日本の高度経済成長期には様々な公害が発生し、50年近く経った今もその影響で苦しんでいる人がいる。
そして世界的に見ても、今現在公害に苦しんでいる地域は数多くある。
その1つがヨーロッパのバルカン半島南東に位置するセルビア共和国だ。
その主な原因は、この地域の主な電力源である、石炭火力発電。これが何十年にも渡る大気汚染の原因となっている。
中でもこの地域にある16の古い石炭火力発電所は、なんとEU全体の250の石炭火力発電所と同程度の汚染を引き起こしていると言われるほどだ。
特にセルビアの首都ベオグラードには、Nikola TeslaとKostolacという大きな発電所があり、NGO団体「Health and Environment Alliance(HEAL)」によると、この2つの発電所は、「ヨーロッパで最も汚染を引き起こしている発電所」のワースト10にランクインしているという。
そんな大気汚染を改善する1つの方法として、ベオグラードの街中に「リキッドツリー(液体の木)」が設置された。
What is a 'liquid tree', you ask? 🌳
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— euronews (@euronews) December 7, 2021
これはセルビア初の都市型光バイオリアクターで、温室効果ガスの排出を抑え、空気の質を改善するシステムだという。
リキッドツリーには600リットルの水と「微細藻類」が入っており、その微細藻類が光合成を行うことで二酸化炭素を吸収し、クリーンな酸素を生成するガス交換が行われているのだそうだ。
もちろん樹木や芝生も光合成によるガス交換をしているが、なんと微細藻類は木の10〜50倍も効率的に行うことができ、このリキッドツリー1基で樹齢10年の木2本分、あるいは200㎡の芝生と同様の役割を担うことが可能なのだ。
「私たちの目標は、森林に取って代わることではなく、樹木を植えるスペースがない都市の空気を綺麗にすることなのです」とベオグラード大学の学際的研究機関の博士でこのプロジェクトの著者の一人であるIvan Spasojevic氏は述べている。
Source :This ‘liquid tree’ in Belgrade is fighting back against air pollution