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環境への配慮で人間の幸福度も高める、グリーンビルディング
ARCHITECTURE | 2022.03.29
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気候変動に立ち向かう、グリーンビルディング
グリーンビルディングは直訳すると「緑の建築物」だが、緑色の建物のことではない。簡単に言うと「環境への負荷を削減した建築物」。「サステナブルビルディング」と呼ばれることもあり、建築の行程や建築後の運営において、エネルギーや水の使用量を削減したり敷地内の緑化を進めることで、総合的に環境に配慮した建物のことだ。
一般的な建物からの二酸化炭素排出量は世界の総排出量の30%を占めていると言われているが、インフラの緑化や熱を回収する換気システムの採用など様々な工夫を行ったグリーンビルディングでは、その排出量が約62%も削減されたとの調査結果もあるという。
そのため、グリーンビルディング普及の推進は、建設業界だけでなく世界全体の環境政策にとって非常に重要と考えられている。
さらにグリーンビルディングは環境に優しいだけではなく、人にも優しい設計となっているらしい。
なんでも、人間の幸福度、健康度、さらに生産性も高めることができるというのだ。
Green buildings can boost productivity, well-being and health of workers https://t.co/SqW1J2OqSq By Md Sazan Rahman,
PhD Candidate, Bioresource Engineering | via @ConversationCA— McGill University (@mcgillu) February 2, 2022
屋上の緑化により、気温を下げメンタルを良好に
建物の屋上や壁面、内装など、インフラの緑化には通常、藻類やハーブ、野菜などの葉緑素や植物を使用するそうだが、断熱性のない建物の屋根を植物で覆うことで、冬場の暖房に使うエネルギーを最大5%、夏場の冷房エネルギーを最大33%削減することができるという。
また、都市の屋上の7%を緑化すると夏の気温が2℃下がることから、都市部のヒートアイランド現象を減少する効果もあると言えるだろう。
さらに夏の気温低下による大きなメリットとして、その地域で過ごす人々は、メンタルヘルスが良好で、病気の回復が早く、仕事の生産性も高くなるという。
屋内の緑化により、空気の質を向上し快適に
米国環境保護庁によると、室内空気汚染は公衆衛生の環境リスクトップ5の一つになっているという。高レベルの二酸化硫黄や二酸化窒素、PM10、空気中の微生物は、深刻な呼吸器疾患の原因ともなり得るからだ。
ある研究では、観葉植物が床面積の3分の1を占める部屋では、観葉植物のない部屋と比較するとカビの胞子や微生物の数が少なかったという。
また、室内の湿度を高めることで目の渇きや喉の痒みを軽減する効果、騒音レベルを低減することで集中力を高める効果まであるというのだ。
つまり屋内の緑化は、人々のストレスを減らし快適な環境をもたらしてくれると言えるだろう。
病院の緑化により、病気の回復を早める
最近では、植物に入院患者の治癒を早める効果があることも分かっている。
Green Building Council of Australiaの報告によると、壁面緑化やベランダの植物、建物周辺の大きな樹木など、緑のインフラを備えた病院では、平均入院期間が8.5%短縮し、回復期間が15%早まり、二次感染率が11%、鎮痛剤の必要性が22%減少したそうだ。
また、緑のインフラは患者の治癒を早めるだけでなく、そこで働く医師や看護師などスタッフに活力を与える効果もあると言われている。
人と環境に優しいグリーンビルディングには、経済効果も
他にも、インフラの緑化には人に優しい様々な効果があることが報告されている。
また、グリーンビルディングにはコストがかかるイメージがあるかもしれないが、人に与える良い影響や生産性の向上効果を考えると、むしろコストパフォーマンスが良いと言っても良いだろう。
グリーンビルディングは、組織の活動パフォーマンスを評価する3つの軸、「社会的側面(人)」「環境的側面(地球)」「経済的側面(利益)」のトリプルボトムラインを全て満たしているとも言われている。
エネルギー効率を改善するのはもちろんのこと、人々の健康度と幸福度を向上させ、生産性も高めてくれるというグリーンビルディング。今後ますます普及することを楽しみにしたい。
Source :Green buildings can boost productivity, well-being and health of workers