インド北東部ターナ村の森の中に、不思議な橋がある。
美しい森の中を流れる川の上にあるその橋には、骨組みも橋脚もない。川辺に生えている「フィカス・エラスティカ」というインドゴムノキの根を橋にして、向こう岸に架けているのだ。
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— BBC News (World) (@BBCWorld) November 18, 2021
もちろん木は切られたりすることなく、生きたままだ。地上に出た根っこ部分を集めてロープのように束ね、そのまま川に架けて橋にしているのだから驚きだ。
森の中に木の根で作られた橋がある様子は、まるでおとぎ話のようでとても幻想的に見える。一方で、この橋には、見た目の美しさだけではない重要な役割もあるという。
このあたりでは、何世紀も前からモンスーンの影響で川が増水し、川の反対側に渡ることが難しくなる問題があり、そこに暮らす人々を悩ませていたそうだ。
そこで、増水する川の上を安全に渡ることができるようにと、先住民が作ったのがこの橋なのである。
フィカス・エラスティカの根は非常に弾力があり、頑丈で、どのような悪天候にも耐えられる。さらに、時が経つほど木がどんどん成長するので、橋は自然と強化されていく。
加えて、この橋は人工物を一切使わないため、周囲の土や水、空気を汚すこともない。どんなに大雨に晒されても全く錆びない。メンテナンスにコストもかからないので、環境にやさしく何十年・何百年と持続可能な橋なのだ。
この橋が先住民によってどのように作られてきたのか、詳しく記した文献は残念ながら残っていない。しかし、この不思議な橋は、環境を汚さないサステナブルな建築物の例として、専門家たちの興味を集め続けている。
SOURCE: The ingenious living bridges of India – BBC Future