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いま、この記事を読んでいる皆さんの周りを少し見渡してほしい。PC、スマートフォン、タブレット、ワイヤレスキーボードにマウス、それにもしかすると電子書籍端末やPCカメラ、ワイヤレスヘッドフォンなどが置いてあるのではないだろうか。
それらには1つの共通点がある。USBケーブルを使って接続・充電する必要があるということだ。
資源調達の「公正さ」でサステナビリティを実現
今や生活に欠かせなくなったUSBケーブルだが、それを作るには様々な資源 ―金、錫、銅、プラスチックが必要となる。
これらが自然資源であることは言うまでもないが、生活に欠かせないのなら何とか調達しなくてはいけない。しかし、その調達の方法に様々な問題があるのは確かだ。
たとえば、はんだに欠かせない「錫」の採掘については危険な労働環境や児童労働の蔓延、保護林の環境破壊などが問題視されており、安易に安価な錫を調達することは、そういった社会問題を拡大することにつながる。
また他の鉱物類についても似た状況があり、安価な資源が目に見えない問題をはらんでいることは間違いない。
持続可能な資源調達には、フェアトレードによる公正で安全な鉱物を選ぶことが必要だ。
フェアトレード鉱物で長く使えるものづくり
いま書いたようなこと ―資源調達におけるフェアトレードの重要性は多くの人が理解している。しかし、それでも危険な採掘や児童労働がなくならないのは、目の前に「安いUSBケーブル」と「高いUSBケーブル」が並べられたとき、ほとんどの人が前者を手にとってしまうからだ。
特にUSBケーブルは消耗品であり、価格による性能差がほとんどないためその傾向が顕著と言える。その点に目をつけて「フェアトレード鉱物」を使いながらも、「長く使える」製品に仕上げることでコストデメリットをカバーする試みを行っているのが、オランダのテックベンチャー・シルシッド社だ。
シルシッド社がクラウドファンディングサイト・Indiegogoで出資を募った際のケーブル価格は1本で28ユーロ(約3700円)。これはUSBケーブルとしてはかなり高値だが、それだけの価値があると同社は語る。
理由のひとつは、もちろんそれがフェアトレードによるサステナブルな資源調達を行っていることにあるが、もうひとつは「長く使える」ことだという。
このケーブルは先端を付け替えることでさまざまな機器に対応するだけでなく、頑丈なので1本あれば長年にわたって活躍してくれる。
また、ケーブルにとってもっともダメージの大きい「抜き差し」を減らすためにマグネット接続にも対応しているという徹底ぶりだ。
今なら同製品のクラウドファンディングページより特別価格で入手することができる。
すべては「私たちが何を選ぶか」にかかっている
私たちの世界は、巨大なサプライチェーンの中にある。調達、製造、流通、販売、そして購入。この流れのどこかに悪意やサステナビリティに対する無関心があれば、それはサプライチェーン全体がサステナビリティを損なうものになってしまうことを意味する。
それを止めることができるのは、最終的にそのサプライチェーンを支えている消費者、私たちだけだ。売れないものは作られない。全ては「私たちが何を選ぶか」にかかっている。
SOURCE:The first fair & sustainable universal USB cable