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アメリカ、インディアナ州にあるパデュー大学のエンジニアが、どんな紙や段ボールでも使いやすいHMI(ヒューマンマシンインターフェース)にレンダリングできる印刷プロセスを開発した。
つまり、どんな種類の紙でもキーボードやキーパッド等にすることができる、ということだ。私たちが日常的に使っている通常のキーボードと同じように、紙に印字された数字や文字を指で押すことで対応した情報をコンピュータに送信・表示することができる。
With a Simple Piece of Paper, Engineers Create Self-Powered, Wireless Keyboard https://t.co/YktqybYVVl pic.twitter.com/PGdEDJVMjR
— CitizenWonk #DCStatehood 💉 (@CitizenWonk) September 9, 2020
なぜ、ただの「紙」がキーボードになるのだろうか。
大きなポイントは、キーを押した時に生じる静電気のエネルギーだ。非常に微弱な電力ではあるが、Bluetoothで信号を発信する分は発電することが出来るため、バッテリーも必要ない。自己発電型の電子機器はこれまでにも数多く開発されてきたが、紙をベースにしたもので実証されたのは、世界初だという。
これを可能にしているのは、「triboelectric nanogenerator(トリボエレクトリックナノジェネレーター/ TENG)」と呼ばれる技術で、以前の記事「歩くエネルギーを電気に変えるサステナブルバックパック」で紹介したバックパックでも活用されている。
まだまだ発展途上ではあるが、このTENGは小規模で安価な発電機であり、再生可能エネルギーへの応用も期待大である。
しかし、ただ「キーボードとして使える」というだけでは、実用性に欠ける。せっかく紙でできているのだから、折りたたんだり丸めたりして持ち歩き、さまざまなシチュエーションで利用したいと思うだろう。
このプロダクトは、その点も解決している。この「紙のキーボード」を実現するために開発されたコーティングは、高度にフッ素化された分子によるもので、紙を水や油、ほこりから守ることができる。だからこそ、その下に何層もの回路を印刷することができるのだという。
さらに、使用された紙は簡単に再利用可能なところも、サステナブルで環境に優しいとくれば興味を持つ人も少なくないだろう。
研究者によれば、この紙製のデバイスを1個製造するのにかかるコストは、なんと0.25米ドル(約28円)以下だそうだ。これからは、名刺入れに小さなキーボードを入れて持ち歩くこともできるかもしれない。
Source :With a Simple Piece of Paper, Engineers Create Self-Powered, Wireless Keyboard