術が導入され、今後気候変動に大きく貢献することが期待されている。

長年の課題に対し真に画期的な取組みを行っているAlchemie Technologyは、ファッション業界のサステナビリティを変革する重要な立場にあり、同社の技術の需要は今後ますます拡大するだろう。

「ファッション業界は世界で最も大きな汚染要因のひとつであると同時に、最も変革を起こすことができる業界なのです」と、Kew氏は述べている。


Source :Alchemie Technology Pledges To Take Polluting Dye Processes Out Of The Fashion Industry

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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