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走行中にワイヤレス充電。「磁気コンクリート」の高速道路で進むEV化
EV | 2022.04.05
EV普及を遅らせている要因は、充電インフラの問題
自動車業界では、EVや自動運転へのシフトなどサステナブルな社会実現に向けて着実に前へ進んでいる。
一方、EV普及を遅らせている要因としては主に「航続距離(充電スタンド不足)」「充電時間の長さ」「価格」が挙げれらており、ここ日本においてもEVが広く普及するにはまだ時間がかかりそうだ。
しかし、米インディアナ州で建設される「高速道路」が世界中で実用化されれば、これら充電インフラの不足に起因する課題は解決されるかもしれない。
一体どのような高速道路なのだろう。
EVが走行しながら充電できる高速道路
インディアナ州運輸局(INDOT)とパデュー大学は、EVが走行しながら充電できる、ワイヤレス充電機能を搭載した高速道路を建設すると発表したのだ。
走行中の充電を可能にするのは、ドイツのスタートアップ企業Magmentが開発した「磁気コンクリート」。
見た目は普通のコンクリートだが、このコンクリートの中に秘密があるのだという。
Indiana making roads for electric cars to charge while driving.
Hiring German Company to Make Concrete to Charge Electric Vehicles From Roads With 95% Efficiency and Low Cost https://t.co/Ny1PnvUDcf #WWS #WindWaterSolar
— Mark Z. Jacobson (@mzjacobson) August 26, 2021
なんと、中に磁気ワイヤーコイルが埋め込まれているのだ。
このコンクリートで作られた道路上では、走行中であっても停車中であっても「誘導充電」と呼ばれるプロセスで常にEVを充電することができる。
その仕組みは意外とシンプル。磁気を利用して、道路の下に埋められたワイヤーコイルから、EVの下側に装着された受信機に電力を伝達するのだそうだ。
走行中に充電することでバッテリー駆動時間を延長し、最終目的地まで長い充電時間を残しておくことができるという。
走行中のワイヤレス充電は、EVの普及促進に
さらに、ワイヤーコイルの素材を銅からリサイクルフェライトに変えたことで、伝送効率がアップしコストを抑えることにも成功。
今後様々な試験や実証実験を行った後、同州内の高速道路への導入が予定されている。
充電インフラの不足はEV普及にとって大きなハードルとなっているが、走行中のワイヤレス充電が実現することで電池切れへの不安は払拭され、EV普及の促進に大きく役立つだろう。
「このプロジェクトは、ダイナミックワイヤレス充電の未来に向けた真の一歩であり、手頃で持続可能かつ効率的な交通電化の標準となることは間違いありません」と、Magment社のCEOであるMauricio Esguerra氏は述べている。