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「タトゥー好き」なイギリスで始まったサステナブルな取組み
ここ日本では複雑な歴史的背景もあり、あまり良くない印象を持っている人も多いタトゥー(入れ墨)。
海外ではカジュアルなファッションの1つとして定着している国も多いが、中でも「タトゥー好き」と言われるのがイギリスに住む人々だ。実に若者の3人に1人が何らかのタトゥーを体に持っているという。
そんなイギリスのタトゥー業界には、人と環境に配慮した取組みを積極的に進めている人々がいる。
イギリスのWokinghamにGreen House Tattoo Studioを設立したタトゥーアーティスト、Lucy Frostもその1人だ。
タトゥー業界の廃プラ問題解消に動いたアーティスト
彼女は、タトゥーアーティストとして活動するなかで廃棄せざるを得ない大量の「使い捨てプラスチック」を何とかしたいと思いながらも、多くのタトゥー製品にその代替となるものがないことに気づいたという。
「その時、3つの選択肢がありました。誰かが何かしてくれるまで待つか、タトゥーの世界から離れるか、別の方法を探すか。私は、罪悪感を感じない方法で、好きなことを続けられるように、何とかこの問題を解決したいと思ったのです」
彼女は、環境に配慮したタトゥー製品を自分自身で開発する道を選んだのだ。
そして生まれたサステナブルなタトゥー製品
そして今、同社では植物由来のインクキャップなど、サステナブルなタトゥー製品を多数開発している。
素材は、化石燃料の代わりに独自開発の植物性バイオベース素材「ポリ乳酸」を使用。その製造工程においては、従来のポリスチレンなどの素材と比較して、温室効果ガスの排出を約80%、エネルギーは52%も削減することができるのだそうだ。
「大量生産された安価な製品よりは高くなりますが、利益よりも人と環境のことを考えたエシカルなビジネスと考えているので、できるだけ価格を抑えています」と彼女は言う。
既に多くの製品が開発されているが、今後は、衛生管理が必要な部分のみ使い捨てにし、その他の部分は簡単に再利用できる仕様にするなど、より複合的な製品も開発したいと考えているそうだ。
他にもこの業界では、タトゥーインクで使用されている有害な物質や動物性のゼラチンを植物で代用することで、人や環境への負担を軽減する、ヴィーガンやオーガニックインクの開発も進んでいるという。
日本は現状タトゥーに対して消極的な考えを持っている人が多いが、タトゥーに限らず、日本の価値観が世界の価値観と異なることはたくさんある。
価値観が異なっても、タトゥー業界での取組みや、サステナブルな製品開発に至る考え方は、ぜひ参考にしたいものだ。
Source :Vegan inks and no plastic: How are tattoo artists going green?