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【PICK UP】自然の力で作るサステナブルな世界

いま世の中は、化学や工学、経済の面から研究開発を進めカーボンニュートラル社会の実現に向けた努力を続けているが、すべてが人間の手だけで叶うわけではない。

自然の偉大な力を借りた取組みも数々ある。PLUGO JOURNALで紹介した記事の中から、そんな取組みの一部を紹介しよう。

海藻の「揺れ」からヒントを得た発電所

まずは、世界中ほとんどの海で見ることができる「海藻」からヒントを得た発電所を紹介しよう。

「波力発電」の技術をベースとするこの「S-TENG」は、海に沈めて海藻とともに揺れることで発電する。熱や光、音も出さないため環境への影響が極めて少なく、またそれ自体が揺れているため海流による腐食もほとんど起こらないという。

揺れる海藻を見て発電所と結びつけた人物の発想もお見事ながら、サステナブルな発電方法のヒントを与えてくれた海藻の素晴らしさに感謝したい。

参考記事:「海藻からインスピレーションを受けた、揺れを利用する発電機

海に森を 海藻が「地球の肺」に

海藻についての記事をもう1本紹介しよう。これはオーストラリアの科学者たちが研究した成果を伝える記事なのだが、海藻が持つポテンシャルに驚くはずだ。

熱帯魚を飼育したことのある読者なら水草の成長速度の速さを知っているだろうが、海藻はそれをさらに上回り、理想的な環境であれば1日に60センチも成長する。
この成長スピードが水の浄化を助け、海中の二酸化炭素を消費することで温室効果ガスを抑制する効果があるのだそうだ。

なんとカリフォルニア州の沿岸海域のうち、たったの3.8%を海藻の養殖に当てるだけで、同州の農業部門が排出する炭素をすべて吸収できるという試算もあるそうだ。

参考記事:「海藻が世界を救う?スーパーフードからスーパーヒーローに

骨組みも橋脚もない「森の中の橋」

続いて紹介するのは、ちょっと不思議な「橋」の記事だ。
インド北東部ターナ村の森にあるこの橋には、骨組みも橋脚もないが、長年使い続けられている。しかも「生きている」というのだから、なんとも奇妙な橋だ。

実はこれ「フィカス・エラスティカ」という樹木の根を束ねて作られている。弾力のある木の根は風や水害に強く、切られることなく木として生きたまま使われているので、成長に伴いさらに強くなっていく。

どのように作られたのか、そういった文献は残念ながら残っていないが「世界一、サステナブルな建築物」のひとつと言えるだろう。

ぜひ記事でその画像を見てみてほしい。とても幻想的で美しい橋だ。

参考記事:「インドの森で長年生き続ける、木の根で作られた橋

街の空気をきれいにする「リキッドツリー」

リキッドツリー。直訳すれば「液体の木」であるが、まさにそう呼ぶしかないものがセルビアの首都、ベオグラードに登場した。

中に入っているのは600リットルの水と微細藻類。光合成によって二酸化炭素を吸収してクリーンな酸素を生み出している。その効率は一般的な街路樹と比較してなんと10〜50倍で、町中に設置された水槽ひとつで樹齢10年の樹木2本分、または200㎡の芝生と同じだけの役割を担っているという。

近代的なデザインでありながら歴史ある町並みにも不思議と馴染むこの装置の画像は、ぜひ記事で見てみてほしい。

火力発電所があり、かつてはヨーロッパでもっとも環境汚染がひどい都市と言われていたベオグラードのサステナブルな取組みを助けたのは、ごく小さな藻類だったのだ。

参考記事:「街中に突如現れた、セルビアの空気を綺麗にする木

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TEXT:
塚岡雄太 ( Twitter / Instagram / Website )

PLUGO JOURNAL編集デスク。趣味はサイクリングと読書で、どこにでも自転車で現れるのでよく人を驚かせる。デジタルガジェットが好きで、IoTを活用したサステナブルな活動に興味を持っている。

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