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いまでもファンの心を掴み続ける「あの名車」をEVに

EV | 2022.01.28

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いまでもファンの心を掴み続ける「あの名車」をEVに

世界でもっとも愛された車

世界で初めて幅広い人々の手に渡り、愛された車といえばフォード・T型だが、それ以降にも歴史に名を残す名車と言える車はいくつもある。

1964年発売のポルシェ911は未だに多くの人が憧れているし、1980年発売の初代フィアット・パンダはその独特の角張ったフォルムがユーザーの心を掴み、技術的により進歩した新型が販売されている今でも、中古車市場では高値をつけ続けている。

しかしなんと言っても「世界でもっとも愛された車」の名を冠するにふさわしいのは、「MINI」だろう。

1959年から2000年まで一度もモデルチェンジをしていないという事実はまさしくその証と言えるし、MINIが主役の映画「The Italian Job(邦題:ミニミニ大作戦)」まで作られている。自動車史上、映画の主役を飾った車はそう多くないのではないだろうか。

今日は、そんなBMC(British Motor Corporation)時代のMINIに乗り続けているユーザーに朗報がある。

なんと、公式にEV化の改造を受けられるプログラムが始まったのだ。

一度限りだったはずの「クラシック・MINI・エレクトリック」

プロジェクト名は「MINI Recharged」。Rechargeはそのまま「再充電」という意味でEV化を示唆する単語だが、それ以外に「元気を回復する」というニュアンスもある。まさに、クラシック・MINIの元気を取り戻させ、新たに最前線で活躍できるようになるプログラムである。

発端は、2018年のニューヨークモーターショーで「一度限り」として発表された「クラシック・MINI・エレクトリック」だ。
純粋な参考展示で市販予定はなかったが、これを見たMINIユーザーから「自分のMINIもEV化してほしい」という要望が殺到。ついにMINIのオックスフォード工場で「公式に」EV化の改造を受けられるようになったのだという。

MINIの外観はそのままにEV化

このプログラムの優れている点は、クラシック・MINIの外観を全く損なわずにパワートレインのみを換装してEV化できることだ。エンジンをそっくり取り出してモーターに置き換え、バッテリーを積んでEV化するので、外観上の変化は給油口が充電口になるくらいのもの。見た目はほぼ、みんなに愛されたあの「MINI」そのままだ。

スペック面では、バッテリー容量は非公表であるものの、一度の満充電で100マイル(約160km)を走ることができ、静止状態から時速100kmまで加速するのに要する時間は9秒。最新のEVと比較すれば少々見劣りするが、普段遣いであれば困ることのないスペックは満たしている。

とはいえ、このように必要十分なスペックよりもMINIユーザーを引きつけるのは、このインストゥルメンタルパネルではないだろうか。

一見するとクラシック・MINIの純正パネルのようだが、よく見ると左のメーターには「MOTOR」の文字があり回転数を、右のメーターには「RANGE」とあり走行可能距離を示している。

なお、改造費用は現在のところ非公開。また、日本国内では対応しておらずイギリス本国の工場に送る必要がある。

注目されている「コンバートEV」

この記事で紹介した「MINI Recharged」は、先ほども書いたようにイギリス本国へ車を送る必要があるが、日本国内にもガソリン車をEV化する「EVコンバート」を提供する業者はいくつか存在し、過去には当メディアでもその代表格であるOZ MOTORS社の代表、古川氏にインタビューを行なっている。

旧車には旧車にしかない魅力があるのは事実だが、一方で排ガス規制などの基準がゆるい時代に作られているため、環境負荷が高い車も多い。また、故障となればパーツの取り寄せから必要になることも多く、手間のかかる車だ。

それをEVコンバートという形で現代に合った姿に蘇らせ乗り続けるという選択ができるのは、地球環境への配慮という面だけでなく、ユーザーにとってはこの上ない喜びになるだろう。


SOURCE : MINI Recharged Futureproofs The Classic Icon With EV Drivetrain

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TEXT:
塚岡雄太 ( Twitter / Instagram / Website )

PLUGO JOURNAL編集デスク。趣味はサイクリングと読書で、どこにでも自転車で現れるのでよく人を驚かせる。デジタルガジェットが好きで、IoTを活用したサステナブルな活動に興味を持っている。

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