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世界初の鉄筋コンクリート高層ビルが建てられてから118年。
「高層ビル」といえば鉄筋コンクリートをイメージする人が多いだろう。
しかし近年、鉄筋コンクリート建築物の二酸化炭素排出量の多さが課題となっており、世界の建築業界は、脱炭素社会に向け鉄やコンクリートに代わる「ある物」に注目している。
それは「木」だという。
今、世界は木造に回帰しているのだ。
Climate deniers aren’t going to be happy about this.
New Green Building Revolution Uses Timber to Build ‘Plyscrapers’ That Save Tons of CO2 #OVTTDS #TTDS #ClimateAction https://t.co/J4TMj5MJOj— Kim Simmons 🌻 (@KimSimmons11) January 12, 2021
ベニヤ板(プライウッド)と高層ビル(スカイスクレーパー)から、木造高層ビルのことを指す「プライスクレーパー」という造語もできた。
例えばノルウェーのMjøstårnet(ミョーストーネット)。こちらは高さ約85mにも達する世界で最も高い木造タワーである。
その他にも、バンクーバーのTerrace House (19階建て)、ウィーンのHoHo(24階建て)、そして2022年に完成予定のミルウォーキーのAscent(25階建て)を始め、日本でも住友林業のW350 (70階建て)など、すでに多くのプライスクレーパーが作られ、これからも続々と登場する予定だ。
この木造高層建築を可能にしているのは、最先端のハイブリッド木材「Mass Timber」の一種「CLT(Cross Laminated Timber)」だ。
CLTは、板状の木材を繊維方向が直交するように重ねて接着した、新しい木質系建材である。
高圧力と蒸気で押し付けることで強度を高めているため、鉄やコンクリートよりも軽く、それでいて同比重での強度はそれらの数倍から百数十倍だという。
断熱性と省エネ効果、優れた耐火性に耐震性もあり、鉄・コンクリートに代わる”夢の素材”として注目されているのだ。
多くの木を伐採することは気候変動に悪影響を及ぼすように思うかもしれないが、木は再生可能な資源であり、ライフサイクル全体で見ると、二酸化炭素の排出量は減少するのだという。
「木は炭素を貯蔵しているので、これ以上吸収できない、あるいはこれ以上成長できないという適切な樹齢で収穫し、建築材料として使用することで、より有効活用できるのです」と、Mjøstårnetを建設したチームの一員であるØystein Elgsaas氏は述べている。
人口が集中する大都市では、サステナブルで環境にも人にも優しい高層ビルが今後ますます求められるだろう。木材の良さを持ちながら、高い機能性・安全性も備えたMass Timberは、新しい都市型建築の中心的存在になる可能性がある。
建築の新たな資材として”木材”を最大限に活用し、伐採と建築の両方をバランス良く進めることができれば、地球をサステナブルな住処にすることができるだろう。
The New Green Building Revolution Uses Timber to Build ‘Plyscrapers’ That Save Tons of CO2