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ニューヨーク、米国初のサステナブル・ファッション法の成立へ
FASHION | 2022.01.18
これまでの記事でも紹介してきたように、ファッション業界では製造過程における二酸化炭素排出量が極めて多いことが課題となっているが、「藻類から作られたTシャツ」や、「リンゴの木になるスニーカー」など環境に配慮した商品開発に取組む企業も増えてきている。
そんな中2022年1月に発表された、とあるニュースが世界のファッション業界を驚かせた。
なんとニューヨークの議会で「Fashion Sustainability and Social Accountablity ACT(ファッション・サステナビリティと社会的説明責任に関する法律)」が提出されたのだ。
New York Looks to Pass First Of Its Kind Sustainable Fashion Law – Green Queen https://t.co/BFxMx1zbXI
— Fashioning IP (@FashioningIP) January 14, 2022
これは、ファッション業界における持続不可能な慣行に対処するための法案である。可決されれば、ニューヨークは米国で初めてファッションで気候変動に配慮する州となる。
この法律は年間売上高が1億ドル以上の衣料品企業を対象とするが、ファストファッション大手から高級ブランド店まで、ほぼ全てのグローバルブランドに適用されることになるという。
対象企業はまず、原料の調達から始まるサプライチェーンネットワーク全体の50%以上を公開する必要がある。そこから自社の事業全体を評価し、課題を明確にした上で改善することが義務付けられるのだ。
また、パリ協定に基づき二酸化炭素排出量の削減を行う必要もある。
この法律に違反した企業は、年間売上高の2%を上限とする罰金が課される。徴収された罰金はコミュニティ基金に分配され、環境保護の取組み支援に使用される予定だそうだ。
さらに、司法長官が毎年違反者リストを公表し「名指しで恥をかかせる」アプローチも取られる予定だという。
今現在多くの非営利団体から支持を受けており、ファッション業界の重鎮であるStella McCartney氏も賛同しているそうだ。
「ニューヨーク州は、世界のファッションとビジネスの中心地として、ファッション産業が環境と社会に与える影響を軽減するリーダーとしての道義的責任を負っているのです」と、Alessandra Biaggi上院議員は述べている。
ファッション業界において、人権と労働に関する法律は既に様々な地域で施行されているが、その社会的・環境的影響に関する法律についてはこれまでほとんど対処されてこなかったのが現状である。
このため、ファッションは世界で最も規制が緩やかでありながら、最も影響力のある産業の一つといえる。
ニューヨークがこの法律をファッション業界における「絶対的な基準」にできれば、世界的なトレンドの火付け役となるだろう。
Source :New York Looks to Pass First Of Its Kind Sustainable Fashion Law